気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

それだけで百合

2006-06-01 00:07:45 | つれづれ
永久に回転ドアの中にゐて出られぬやうに願ふ日のあり

結末が三十一音目に来ることを知つてゐるから短歌がすきだ

紫の肩にひとひら花をのせうた寄せくるを待ちてゐるなり

夫のゐぬ休日まへの夜の更けは旧かなづかひの息をしてをり

マクベスの妻の衣を脱ぎたればそれだけで闇それだけで百合

(杉田加代子 マクベスの妻)

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杉田加代子さんの『マクベスの妻』を読みすすむ。彼女は箱入り奥様のように見えるが、さてそれはどうなのだかわからない。煮詰まってしまいそうな日常を抜け出すのに、短歌を選んで、短歌にすがって行く姿はけなげだ。