
第2次不二越強制連行・強制労働訴訟控訴審判決報告
3月8日付けの商業新聞に、小さく「最高裁人事…名古屋高裁部総括判事(名古屋高裁金沢支部長)渡辺修明…」という記事が掲載されている。不二越訴訟と七尾訴訟の判決を書いた渡辺修明裁判長は「控訴棄却」というみやげをもって、出世街道を邁進している。
(1)不当判決弾劾
3月8日、不二越強制連行被害者に、4度目の不当判決が下された。1992年から始まった法廷での闘いの中で、不二越への強制連行・強制労働の事実が曇りなく明らかにされ、裁判所は4度事実を認定しながら、4度国と企業を救済する判決をくだした。
「本件控訴をいずれも棄却する」と述べるや、きびすを返して退席する裁判長に、原告は「逃げるのか」「話も聞かないのか」と叫び、裁判長の机をたたき続けた。
判決に怒りの涙を流した原告と共に、全国から集まった60人を超える傍聴者は裁判所構内で不当判決抗議集会を開催した。裁判所は石川県警を引き入れ、不当判決を訴える原告と支援を力づくで排除した。
(2)一貫性のない判決
控訴審判決では、国が主張する「国家無答責」を否定した。当然である。明治憲法のもとでも認めることが出来ない屁理屈を、現憲法下で適用して国家犯罪を容認することなど出来るはずがない。
判決は国と不二越の共同不法行為を認定した。不二越での習い事などは不可能であることを知りながら、可能であるかのように偽って勧誘したことは説明義務違反であるとし、富山地裁判決ではあいまいにしていた国と不二越の違法行為を明確に認定したのだ。
このように、富山地裁判決よりも明快に強制連行・強制労働の事実を認め、国と不二越の法的責任を断罪しながら、結論は「日韓請求権協定により、個人の請求権は放棄されている」として、原告の請求を棄却した。
渡辺裁判長は1996年の富山地裁判決で「日韓請求権協定は個人の請求権を放棄させたものではない」と判決しながら、今回の判決では、「日韓請求権協定により、個人の請求権は放棄されている」と判決した。人間の心を投げ捨て、出世に目がくらんだ裁判官によるぐらぐらの判決である。
(3)原告と共に立とう
原告の怒りはいかばかりか! 判決に立ち会ったAさん、Kさんはわずか13歳の時に、日本に強制連行され、その幼い手で、旋盤作業を行い、粗末な食事と、暖房のない極寒の宿舎での生活を強いられたのだ。栄養失調と強労働によって、少女たちは次々とジフテリアや腸チフスなどの病にかかり、機械で指を切断するなど、少女たちの血と涙が不二越の工場に満ち満ちている。
(4)韓国併合100年目の年に
1990年代から始まった戦争責任追及・戦後補償訴訟は100件前後に達している。しかし2007年4月27日の最高裁判決を境にして、すべての戦後補償訴訟を請求棄却している。累々と積み重なる不当判決の山とはなにか。日本の侵略と植民地支配の汚れた紋章であり、侵略と植民地支配の居直りと美化以外の何ものでもない。
4回も繰り返された不二越不当判決は1870年代から始まった朝鮮侵略、日清・日露戦争、1910年から36年間の植民地支配の歴史的責任を一切認めないという、強盗の意思表明だ。植民地支配の謝罪なき「日韓和解・未来志向・経済協力」は日本の再侵略のてこであり、植民地主義の継続である。
(5)日・朝・中人民の連帯で
控訴審不当判決を受けて、翌3月9日、原告は不二越門前闘争に決起した。降りしきる雪をものともせず、全国集会をおこなった。3月10日に予定されている七尾中国人強制連行訴訟控訴審判決のために来日された中国人原告が合流した。福岡、埼玉、東京、大阪、静岡から駆けつけてきた仲間と共にたたかいぬかれた。
3月10日、名古屋高裁金沢支部で、同じ渡辺裁判長が七尾中国人強制連行訴訟控訴審の判決を言い渡した。「甚だしく人倫にもとる行為」と国の違法性を認定しながら、結論は「日中共同声明で個人の請求権は放棄されている」とした。まさに、裁判所自らの判断を放棄し、最高裁に倣った判決だった。
日本の再侵略の野望を打ち砕くためには、日本、朝鮮(韓国)、中国(台湾)、アジアの人民が固く連帯してたたかう道を進まねばならない。不二越訴訟原告、七尾訴訟原告、そして日本の支援者がその先頭に立たねばならないし、その道は開かれたのだ。
<資料>戦後補償訴訟判決(2007年4月27日以降)2010年3月作成
中国人強制連行訴訟(西松建設) 07/4/27上告棄却(最高裁)
中国劉連仁訴訟 07/4/27上告棄却(最高裁)
中国人強制連行福岡訴訟 07/4/27上告棄却(最高裁)
中国人「慰安婦」第1次、2次訴訟 07/4/27上告棄却(最高裁)
中国731部隊訴訟 07/5/9上告棄却(最高裁)
中国南京虐殺・無差別爆撃訴訟 07/5/9上告棄却(最高裁)
韓国人元女子勤労挺身隊訴訟(名古屋三菱) 07/5/31控訴棄却(名古屋高裁)
中国人強制連行京都・大江山訴訟(対政府) 07/6/13上告棄却(最高裁)
中国人強制連行東京第2次訴訟(41人) 07/6/15上告棄却(最高裁)
中国人強制連行北海道訴訟 07/6/28控訴棄却(札幌高裁)
中国遺棄毒ガス兵器訴訟(第1) 07/7/18逆転敗訴(東京高裁)
中国人強制連行群馬訴訟 07/8/29請求棄却(前橋地裁)
韓国不二越第2次訴訟(23人、03.4.1提訴) 07/9/19請求棄却(富山地裁)
韓国広島三菱元徴用工被爆者訴訟 07/11/1上告棄却(最高裁)賠償確定
中国人強制連行山形・酒田訴訟 08/2/12請求棄却(山形地裁)
中国人強制連行新潟訴訟 08/7/4上告棄却(最高裁)
中国人強制連行北海道訴訟 08/7/8上告棄却(最高裁)
中国人強制連行長崎訴訟 08/10/20控訴棄却(福岡高裁)
中国人強制連行七尾訴訟(05/7/19提訴) 08/10/31請求棄却(金沢地裁)
韓国人元女子勤労挺身隊訴訟(名古屋三菱) 08/11/11上告棄却(最高裁)
中国人強制連行福岡第2次訴訟 09/3/9控訴棄却(福岡高裁)
中国・海南島戦時性暴力被害者名誉回復等請求訴訟 09/3/26控訴棄却(東京高裁)
中国人強制連行宮崎訴訟 09/3/27控訴棄却(福岡高裁)
中国遺棄毒ガス兵器訴訟(第1,2次) 09/5/26上告棄却(最高裁)
中国人強制連行長野訴訟 09/9/17 控訴棄却(東京高裁)
韓国元軍人・軍属謝罪・補償請求訴訟(東京) 09/10/29控訴棄却(東京高裁)
中国人強制連行山形・酒田訴訟 09/11/20 控訴棄却(仙台高裁)
中国人強制連行福岡第2次訴訟 09/12/24上告棄却(最高裁)
中国人強制連行長崎訴訟 09/12/24上告棄却(最高裁)
中国人強制連行群馬訴訟 10/2/9控訴棄却(東京高裁)
韓国不二越第2次訴訟(23人、03.4.1提訴) 10/3/8控訴棄却(名古屋高裁金沢支部)
中国人強制連行七尾訴訟(05/7/19提訴) 10/3/10控訴棄却(名古屋高裁金沢支部)
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中国重慶爆撃被害者訴訟(06.3.30提訴40人)
中国遺棄毒ガス訴訟(第3次)48人07.1.25提訴
3月8日付けの商業新聞に、小さく「最高裁人事…名古屋高裁部総括判事(名古屋高裁金沢支部長)渡辺修明…」という記事が掲載されている。不二越訴訟と七尾訴訟の判決を書いた渡辺修明裁判長は「控訴棄却」というみやげをもって、出世街道を邁進している。
(1)不当判決弾劾
3月8日、不二越強制連行被害者に、4度目の不当判決が下された。1992年から始まった法廷での闘いの中で、不二越への強制連行・強制労働の事実が曇りなく明らかにされ、裁判所は4度事実を認定しながら、4度国と企業を救済する判決をくだした。
「本件控訴をいずれも棄却する」と述べるや、きびすを返して退席する裁判長に、原告は「逃げるのか」「話も聞かないのか」と叫び、裁判長の机をたたき続けた。
判決に怒りの涙を流した原告と共に、全国から集まった60人を超える傍聴者は裁判所構内で不当判決抗議集会を開催した。裁判所は石川県警を引き入れ、不当判決を訴える原告と支援を力づくで排除した。
(2)一貫性のない判決
控訴審判決では、国が主張する「国家無答責」を否定した。当然である。明治憲法のもとでも認めることが出来ない屁理屈を、現憲法下で適用して国家犯罪を容認することなど出来るはずがない。
判決は国と不二越の共同不法行為を認定した。不二越での習い事などは不可能であることを知りながら、可能であるかのように偽って勧誘したことは説明義務違反であるとし、富山地裁判決ではあいまいにしていた国と不二越の違法行為を明確に認定したのだ。
このように、富山地裁判決よりも明快に強制連行・強制労働の事実を認め、国と不二越の法的責任を断罪しながら、結論は「日韓請求権協定により、個人の請求権は放棄されている」として、原告の請求を棄却した。
渡辺裁判長は1996年の富山地裁判決で「日韓請求権協定は個人の請求権を放棄させたものではない」と判決しながら、今回の判決では、「日韓請求権協定により、個人の請求権は放棄されている」と判決した。人間の心を投げ捨て、出世に目がくらんだ裁判官によるぐらぐらの判決である。
(3)原告と共に立とう
原告の怒りはいかばかりか! 判決に立ち会ったAさん、Kさんはわずか13歳の時に、日本に強制連行され、その幼い手で、旋盤作業を行い、粗末な食事と、暖房のない極寒の宿舎での生活を強いられたのだ。栄養失調と強労働によって、少女たちは次々とジフテリアや腸チフスなどの病にかかり、機械で指を切断するなど、少女たちの血と涙が不二越の工場に満ち満ちている。
(4)韓国併合100年目の年に
1990年代から始まった戦争責任追及・戦後補償訴訟は100件前後に達している。しかし2007年4月27日の最高裁判決を境にして、すべての戦後補償訴訟を請求棄却している。累々と積み重なる不当判決の山とはなにか。日本の侵略と植民地支配の汚れた紋章であり、侵略と植民地支配の居直りと美化以外の何ものでもない。
4回も繰り返された不二越不当判決は1870年代から始まった朝鮮侵略、日清・日露戦争、1910年から36年間の植民地支配の歴史的責任を一切認めないという、強盗の意思表明だ。植民地支配の謝罪なき「日韓和解・未来志向・経済協力」は日本の再侵略のてこであり、植民地主義の継続である。
(5)日・朝・中人民の連帯で
控訴審不当判決を受けて、翌3月9日、原告は不二越門前闘争に決起した。降りしきる雪をものともせず、全国集会をおこなった。3月10日に予定されている七尾中国人強制連行訴訟控訴審判決のために来日された中国人原告が合流した。福岡、埼玉、東京、大阪、静岡から駆けつけてきた仲間と共にたたかいぬかれた。
3月10日、名古屋高裁金沢支部で、同じ渡辺裁判長が七尾中国人強制連行訴訟控訴審の判決を言い渡した。「甚だしく人倫にもとる行為」と国の違法性を認定しながら、結論は「日中共同声明で個人の請求権は放棄されている」とした。まさに、裁判所自らの判断を放棄し、最高裁に倣った判決だった。
日本の再侵略の野望を打ち砕くためには、日本、朝鮮(韓国)、中国(台湾)、アジアの人民が固く連帯してたたかう道を進まねばならない。不二越訴訟原告、七尾訴訟原告、そして日本の支援者がその先頭に立たねばならないし、その道は開かれたのだ。
<資料>戦後補償訴訟判決(2007年4月27日以降)2010年3月作成
中国人強制連行訴訟(西松建設) 07/4/27上告棄却(最高裁)
中国劉連仁訴訟 07/4/27上告棄却(最高裁)
中国人強制連行福岡訴訟 07/4/27上告棄却(最高裁)
中国人「慰安婦」第1次、2次訴訟 07/4/27上告棄却(最高裁)
中国731部隊訴訟 07/5/9上告棄却(最高裁)
中国南京虐殺・無差別爆撃訴訟 07/5/9上告棄却(最高裁)
韓国人元女子勤労挺身隊訴訟(名古屋三菱) 07/5/31控訴棄却(名古屋高裁)
中国人強制連行京都・大江山訴訟(対政府) 07/6/13上告棄却(最高裁)
中国人強制連行東京第2次訴訟(41人) 07/6/15上告棄却(最高裁)
中国人強制連行北海道訴訟 07/6/28控訴棄却(札幌高裁)
中国遺棄毒ガス兵器訴訟(第1) 07/7/18逆転敗訴(東京高裁)
中国人強制連行群馬訴訟 07/8/29請求棄却(前橋地裁)
韓国不二越第2次訴訟(23人、03.4.1提訴) 07/9/19請求棄却(富山地裁)
韓国広島三菱元徴用工被爆者訴訟 07/11/1上告棄却(最高裁)賠償確定
中国人強制連行山形・酒田訴訟 08/2/12請求棄却(山形地裁)
中国人強制連行新潟訴訟 08/7/4上告棄却(最高裁)
中国人強制連行北海道訴訟 08/7/8上告棄却(最高裁)
中国人強制連行長崎訴訟 08/10/20控訴棄却(福岡高裁)
中国人強制連行七尾訴訟(05/7/19提訴) 08/10/31請求棄却(金沢地裁)
韓国人元女子勤労挺身隊訴訟(名古屋三菱) 08/11/11上告棄却(最高裁)
中国人強制連行福岡第2次訴訟 09/3/9控訴棄却(福岡高裁)
中国・海南島戦時性暴力被害者名誉回復等請求訴訟 09/3/26控訴棄却(東京高裁)
中国人強制連行宮崎訴訟 09/3/27控訴棄却(福岡高裁)
中国遺棄毒ガス兵器訴訟(第1,2次) 09/5/26上告棄却(最高裁)
中国人強制連行長野訴訟 09/9/17 控訴棄却(東京高裁)
韓国元軍人・軍属謝罪・補償請求訴訟(東京) 09/10/29控訴棄却(東京高裁)
中国人強制連行山形・酒田訴訟 09/11/20 控訴棄却(仙台高裁)
中国人強制連行福岡第2次訴訟 09/12/24上告棄却(最高裁)
中国人強制連行長崎訴訟 09/12/24上告棄却(最高裁)
中国人強制連行群馬訴訟 10/2/9控訴棄却(東京高裁)
韓国不二越第2次訴訟(23人、03.4.1提訴) 10/3/8控訴棄却(名古屋高裁金沢支部)
中国人強制連行七尾訴訟(05/7/19提訴) 10/3/10控訴棄却(名古屋高裁金沢支部)
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中国重慶爆撃被害者訴訟(06.3.30提訴40人)
中国遺棄毒ガス訴訟(第3次)48人07.1.25提訴