アメリカが戦争しない日は来るか太平洋は今日も紺碧
(日立市 山野いぶき)
背を向けたその瞬間にアンティーク人形たちの視線が刺さる
(沼津市 森田小夜子)
沼べりの日だまりにいてだんまりの寒鮒釣りは釣れても寡黙
(館林市 阿部芳夫)
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一首目。選者の高野公彦氏も書いておられるが、アメリカはいつもどこかで戦争している。社会批評の目を持った作品。下句の「紺碧」が良い。
二首目。アンティーク人形は、愛好する人にはたまらなく魅力のあるものだが、どこかしら怖さを感じさせるところがある。作者はそれを「視線が刺さる」と捉えた。これも鋭い感性だ。
三首目。魚釣りをしたことがないが、寡黙ということに惹かれた。寡黙で含恥の人というのは、魅力的。たまに話す言葉が的を射ていれば、なお素晴らしい。
(日立市 山野いぶき)
背を向けたその瞬間にアンティーク人形たちの視線が刺さる
(沼津市 森田小夜子)
沼べりの日だまりにいてだんまりの寒鮒釣りは釣れても寡黙
(館林市 阿部芳夫)
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一首目。選者の高野公彦氏も書いておられるが、アメリカはいつもどこかで戦争している。社会批評の目を持った作品。下句の「紺碧」が良い。
二首目。アンティーク人形は、愛好する人にはたまらなく魅力のあるものだが、どこかしら怖さを感じさせるところがある。作者はそれを「視線が刺さる」と捉えた。これも鋭い感性だ。
三首目。魚釣りをしたことがないが、寡黙ということに惹かれた。寡黙で含恥の人というのは、魅力的。たまに話す言葉が的を射ていれば、なお素晴らしい。
「アメリカが」と「彼の国が」と、どちらの方がいいと思いますか?
「アメリカ」とするとストレートでよくわかります。「彼の国」とすると、謎があって深みが出る。わかりやすいのは新聞歌壇向き。深いのは玄人むき。
どちらにするかは、作者の好みだと思います。
わたしはもともとはストレートな人間でストレートな歌が好きなんですけど、こんな風に迷うとは、年をとってきた証拠かも。。。
わたしもストレートな人間です。いまだに、ほかの人が良いという歌の良さが、わかっていないことがあります。そんなときは「わからない自分」を情けなくなります。
迷うのは、いくつになってもそうです。
「年をとった」と言ったら本当に年寄りくさくなるから、言いません。
類型歌もあるようにおもいますが、社会詠としての視点はいいとおもうので、いぶきさん、がんばってください。