チエちゃんの昭和めもりーず

 昭和40年代 少女だったあの頃の物語
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第65話 山菜採り

2007年05月02日 | チエちゃん
 チエちゃんのゴールデンウィークの楽しみといえば、お友達と誘い合わせて行く山菜採りです。従姉妹の由美ちゃん、洋子ちゃん、1コ下のお友達、とし江ちゃんたちとワラビ採りに出かけたものです。

 ちょうどベッド岩の向かいの村道辺りから、サラシ川とは反対側の山へと登り、南の斜面をワラビを探して、上がったり、下がったりしながら歩いてゆきます。
 山へ入ったばかりには、目の前にワラビが出ていても気づかず、なかなか見つけることができません。そのうちに慣れてくると、あっちにも、こっちにもにょきっと出ているワラビが目に飛び込んで、夢中で摘んでいきます。
 開いてしまったワラビは固くて食べられないためか、これを採りません。
また、4~5cmの小さいワラビも採らないというのが、山菜採りの暗黙のルールとなっていました。

 一通り、南側の斜面を採ったあとは頂上を目指してけものみちを登っていきます。
途中にはヤマブキが黄色の花をつけ、タチツボスミレは可憐な薄紫の花を咲かせています。蛇のひげはラピスラズリのような青い実をつけて、チエちゃんたちを迎えてくれるのでした。
 この辺りまで登ってくると、綿毛に包まれたゼンマイも採れるようになります。
そうして、一山を超えて、熊ん様の上のあたりを通り、とし江ちゃん家の裏側にたどり着く頃には、一人当たり2束~3束のワラビを抱えて帰って来るのでした。

 熊ん様の隣のとし江ちゃん家の裏には古い井戸があり、つるべを落として汲み上げた水が歩き疲れた体に甘く染み渡ったことが忘れられないチエちゃんです。

 それから、翌々日にはおばあちゃんとも山菜取りに行きました。
今度は、チエちゃん家の向かいの沢に入っていきます。
ワラビ、ゼンマイを採るのは同じですが、この他、おばあちゃんはいろいろな山菜のことを教えてくれたのでした。
 ゼンマイに似たコゴミ、山うど、タラの芽、中でもチエちゃんの好物はトリアシと呼ばれる山菜でした。本当の名前は分かりませんが、茎の先が三本に分かれており、鳥の足に似ていることからその名が付いたようです。
何とも美味な山菜です。

 帰り道には棚田の畦で、ふきのとうを採り、田んぼの中のおたまじゃくしを観察して、家路につくのでした。

 追記:Webサイトで”トリアシ”を見つけましたので、「食べる山野草木」さんをリンクさせていただきました。正しい名前は「トリアシショウマ」というようです。葛などと同じく山野のどこでも見られる植物です。