吹雪、擱筆。
子供のころ、動物文学が大好きで、戸川幸夫全集は愛読書のひとつだった。
その中に、鷹匠に飼育された吹雪という鷹の物語があり、何故かわからないが、幼心にくっきりと刻みこまれた。
これは鷹ではなく鷲だと思うけれど、やはり浮かんだ名前は吹雪。
絵を描くのは、一瞬の幼児退行か、感動の追体験かと思う。
慌ただしい毎日、とりとめなく過ぎてゆく時間を、わたしだけの色、画像に昇華する。ただそれだけのこと。
それも、自分のカタルシスのための大切な活動。
家事と仕事以外の、自分の居場所を作っている。
芝居も音楽も。
これからまた三味線をお稽古しよう。
鈍ってしまったが、その音も隠れないわたし自身のささやかなアイデンティティー。