市の星月夜日記

織江市の短歌、エッセイ

蝉の声低くなりたり午後の道うつくしきまま彼は滅びぬ

2022-08-27 22:01:00 | Weblog

 蝉たちに。


 


 
 じっとりする残暑が続く。

 今日、「失われた時を求めて」の、祖母の死までを読んだ。呵責ないほどリアルな闘病、臨終、死の床にある祖母の周囲にごった返す、悲嘆とは程遠い、虚栄心と利己主義露わな俗物たちの喜劇の描写。
 山﨑豊子さんにもこうした熾烈な写実がしばしばあり、私は感嘆すると同時に怖気付いた。感傷を容れない冷徹な作家の目が恐ろしかった。

 優れた文学作品に触れると、既存の世界観、人間観が揺さぶられる。透徹した作家精神の幾分かが、自分の中に入ってくるので。

 50代後半の今もまた。

 良い日だった。
 愛と感謝。


コメント
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