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アジアと小松

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小松基地問題研究会

アメシロ観察記録(2014年6月7日)

2014年06月07日 | 自然
アメシロ観察記録(2014年6月7日)
                        写真は2014年6月8日撮影。卵と巣網内の幼虫。

6月5日に、クルミ(ニワウルシ)にアメシロの巣網を発見した。昨年6月22日だったから、今年は2週間も早い。

 アメシロについての研究論文としては、1972年の『アメリカシロヒトリ-種の歴史の断面』しか見つからない。もう40年も前の論文集である。

 アメシロは日本の敗戦、米軍の占領期に、米軍の物資に紛れ込んで渡日して、繁殖したと考えられている。最初の発見は1945年東京で、その後徐々に東西に向かって拡大していった。

 東方へは1965年に秋田まで、西方へは1970年に福岡に上陸している。石川県は1954年上陸である。そして、現在では津軽海峡を越えて北海道の函館周辺、沖縄にまで広がっている。

 これほど緻密な観察と実験が行われながら、その後40年間アメシロについての研究はどうなっているのだろうか。

アメシロの生態(サイクル)
 アメシロ対策を立てるには、先ずアメシロの生態を知る必要がある。越冬サナギが羽化し成虫(ガ)になるところから始めよう。

 気温10度以上の有効温度が277日度に達する頃(5~6月頃)、越冬サナギは羽化して成虫になる。7~80%は鳥(シジュウカラ、スズメ、オナガ、ムクドリなど)に捕食されてしまう。生き残った成虫は翌日の夜明け前に配偶活動をおこない、産卵し、成虫は死んでしまう。成虫には口はなく、長期間生きていることが前提にされていない。産卵のためにのみ存在するという、なんとはかない運命なのだろう。

 メス1匹は1卵塊(数百個)をアメリカ楓などの葉の裏に産みつけて死ぬ。卵は120日度程度の温量で、6月にふ化し、巣網を作って集団で成長する。巣網は天敵から身を防衛するが、アシナガバチはその巣網の中に突入してアメシロの幼虫を補食する。巣網に絡まれて戦死する蜂も出てくる(天敵にはハナグモ、ハエトリグモ、 カマキリなどがいる)。

 卵からふ化した幼虫は6回脱皮して、7齢期に夏サナギになる。夏サナギは休眠せず、2週間ほどで(8月頃)2度目の羽化を迎え、成虫(ガ)になり、配偶活動をして、産卵する。ふ化した幼虫は食樹を暴食して、越冬サナギになるための準備に入る(8~9月)。暑い夏が終わり、気温が低くなり、幼虫(毛虫)は木から下り、風に乗って移動し、越冬場所を探し、サナギになり、休眠し来春に備える。

どうしたらよいのだろうか?
 天敵の鳥や昆虫たちと共同戦線を形成することである。すなわち薬剤散布は最悪の方法である。天敵を大切にして、人力で捕殺することである。越冬サナギや夏サナギがどこにいるのかを丹念に観察することである。

 巣網を発見するために、5~6月は上を向いて歩こう。そして、高枝ばさみで切り取ればいい。こうやって、人間の力が超えられたとき、自然に敬服するしかないのである。アメシロは日本にやってきてからすでに70年になろうとしている。アメシロは日本の気候に適応し、もう「ニホンシロヒトリ」というにふさわしいのかもしれない。

下図は『アメリカシロヒトリ-種の歴史の断面』より
         

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