詩歌とは心の奥を映すもの路傍の石のかげもとらへて
これが最後と思ひつつ為すことどもの一つを終へて時雨に濡るる
けふわれに笑顔を向けし人の中に関東バスの運転手あり
蕎麦うどんさうめん冷麦それぞれの手ごたへたのし冷水(れいすい)のなか
時雨なりMIKIMOTO真珠の前に来て妻は小さき傘をひらきぬ
千登勢橋くぐりし電車は左折して面影橋でひとを降せり
わが知らぬものやことなど他人(ひと)の歌に遇ひて調べて悦びを得る
初出勤の朝戴きしチョーク箱いづれはわれの柩に入れよ
(橋本喜典 悲母像 短歌新聞社)
***************************
何気ない歌がつづくが読んでいてほっとする。
四首目のMIKIMOTOの歌が、わたしはとても気に入った。年配のご夫婦の機微のようなものが感じられる。しかもおしゃれ。人を見る目があたたかい。
五首目は、橋の名前に情緒がある。
ジャンプ傘ぽんとひらけば飛ぶ雫 進々堂までパン買ひにゆく
(近藤かすみ)
これが最後と思ひつつ為すことどもの一つを終へて時雨に濡るる
けふわれに笑顔を向けし人の中に関東バスの運転手あり
蕎麦うどんさうめん冷麦それぞれの手ごたへたのし冷水(れいすい)のなか
時雨なりMIKIMOTO真珠の前に来て妻は小さき傘をひらきぬ
千登勢橋くぐりし電車は左折して面影橋でひとを降せり
わが知らぬものやことなど他人(ひと)の歌に遇ひて調べて悦びを得る
初出勤の朝戴きしチョーク箱いづれはわれの柩に入れよ
(橋本喜典 悲母像 短歌新聞社)
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何気ない歌がつづくが読んでいてほっとする。
四首目のMIKIMOTOの歌が、わたしはとても気に入った。年配のご夫婦の機微のようなものが感じられる。しかもおしゃれ。人を見る目があたたかい。
五首目は、橋の名前に情緒がある。
ジャンプ傘ぽんとひらけば飛ぶ雫 進々堂までパン買ひにゆく
(近藤かすみ)