気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

葉書

2009-07-18 00:50:58 | きょうの一首
かの人も現実(うつつ)に在りて暑き空気押し分けてくる葉書一枚
(花山多佳子 空合)

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穂村弘『短歌の友人』を読んでいて見つけた歌。作者は暑中見舞いの葉書を受け取ったのだろうか。それとも歌会の案内? 差出人も現実に生きて、この葉書を書いて送ってくれた。それが「暑い空気押し分けてくる」という何とも大仰な表現。三句目の「暑き空気」の六音や漢字の多さが暑さを強調しているように見える。
思えば、郵便というものは、差出人がポストに投函し、郵便の係りの人が集めて局で分別し、相手先の局に運ばれ、それぞれの自宅に配達される。このシステムに間違いはない・・・はずだ。それを信用するから切手を貼って、大切な郵便物を託す。ときどき本当にちゃんと着くのだろうかと不安になって、ついて行きたくなるがそこまでするのは病気。
投函したら信用して家に帰るのが賢明というものだ。
花山多佳子の『木香薔薇』に「わたしは何を送つたのだらう書いた手紙が机のうへに」という歌もあって、微笑ましい。

ひと夜かけて書きし歌稿を呑む刹那ポストの朱色が濃くなりにけり
(近藤かすみ)


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