気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

海雨 吉川宏志歌集

2006-06-27 21:56:09 | つれづれ
いつか僕も文字だけになる その文字のなかに川あり草濡らす川

ふと言えり「涼しい風が吹いてくる」 それはだれかの死に際の言葉

絶版の歌集のコピー読みゆけば栞の紐が黒く写りぬ

ゆうぐれに津田画廊あり入りゆけば絵のなかの水白く光りぬ

蛞蝓を一つ殺せるほどの塩もらいて帰る葬儀場より

(吉川宏志 海雨)

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吉川宏志の『海雨』を読む。しんと静かで、鋭い観察があり、必ず読んでよかったと思わせてくれる歌人。火曜日は暇なので、なんとなく短歌人が来るのを待っていたが、来なかった。