気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人7月号 同人のうた

2017-06-28 23:10:43 | 短歌人同人のうた
春を歩く歩調というものあるごとし木橋にスズメ提に人の子
(久保寛容)

足の痛くない国へ行かう 人在らねば声に出て言ひ晴ればれとせり
(酒井佑子)

身籠ると身罷るどれも火を纏い見えぬところも焼き尽くしゆく
(鶴田伊津)

なだり濃き夕闇降ればふうはりと灯るごとくにひとつ傘ゆく
(大谷雅彦)

長谷寺の庭にくれなゐの牡丹(ぼうたん)の咲き盛りをりなまぐさきまで
(小島熱子)

夜の蜂蜜しよくたくのうへのつぼにあり甘をかかへて踞りゐる
(花笠海月)

アイリスのアイのかなしさ美しさすっくと立ちたる茎五、六本
(小林登美子)

病院を出でて大きな街角を曲がればいちめん葉桜の街
(関谷啓子)

絶え間なく散りゆく花と結社誌の我が我がに疲れてしまふ
(倉益敬)

ふりこぼす水乾きゆくときの間をすり抜けてゆく今といふ過去
(高田流子)

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短歌人7月号、同人1欄より。

図書館に本を返しに行くあひだ春風に捲られてゐたシーツ
(近藤かすみ)

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