おっさんひとり犬いっぴき

家族がふえてノンキな暮らし

美意識とか文化とか

2023-02-05 14:03:40 | 日記
 「エンデュランス号漂流」をあっという間に読んでしまったので、次はドナルド・キーンさんの「日本人の美意識」を読むことにした。というか、キーンさんの「明治天皇」を読む終えた後、引き続きキーンさんの本を読もうとネットで注文したのだが、届くのが思ったより遅かったので、その前に南極の冒険の話を読むことにしたのだった。

 で、キーンさんの「明治天皇」では、外国人が見た日本の明治という時代の話だったが、今度は外国人が見た日本人特有の美意識についてである。まだ最初のページを開いたばかりだが、「日本の美学を代表する日本語に『渋い』という言葉がある」と言われると、日本人なら「わび」とか「さび」はそれなりに身についた美的センスだと思っているが、続けてキーンさんは「あの歌舞伎の舞台で見る華麗さや、長い間日本人自身によって美の極地とされてきた、あの日光東照宮のけばけばしさを、どう説明すればいいのだろう?」と書いている。言われてみれば、奥ゆかしいだけが日本人の美的センスでもないようだ。

 またキーンさんは、バスの運転手の頭上に花が飾られていたり、公衆トイレの壁の花籠に優雅に花が生けれていたり、駅の遺失係の看板が墨で芸術的に書かれていたり、デパートの店員さんが芸術的としか思えない包装をしてくれたりということに、ひとつひとつ驚いている。そういう感想を聞いていると、去年サッカーワールドカップで、客席を掃除したり、ロッカールームをピカピカにして帰ったりしたというニュースが世界中で驚かれたが、それと同じものを感じてしまうのである。

 で、今日出かける用事があり、ついでに本屋に立ち寄ったのだが、本棚に「禅と日本文化」(鈴木大拙著)というのを見つけたので買ってきた。これは禅というものと、それに影響を受けた日本文化を海外の人に説明するために書いた本である。すぐにキーンさんの感じた日本人の美意識というものが、禅の思想と深く関わっているのだろうということを感じたので、この際勉強しておくことにしたのである。

 なぜ、日本の学校では世界では珍しい給食当番があり、掃除当番があるのか、わびさびといったひなびたことを良しとするような文化があるのか。日本人には当たり前すぎて不思議とも思えないことも、一度外国人になった気になって調べるのも面白いかと思う。もっとも、今の日本人は、すでに過去の日本人とは全然別種の人種になってしまい、文化も美意識も断絶してしまっているかもしれない。
コメント
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