気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今生のはたての

2008-04-02 23:57:06 | きょうの一首
今生のはたての角を一つ曲りかの野かの道かの駅を見む
(酒井佑子 矩形の空)

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酒井佑子『矩形の空』を再読。
「抱き合ふばかり矩形の空と寝てひきあけ深き青潭に落つ」の次の次に置かれた歌。死と向き合うような病床にいると「今生のはたての角」が見えてくるのだろうか。
そこをまがっても、見えるであろうものは、見知った野であり、道であり、駅である。死が身近になればなるほど、作者は強く軽妙になっていくことに感動を覚える。

花冷えの朝(あした)『矩形の空』が来て三月書房に其を買ひにゆく
(近藤かすみ)


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