ギリシャ神話あれこれ:ヘラクレスの復讐

 
 ヘラクレスは今度こそ自由の身になった。
 かつての克己心がなくなり、欲望のままに行動するようになったのだろうか。奴隷奉公を終えた彼は、昔の恨みを晴らすため、大いなる復讐戦に出る。

 まず、ヘシオネを助けたら神馬を差し出す約束を反故にしたラオメドン王を成敗しに、トロイアへ。
 ヘラクレスは同志を募って軍を率い、トロイアに向けて出航。トロイアの都イリオスを攻め、ヘラクレスのいない隙に船を襲ったラオメドン王を、逆に待ち伏せて殺してしまう。

 イリオス陥落後、城壁を破って一番乗りしたのは、友人のテラモン。が、二番乗りのヘラクレスにはそれが気に入らない。憤慨してテラモンを殺そうとする。ちょっと短気すぎやしないか?
 それに気づいたテラモンは、慌てて城壁の石を集め出し、ヘラクレスの勝利を祝う祭壇を築いていたのだ、とごまかす。単純なヘラクレスは喜んで、約束の王女ヘシオネを、褒美としてテラモンに与える。

 このときヘシオネは、一人だけ奴隷として連れて行くことを許され、弟プリアモスを選ぶ。プリアモス以外のラオメドンの子はすべて殺され、プリアモスはトロイア最後の王となった。
 
 神々とギガンテス(巨人族)との戦いにヘラクレスが加わったのは、この頃らしい。

 次に、牛糞を掃除できたら牛を差し出す約束を、やはり反故にしたアウゲイアス王に報復するため、エリスを攻める。

 画像は、ド・モーガン「デイアネイラ」。
  イヴリン・ド・モーガン(Evelyn de Morgan, 1855-1919, British)

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