標記のことが、サッカー雀の大きすぎる話題になっている。この舞台裏を推察するに、何か大きな力がかかったと確信する。日本の地上波テレビ界に長く君臨した唯一・無二のサッカー番組、しかもあの時間帯であれだけの視聴率を取る人気番組がなぜ、という不思議さという理由からである。
Jリーグ・サッカー放映を巡るここ5年ほどの日本のテレビ業界には、ある巨大な争いが存在してきた。Jリーグは、17年シーズン以降の独占放映権(無料テレビ放送を除く)をインターネットスポーツ中継サービス「ダ・ゾーン」を展開するイギリスのスポーツコンテンツ企業、パフォーム・グループと契約した。人々の耳目を集めたのが、その「破格」の契約額だった。最終的にパフォームがJリーグ側と結んだ契約額は10年分で約2100億円。それまで独占放映権を持っていたスカパーが支払ってきた金額は1年あたり約50億と言われ、単純計算で実に4倍強にもなる。
さて、以来日本のテレビ業界はダ・ゾーンに対してJリーグ戦を買わないという合同カルテルによるストライキ締め出しのような措置を執ってきたのではなかったか。かくして、Jリーグ戦の通常テレビ中継はNHK・BSでたまに観られるだけとなってしまった。それでもこの4年、ダ・ゾーンが音を上げないとならば、日本のテレビ業界によるカルテル行為をもっと強めると、そんな措置の嫌がらせがとうとう「やべっち」にもかかっていったのではないかと推察するのである。
ちなみに、今の日本ではサッカーよりも野球の方がテレビ放映も含めてずっと人気があるように見えるが、サッカーと野球との世界的人気格差から言って日本でもこれが近い将来逆転するのは必然である。世界で200か国以上に代表が出来るサッカーと30か国もない野球とでは、このグローバル時代の将来性が全く比較にならないのである。例えば、サッカーだけの世界大会ワールドカップが、オリンピックに匹敵するという人気競技なのだ。その有望な国内コンテンツを外国資本に取られてしまった。それも2026年まで! サッカー人気を押し殺すとかの色んな嫌がらせなど、どんな手段を使ってでもこれを取り返したいと、Jリーグに対して「こっちに寄ってこなければ、さしあたって2026年まで何でもやるぞ」と、そんな措置なのではなかったか。
日本のテレビ業界のサッカー締め出しは、2026年まで続くのだろうが、はて、この戦い、ダ・ゾーンやJリーグを相手にして、日本のテレビ業界が勝利することがありうるのだろうか。