気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人2月号 同人のうた その3

2010-02-17 18:08:05 | 短歌人同人のうた
少年のピアスが光る雨上がり行けない場所はどこにでもある
(滝田恵水)

なるやうになるでせうつて口癖はムーミンママのあたたかな声
(矢野佳津)

腹式の呼吸するのが苦手なりあさく息してうすく物思う
(磊実)

連日のお笑ひ番組 笑つても笑つてもまだ吐き出せぬ毒
(真狩浪子)

歯ブラシで急須を水洗ひすることを忘れぬ母よ歯磨きをせず
(有沢螢)

南瓜切る甘藷切る切るという行為に今朝は救われており
(小田倉良枝)

こがらしに吹かれ来たりしビニール袋たちまち掬ふ夕べの光
(岡田幸)

汚れたる水吐かせたり首ほそきいちりん挿しを逆さまにして
(会田美奈子)

エレベーター旧式にして端々の動きほのかに人間味帯ぶ
(佐藤大船)

身の丈を生きて小さな父母の墓 風のようなりこの世の時間
(御厨節子)

思いがけぬ月のようにて日の暮れのてーぶるにひとつ蜜柑が灯る
(平林文枝)

白粉とチークのあはひ鏡から いひひ 初秋の風は吹きくる
(花鳥佰)

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同人2欄から印象に残った歌。鑑賞してください。


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2 コメント

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感想 (久保寛容)
2010-02-17 20:03:03
歯ブラシで急須を水洗ひすることを忘れぬ母よ歯磨きをせず
(有沢螢)

母よ、の「よ」ですね、これで歌になり得ている。
作者がその母の1メートル半くらいの後方に真っすぐ立っている姿を、ぼくは想像しています。
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Unknown (かすみ)
2010-02-17 23:12:40
寛容さん こんばんは。

そうですね。初めて気付きました。私なら「母は・・・」としてしまうところ。それなら散文的ですね。
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