実家に新年のあいさつに行くと、母のきんぴらごぼうが出てきた。
それを食べながら、今年も
おじいちゃんのきんぴらを思い出した。
「じいちゃんのきんぴらごぼうは、うまがったねえ。」
「ああ、うまがった。いっぱい油を使ってな。
それでジャー、ジャーとごぼうを炒めて・・・
砂糖とみりんをたっぷり使ってなぁ~。」
と、母と私は毎年、同じ会話をかわす。
きんぴらごぼうは、昔、
食堂を経営し、料理人でもあったおじいちゃんの得意料理の一つだった。
いつも思うことだが、食べ物の記憶というのは、記憶の中でより一層おいしいものへとランクアップしてしまうようだ。
母の言葉には、まだまだおじいちゃんの味には及ばないというニュアンスがあるが、
私は、母はもうおじいちゃんの味をマスターしていると思う。
ごぼうがやわらかく、こってりと甘辛くて、唐辛子がピリッと効いている。
おじいちゃんのあの味と同じだ。
私も真似をして作ってみるのだが、やはり程遠い。
ヒロシにも、全然ちがうよと言われる始末。

照りは出せるようになったんですけどね。
写真は、私のきんぴらごぼうです。