世界をスケッチ旅行してまわりたい絵描きの卵の備忘録と雑記
魔法の絨毯 -美術館めぐりとスケッチ旅行-
ギリシャ神話あれこれ:パトロクロスの死(続々々々々々)
けれどもアキレウスの嘆きは止まらない。
だが親友を失ったんじゃ喜べない。かくなる上はパトロクロスの仇、ヘクトルを討ち取る決意だ。ヘクトルを殺さぬ限り、生き長らえたいとは思わない。と。
ヘクトルを倒せば、次に死ぬ運命にあるのはお前なのだよ、と諭すテティス。が……
怒りは人を狂わせる。かつて私はアガメムノンに怒り、そして今ヘクトルに怒っている。死の運命が何だ! いっそ今すぐ死んでしまいたいくらいだ!
アキレウスは意気込むばかり。テティスは息子を説得するのは無駄だと諦め、息子の新しい武具を鍛冶神ヘファイストスに乞うため、オリュンポスへと去ってゆく(その昔、テティスは、捨てられたヘファイストスを養育した。ので、彼はテティスの頼みを気前好く聞いてくれる)。
さて、パトロクロスの亡骸を携えたトロイア勢は、ようやく船陣までたどり着いた。ヘクトルは屍の足を3度掴んだが、3度とも大アイアスに突き放された。それでもヘクトルは執拗に追い、屍を奪おうとする。
そのとき。
アキレウスは甲冑を纏わない、そのままの姿で、船陣を囲む壕に立つ。アテナ神がアキレウスの肩にアイギスを掛け、頭に黄金の雲をめぐらせて、その身体から天を突く火焔を燃え立たせる。アキレウスが戦場をつんざく凄まじい叫び声を上げ、それに合わせてアテナ神も叫ぶ。
その姿に度肝を抜かれたトロイア勢。すっかり動転し、自らの槍やら戦車やらで怪我をしながら、算を乱して潰走する。その隙にパトロクロスの亡骸が、船陣内へと運び込まれる。
ギリシア陣営では夜を徹してパトロクロスの死を悼み、アキレウスは、お前の仇ヘクトルの首と甲冑を捧げるまで、お前の葬儀は行なうまい、と誓う。
To be continued...
画像は、ジョラ「パトロクロスの死の復讐に出るアキレウス」。
エティエンヌ・ジョラ(Etienne Jeaurat, 1699-1789, French)
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