じっとりする残暑が続く。
今日、「失われた時を求めて」の、祖母の死までを読んだ。呵責ないほどリアルな闘病、臨終、死の床にある祖母の周囲にごった返す、悲嘆とは程遠い、虚栄心と利己主義露わな俗物たちの喜劇の描写。
山﨑豊子さんにもこうした熾烈な写実がしばしばあり、私は感嘆すると同時に怖気付いた。感傷を容れない冷徹な作家の目が恐ろしかった。
優れた文学作品に触れると、既存の世界観、人間観が揺さぶられる。透徹した作家精神の幾分かが、自分の中に入ってくるので。
50代後半の今もまた。
良い日だった。
愛と感謝。