新聞の片隅に載ったニュースから(45)
「河野談話」の見直し提起も 国家公安委員長(2012.8.28毎日新聞)
野田佳彦首相は27日の参院予算委員会で韓国の李明博大統領が竹島に上陸した背景に
旧日本軍の従軍慰安婦問題に対する日本政府の対応への不満があったとの見方について、
「そんなことを理由に上陸したのなら、おかしな話だ」と不快感を示した。首相は
慰安婦問題で「心からのおわびと反省」を表明した93年の河野洋平官房長官談話に関し、
「わが政府としても踏襲する」と述べた。ただ、松原仁国家公安委員長は河野談話について
「政府が発見した資料には軍や官憲による強制連行を直接示す記述は見当たらなかったことも
踏まえ、閣僚間で議論すべきだと提案することを考えたい」と述べ、見直しの提起を
検討する考えを示した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
首相が「河野談話を踏襲する」と言っているのに、閣僚が「見直しを提起」するのは、
閣内不一致の謗りを免れません。
松原氏は「閣僚は靖国神社へ参拝しない」という野田首相の指示があるのに、8月15日に
「私的参拝」と称して、みんなで靖国神社を参拝する国会議員の会の一員として参拝しました。
野田内閣が公式参拝を行なわないのは、靖国神社にA級戦犯が合祀されており、かつて
日本の侵略を受けたと抗議している国の反発に配慮してのことです。松原氏は南京大虐殺も
なかったと主張しています。
大阪維新の会の橋下代表(大阪市長)も21日に、竹島問題の背景に「従軍慰安婦という
大きな課題が根っこにある」と指摘した上で、「強制連行に確証がない。河野談話に
問題があったんだんならあったとはっきりいわなければいけない」と述べています。(8月22日朝日新聞)
従軍慰安婦に対する強制連行を否定し、靖国神社を英霊を祀るところ(だから首相が
公式参拝すべきだ)と主張する人たちは、かつての戦争をあれは欧米の植民地支配から
アジアを解放するためだったと主張する共通した歴史観を持ち、アジアの国々に多大な
損害を与えたとする意見を「自虐史観」と非難している人たちです。
竹島問題や尖閣諸島の魚釣島に香港の活動家が上陸した問題では、韓国や中国での
ナショナリズムの高まりがその背景として指摘されていますが、それに対抗して日本の
国内でも嫌韓、嫌中を煽る変な愛国心が横行してほしくないと思っています。
それぞれの島の領有権問題は一方的に片方の国が「わが国固有の領土だ」とだけ主張
するのでは解決しません。國際司法裁判所に判断を仰ぐのも一つの手段ですし、両国が
歴史的な資料などを出し合いながら、かつて歴史教科書問題で日中の専門家が一つのテーブルに
着いて資料(証拠)を基に研究しあい、一部に不合意を残しながらも一定の共通理解を
作りだしたように、話合いによる解決を見出してほしいと思います。
それこそが憲法九条を持っている国がとるべき道です。
大西 五郎
「河野談話」の見直し提起も 国家公安委員長(2012.8.28毎日新聞)
野田佳彦首相は27日の参院予算委員会で韓国の李明博大統領が竹島に上陸した背景に
旧日本軍の従軍慰安婦問題に対する日本政府の対応への不満があったとの見方について、
「そんなことを理由に上陸したのなら、おかしな話だ」と不快感を示した。首相は
慰安婦問題で「心からのおわびと反省」を表明した93年の河野洋平官房長官談話に関し、
「わが政府としても踏襲する」と述べた。ただ、松原仁国家公安委員長は河野談話について
「政府が発見した資料には軍や官憲による強制連行を直接示す記述は見当たらなかったことも
踏まえ、閣僚間で議論すべきだと提案することを考えたい」と述べ、見直しの提起を
検討する考えを示した。
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首相が「河野談話を踏襲する」と言っているのに、閣僚が「見直しを提起」するのは、
閣内不一致の謗りを免れません。
松原氏は「閣僚は靖国神社へ参拝しない」という野田首相の指示があるのに、8月15日に
「私的参拝」と称して、みんなで靖国神社を参拝する国会議員の会の一員として参拝しました。
野田内閣が公式参拝を行なわないのは、靖国神社にA級戦犯が合祀されており、かつて
日本の侵略を受けたと抗議している国の反発に配慮してのことです。松原氏は南京大虐殺も
なかったと主張しています。
大阪維新の会の橋下代表(大阪市長)も21日に、竹島問題の背景に「従軍慰安婦という
大きな課題が根っこにある」と指摘した上で、「強制連行に確証がない。河野談話に
問題があったんだんならあったとはっきりいわなければいけない」と述べています。(8月22日朝日新聞)
従軍慰安婦に対する強制連行を否定し、靖国神社を英霊を祀るところ(だから首相が
公式参拝すべきだ)と主張する人たちは、かつての戦争をあれは欧米の植民地支配から
アジアを解放するためだったと主張する共通した歴史観を持ち、アジアの国々に多大な
損害を与えたとする意見を「自虐史観」と非難している人たちです。
竹島問題や尖閣諸島の魚釣島に香港の活動家が上陸した問題では、韓国や中国での
ナショナリズムの高まりがその背景として指摘されていますが、それに対抗して日本の
国内でも嫌韓、嫌中を煽る変な愛国心が横行してほしくないと思っています。
それぞれの島の領有権問題は一方的に片方の国が「わが国固有の領土だ」とだけ主張
するのでは解決しません。國際司法裁判所に判断を仰ぐのも一つの手段ですし、両国が
歴史的な資料などを出し合いながら、かつて歴史教科書問題で日中の専門家が一つのテーブルに
着いて資料(証拠)を基に研究しあい、一部に不合意を残しながらも一定の共通理解を
作りだしたように、話合いによる解決を見出してほしいと思います。
それこそが憲法九条を持っている国がとるべき道です。
大西 五郎