死刑囚からの手紙を切っ掛けに 22歳の過去と其の後と
「裁かれた命 死刑囚から届いた手紙」 堀川恵子 講談社
>土本氏は、約30年の検事生活の中で一度だけ死刑を求刑したことがある。
なんだ、検事の話か...と思ったが、妙に気になって読み進める。
>1966年に東京で主婦が殺された強盗殺人事件の一審での、22歳の青年への求刑だ。
ずいぶん昔の事件、知らなかった。
若者。前科無しで1人を殺して死刑を求刑jなのか。
>彼は裁判でさしたる弁明をせず、刑が確定した。
人を殺めてしまった自責ゆえ、すべて認めたのか。
>その後、独房の彼から年賀状が届く。そこには恨み言はひとつもなく、お礼の気持ちが書かれていた。戸惑った。
ここから始まる深い深い実話。よくぞ調べた惠子さん。
>「彼ははたして死に値する極悪人だったのか。40年目の疑問が私たちに襲いかかる。」――高村薫の推薦の言葉。
わたしもそう思う。
雑誌「世界」12月号の「封印された鑑定記録が問いかけたこと」と題された堀川恵子ディレクターの報告。死刑囚・永山則夫について渾身の調査に圧倒された。彼女は只者ではないと感銘して書籍を探したのが、本書。
----備忘メモ----
23 事件から4日後、令状なしの逮捕。
64 死刑事件の確定訴訟記録の閲覧 不許可処分の取り消しを求める準抗告 石塚伸一・龍谷大学教授 最高裁
69 元検事の閲覧請求
111 戦中、不敬罪で中野正剛代議士を勾留しろ...に対して、不逮捕特権にて抵抗した検事だった
124 法廷に現れたマッチ棒の大型船模型
141 相手の話をただ聞く「吸い取り紙」を求めていた...
161 情状として有利に取り扱われるべき要素が、逆に犯罪の一因と見なされた
173 判決訂正申立 裁判長が被告人のいる法廷で、弁護人に「片付けてしまいましょう」と発言 とても嫌な気持ちと申立
187 独房の中の小さな命、文鳥
194 母に送った写真 当時は死刑囚への配慮にあふれてたんだ
199 野球、極刑のものには毎月三回 これも当時の緩やかさ
204 死刑囚 口で碁を打ち合う 希望者には「請願作業」と呼ばれる労働