「あちらにいる鬼」 井上荒野 朝日新聞出版
瀬戸内晴美の一途なとこが、好きだ。寂聴になってからは、おもしろくない。勲章なんか貰ったりして。
>作者の父井上光晴と、私の不倫が始まった時、作者は五歳だった。五歳の娘が将来小説家になることを信じて疑わなかった亡き父の魂は、この小説の誕生を誰よりも深い喜びを持って迎えたことだろう。作者の母も父に劣らない文学的才能の持主だった。作者の未来は、いっそうの輝きにみちている。百も千もおめでとう。――瀬戸内寂聴
この一部が帯に紹介されている。
井上、酒場の女を二回も妊娠中絶させたすえに自殺未遂させる。その病院に、妻が金一封を持っていく。なんだい、正妻って...そんなに偉いのか。ああ、気持ち悪い。
可哀そうな彼女は病気で死に、その後は妹と付きあう井上。げー。妻、パイプカットさせろよ。
嘘つきで狡くて、それだけで充分に最低野郎。純情なわしには、とてつもなく理解不能の世界。
妻は美人で料理上手。ロシア餃子やら、タンシチュー、なるほど旨そう。
なんせ長女が書いてるからなあ。事実は小説より奇なり。あ、これ小説か。
変名にしてるけど、ばればれ露骨。
映画になるんだってさ。30年前に観た「全身小説家」は全然わからなかったなあ。