ギリシャ神話あれこれ:12の功業その9(続)

 
 アマゾンからの帰途、ヘラクレスは黒海を航行して、トロイアに寄港する。

 折しもトロイアでは、ポセイドンとアポロン両神の呪いに悩んでいた。トロイアの城壁を築く際、王ラオメドンの正直さを試すために、人間に姿を変えた両神が手伝った。ところが王はケチな男で、彼らに約束の報酬を払おうとしなかった。
 で、両神は憤慨し、アポロンは疫病を、ポセイドンは洪水を送ってトロイアを荒らした。弱った王が神託を伺うと、王女ヘシオネを、ポセイドンが遣わす海の怪物に生贄に献げよ、という返答。
 ……またまた、娘が馬鹿親の不始末を尻拭いをしなきゃならない、というパターン。

 で、ヘシオネがアンドロメダさながら、海の怪物の餌食となるべく、岩上に鎖で縛められていたところへ、ヘラクレスが現われる。

 が、ヘラクレスはペルセウスと違って、ヘシオネを花嫁に、とは望まない。彼が要求したのは、神馬。その昔、美少年ガニュメデスをさらった際に、ゼウス神が見返りに彼の父に与えた、その神馬が、トロイアの王家に伝わっていたわけ。
 元来が義侠心にあふれ、加えて馬も欲しかった単純なヘラクレスは、やる気満々、メドゥサの首も持ってないのに、海の怪物をボカン! とやっつけてしまう。
 
 が、ケチなラオメドン王は、性懲りもなく、ヘラクレスに約束しておいた馬をやるのを拒む。
 ヘラクレスは激怒したが、何分先を急ぐので、またしても復讐を宣言すると、慌ただしく出航した。

 ちなみに、アポロンとポセイドン両神によって築かれたトロイアの城壁は、後のトロイア戦争の際にも攻め落とすことができなかったという。

 To be continued...

 画像は、M.フランチェスチーニ「ヘラクレスとヘシオネ」。
  マルカントニオ・フランチェスチーニ
   (Marcantonio Franceschini, 1648-1729, Italian)


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