気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

昔のむかし 前田宏章歌集

2006-06-13 16:37:34 | つれづれ
閻魔庁人事部長に転職す燦たる病歴たかく買われて

人を超える才はなけれど鰻丼の飯粒最後のひとつまで食う

今どこで育っていんかわが棺と共に焼かれる白菊黄菊

レンジにてチンして食べる 仏壇にチンして食べたは昔のむかし

ボール蹴るだけのゲームに沸き返る 身を捨つる程の祖国か日本

(前田宏章 昔のむかし 青磁社)

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白珠の前田宏章の第三歌集にして、遺歌集を読む。
ご本人は、2004年10月に他界されていて、この歌集は奥さまが纏められた。十八年もの間、腎不全から人口透析を続けられたらしく、死を身近に感じておられる様子の歌が、いくつもある。市井の人の誠実さを感じた。

吉岡生夫さんが、くわしく書いておられます。
http://www.pat.hi-ho.ne.jp/yoshioka-ikuo/sousyoku.tegami.2/index.htm#前田宏章さんの歌