金婚の旅の一夜をゴンドラに乗れば夕月妻の背に出ず
(福津市 大庭愛夫)
迷いつつポストに入れし一通にもう戻る事出来ぬ溜息
(常陸太田市 黒羽紘子)
スーパーの軒に卵を抱きつつツバメは見おり卵買う人
(枚方市 鍵山奈美江)
*********************
一首目。夢のような歌である。金婚式を迎えるほど永く連れ添った妻と、イタリア旅行に行ったときの歌と読むのが、朝日歌壇としては正当なのだろうが、ほんまかいな!と突っ込みを入れずにはおられない。住所の福といい、名前の愛夫といい、出来すぎ感を持った。世の中には騙されていた方が幸せということもあるのだ。しばしこの歌に酔って、作者におめでとうと言おう。
二首目。選者の馬場あき子氏は、恋文だろうかと解釈されているが、これは詠草のことではないだろうか。いつも詠草をポストに入れるたびに、ああ、出しちゃった・・・とため息をつく。自分の手から離れたら、もう何と読まれても仕方ないのが、歌だから。
三首目。スーパーの軒先のツバメの卵と、売られているたまごとを並べたところが面白い。でも、売られている方は、玉子が正しい表記ではないかと思う。
(福津市 大庭愛夫)
迷いつつポストに入れし一通にもう戻る事出来ぬ溜息
(常陸太田市 黒羽紘子)
スーパーの軒に卵を抱きつつツバメは見おり卵買う人
(枚方市 鍵山奈美江)
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一首目。夢のような歌である。金婚式を迎えるほど永く連れ添った妻と、イタリア旅行に行ったときの歌と読むのが、朝日歌壇としては正当なのだろうが、ほんまかいな!と突っ込みを入れずにはおられない。住所の福といい、名前の愛夫といい、出来すぎ感を持った。世の中には騙されていた方が幸せということもあるのだ。しばしこの歌に酔って、作者におめでとうと言おう。
二首目。選者の馬場あき子氏は、恋文だろうかと解釈されているが、これは詠草のことではないだろうか。いつも詠草をポストに入れるたびに、ああ、出しちゃった・・・とため息をつく。自分の手から離れたら、もう何と読まれても仕方ないのが、歌だから。
三首目。スーパーの軒先のツバメの卵と、売られているたまごとを並べたところが面白い。でも、売られている方は、玉子が正しい表記ではないかと思う。