気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

悲母像 橋本喜典 つづき  

2009-07-17 00:31:34 | つれづれ
詩歌とは心の奥を映すもの路傍の石のかげもとらへて

これが最後と思ひつつ為すことどもの一つを終へて時雨に濡るる

けふわれに笑顔を向けし人の中に関東バスの運転手あり

蕎麦うどんさうめん冷麦それぞれの手ごたへたのし冷水(れいすい)のなか

時雨なりMIKIMOTO真珠の前に来て妻は小さき傘をひらきぬ

千登勢橋くぐりし電車は左折して面影橋でひとを降せり

わが知らぬものやことなど他人(ひと)の歌に遇ひて調べて悦びを得る

初出勤の朝戴きしチョーク箱いづれはわれの柩に入れよ

(橋本喜典  悲母像  短歌新聞社)

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何気ない歌がつづくが読んでいてほっとする。
四首目のMIKIMOTOの歌が、わたしはとても気に入った。年配のご夫婦の機微のようなものが感じられる。しかもおしゃれ。人を見る目があたたかい。
五首目は、橋の名前に情緒がある。

ジャンプ傘ぽんとひらけば飛ぶ雫 進々堂までパン買ひにゆく
(近藤かすみ)


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