ギリシャ神話あれこれ:パリスの審判(続)

 
 個人的には、知恵神アテナが他神を押しのけるほどにまで自分の美貌を自負していたなんて、この金の林檎騒動で初めて知った。
 とにかく3女神たちは互いに一歩も引かず、とうとう、ゼウス神に仲裁を求めることに。

 が、下手に判定を下せば、どえらい目に合うのは必至。したたかなゼウスは自ら判定を下すのを避け(実際、女好きのゼウスにとっては、みんなそれぞれキレイだよ、くらいの気持ちだったのだろうし)、トロイアの王子パリスに判定役を押しつける。

 で、3女神は早速、伝令神ヘルメスに案内されて、イデ山で羊飼いをしているパリスのもとへと、どやどやと押しかける。

 女神たちはそれぞれ、自分の美しさを誇示して自分を選ぶようパリスを掻き口説く。そして買収に及ぶ。
 ヘラは、もし自分を選んでくれたなら、世界の王の座を与えよう、と約束する。アテナは、あらゆる戦いにおける輝かしい勝利を。そしてアフロディテは、世界で最も美しい女を。
 若いパリスは、あまり悩むこともなく、最高の美女を妻にくれるというアフロディテを、最も美しい、と判定し、彼女に金の林檎を渡す。

 こうしてパリスは、すでにスパルタの王メネラオスの妻となっていた、世界一の美女ヘレネを、妻として約束される。これがトロイア戦争の発端となる。

 画像は、シュトゥック「三女神、アテナ、ヘラ、アフロディテ」。
  フランツ・フォン・シュトゥック(Franz von Stuck, 1863-1928, German)

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