ギリシャ神話あれこれ:メムノン来援(続々)

 
 だがネストルは自らの老いを自覚し、退き下がる。そしてアキレウスに乞う。どうか息子の亡骸を護っておくれ。
 トロイア勢と戦っていたアキレウスは、すぐさまエチオピア勢へと向き直る。アンティロコスはアキレウスにとって、パトロクロスに次ぐ親友なのだった。
 アンティロコスの仇を討つべく現われたアキレウスを、メムノンが迎え撃つ。共にヘファイストスの武具を身に着けた両雄が激突。

 槍で突き合って互いに怪我を負わせると、今度は剣で切り、楯で防いで、甲冑がぶつかり合って鳴り響くほど肉迫する。
 果てしない激闘を息を殺して見護る、メムノンの母エオスと、アキレウスの母テティス。我が子に先立たれる恐怖に耐えられなくなった2神は、ついに互いにオリュンポスへと馳せ参じ、ゼウス神に懸命に息子の命を乞う。
 困惑したゼウスは、黄金の秤で二人の運命を量る。すると、メムノンの皿が冥府を差して深く沈んだ。

 かくしてメムノンは、その心臓をアキレウスの剣に刺し貫かれ、息絶える。たちまちミュルミドン勢が、メムノンの亡骸から神授の武具を剥ぎ取りにかかる。

 曙神エオスが息子の死を悲嘆して駆け去ってしまうと、同じくエオスの子である風神らがメムノンの遺骸を運び去る。エチオピア軍も風神たちの後に続いて戦場を去ってゆく。
 エオスはメムノンの霊を慰めるため、エチオピア兵らを鳥へと変える。朝露は、エオスが我が子メムノンを悼んで流す涙なのだという。

 メムノンを失ったトロイア勢は狼狽し、雪崩を打ってイリオスの城へと退却する。

 To be continued...

 画像は、スレーフォークト「アキレウス」。
  マックス・スレーフォークト(Max Slevogt, 1868-1932, German)

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