フィヨルドの変人 ~Odd person in fjord~

ぇいらっしゃ~い!!!

ホントの素晴らしい歌手なら歌う場所なんか選ぶな

2012年10月13日 15時50分36秒 | 日記
英歌手S・ブライトマンが宇宙の旅、2015年にソユーズ搭乗(←リンク先はロイター)

なんだかなあ・・・。
こういう人達のために、ヴァージンあたりがやる宇宙体験飛行とかがあるわけだから、宇宙飛行士の邪魔はして欲しくないんだけどもねえ。
もちろん好意的な反応はあるし、単純に人一人乗っけて(訓練費用がかかるとは申せ)、数十億も払ってくれるんだから、予算が有限であるロシアの宇宙局にしてみればこれはありがたい話ではある。
何しろロシアってのはそういう国で、金さえ払えば戦闘機だって簡単に乗せてくれるし、別にこういうプログラムは初めてというわけじゃない。それに多額の金を積んで宇宙に人間を送ることに関しては、日本の方が大先輩だ。各国の宇宙開発予算が軒並み削られる中で、こういう風にお金払ってくれるのは、プラス面もそれなりにある。

だが、現在ではロシアだけの話にとどまらないのよね。

昔だったら、ロシア(ソ連)のロケットがどうなろうが、東側の外に影響はなかったわけだが(むしろ失敗してくれた方が西側にとってはありがたい)、スペースシャトルが退役した今、宇宙に人間を送り出せるのはロシアのソユーズしかない。んで、こいつの定員はたったの3人しかない(スペースシャトルは最大8人)。各国がせっせと宇宙飛行士を育てても、順番待ちの列はかなりな長蛇の列となっている。もともとそんな状態だったものが、スペースシャトルの退役によって、一層狭き門となっている。宇宙飛行士になりたくて長年訓練をつんでいる人にとって、悪く言えば横入りとも言えることをされる訳だから、彼らの心境を思うと流石に諸手を挙げては歓迎できないね、この話。

他にも首を捻ることはある。行き来をするソユーズにせよ、滞在する国際宇宙ステーションにせよ、単なる旅客機やホテルではないという事。基本的に素人がいていい場所というのは一つもないわけで、触ったらそこにいる全員が即死するようなスイッチ(ハッチを開けるとか)も普通にある。カバー程度はあるらしいが、異常時に即座に対応できるように、そんなに厳重にはなっていない。何年も訓練を積んだプロしかいない場所なわけだから、それでも問題は起きないわけ。
が、ちょいと練習した程度の人間の場合、パニくると何するか分からんわけで、その点は一緒に宇宙に滞在するメンツには相当のストレスになるらしい。
前述のように、金を積んで宇宙に行ったのは日本のマスコミが先駆者だけれども、かのアメリカのNASAもこういうのはやっていた。政治家、他国の関係者(シャトルでその国の衛星を有償で打ち上げることと引換)、教師、などなどだ。
ちなみにとあるシャトルミッションで、こういう「お客さん」がサイドハッチの開閉機構に相当の関心を抱いたことがあるらしい。実はシャトルのハッチはハンドルを1回転させるだけでスパンと外に簡単に開くのだ(理由は「アポロ一号」とかでググるとよく分かる)。宇宙空間でそんなことされた日にはどうなるかは子供でも分かる。宇宙飛行士は気が気じゃなかったらしく、以降のミッションではこういう場合は鍵がかけられたらしい。
ロケットに素人を載せることの危険性を、元宇宙飛行士は旅客機でこんな機内放送が流れたら皆さんはどう思うか? という形で例えている。
「こちらは機長です。当機は一万メートルを巡航していますので、ごゆっくり飛行をお楽しみください。ああ、ところで、当機の操縦席にはミスター・ジョーンズがついております。ミスター・ジョーンズは操縦席のスイッチの役目を全く知りませんが、触らないように言ってありますのでご安心ください。ミスター・ジョーンズはおそらく触らないと思います。知り合ってまだ間がないので、ストレスがかかった状況でミスター・ジョーンズがどうふるまうかははっきり予測できません。しかし、航空会社の本部は大丈夫だと言っております。もちろん、お偉方はミスター・ジョーンズを私よりもっと知らないのですが、とりあえず、良い奴のように見えます。だから、わたしがコックピットを出てトイレに行くのをご覧になっても、ご心配なさらないでください。ミスター・ジョーンズは一人でおとなしく座っているはずです。」
素人がロケットに乗るというのは、要はそういう事なんである。宇宙空間は、まだまだ軽い訓練で行けるほど甘っちょろい場所ではないのだ。
宇宙へ飛ぶことにより、何も知らないアホなマスコミや愚衆は、その行為のみで賞賛をするだろう。それはそれでも構わないが、プロの宇宙飛行士から「あいつ、横入りしてきたけどなかなかやるな」と思われなければ、飛んだところで意味はない。2015年に飛ぶという事は、あと3年位。その間歌手活動は全面的に止め、宇宙飛行士と同じ釜の飯を食って、毎日毎日訓練に明け暮れて、周りに認められるようになれば、そう言ってもらえる「かも」ね。それが出来なきゃ、ぬたりは賞賛は一切しない。むしろ害悪だ。

繰り返し言う。宇宙に行きたきゃヴァージン・ギャラクティックの弾道宇宙旅行をすればいい。わざわざプロの邪魔をする必要などどこにもない。4分あれば1曲歌えるだろが。
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