九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

 八十路ランナーの手記(432) 膀胱癌患者の手記②  文科系

2022年05月29日 14時25分32秒 | #闘病

 ここに書いてきた膀胱癌は、厄介なことになりました。厚い膀胱のその筋肉層にも浸潤していて内視鏡削除術では取り切れぬ部分があり、今後間もなく膀胱を取る手術になっていく方向です。癌の度合いは第2~3期の進行癌ということから、5年生存率は50%内外、と。現在大きな転移は見つかっていないとしても、いろんな転移がありえて、闘っていくことになるだろうということです。さて、そんなわけで僕は、この手記の題名を今後は「膀胱癌患者の手記」と変えることにしました。この日本では、癌で死んでいく人が最も多いということから、癌患者がどういうもので、どう闘って週末を迎えるかを詳細に残すことが、今の僕にできる社会貢献になるだろうという思いです。幸いというとおかしいですが、ここにも書いてきたように、自分の死を青年時代からずっと意識しつつ生きてきたものですから、この今も割と冷静に迎えることができていますし。また、どんな進行癌でもいずれ死を迎える場合には、転移との闘いは同じようなものになるようですから、記録の意味は大きいと考えました。今日は先ず、僕が失敗した予防について書いてみます。僕については、掛かり付け医師のこんな「失敗」があったということを。

 僕はここにも書いてきて2017年初めに終了した前立腺癌陽子線治療(完治)以来5年間、定期的にこれの予後観察通院をしてきました。この陽子線治療病院に紹介状を書いてもらった、家の近くの掛かり付けの泌尿器科医師と合わせてのことです。この掛かり付け医師からは、この間ずっと「尿を出しやすくする薬」をもらっていたことですし。そして、この医師には軽い排尿痛をこの1年近く訴えてきました。ほぼこの期間にはここで通院ごとに尿検査をしていて、医師自身も「尿に潜血がある」といつも通告してくれたものでした。それなら普通、膀胱近辺をエコーで検査するはずで、それによって一発で癌は見つかったはずなのです。

 と、これが、今回手術をした大病院の方の医師にこれまでの経過を話したら教えられたことでした。

 なお、家庭医学事典のような物の本を読んでも、膀胱癌についてはこう書いてありました。「尿潜血があれば、医師はその原因を早急に究明するはず」と。なのにこの医師は、僕の排尿痛訴えを聞き流して、「尿に潜血があっても炎症細胞が出ていないから癌はない」と告げつつ、「抗生物質を出してみましょう」などと対応し、早期発見の時を失してしまったのでした。
 
 こんな事があるものなんですね。僕の連れ合いや家族などは、猛烈に怒っています。

 

 なお、今回26日から今日までの入院では、多くの本が読めました。ここにも紹介した「隷属なき道」と、芥川龍之介、ツルゲーネフ、プーシキンの三作品集拾い読みです。作品集それぞれで面白かったのは、芋粥、地獄変と、ルージン、大尉の娘などです。芥川は、人と世の中とを斜に見たその「高踏」が芸術至上主義と言われるのだろうが、流石にその短編のいろんな奇想は面白い。高踏的ストーリーテラーと読めた。ツルゲーネフのルージンは、19世紀前半のあるロシア・インテリゲンチャーの生涯を描いている。スタンダールの「赤と黒」と同様のモチーフだが、フランス第2共和制を生んだ1848年のパリ二月革命で終わっているところがこの主人公の時代というもの。大尉の娘は、18世紀後半のプガチョーフの反乱を部隊とした一種の活劇物でもあり、僕にはとても面白いストーリー小説でした。


コメント (10)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 八十路ランナーの手記(43... | トップ | 書評 「嫌われた監督」(文... »
最新の画像もっと見る

10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (げたのうら)
2022-05-29 19:49:56
早期発見の機会を逃してしまった事は不運でしたが、現時点で他臓器への転移が無い事は幸いでしたね。今後も転移がないことを祈っています。
オストメイトのランナーも普通のことですから少しでも早い復帰を願っています。
返信する
ストーマ (文科系)
2022-05-29 20:39:35
 励ましを有り難う。
 ストーマを付けたランナーのことですね。先日のジムでは、僕がランを教えてきた友が、「テニス仲間にストーマ付けて戻ってきた人が居るよ。大丈夫なのかなと思ってるけど・・」と言われ、勇気づけられたもの。また勇気づけられた次第です。
 僕もそういう勇気づけられる人になりたいですね。ここの文章含めて。
返信する
Unknown (佐保子)
2022-05-30 09:18:09
元気なこのブログ読んで、さすがと感心しています。わたしも多発性骨髄腫という治せない癌患者で、幸い3度の化学療法のおかげで今は治療に通わず3か月ごとの血液検査で過ごせています。同じがん患者としてこのブログを応援しつつ読んでいきますね。頑張りすぎず、体力を落とさないように気を付けて下さい。
返信する
佐保ちゃんへ (文科系)
2022-05-30 14:37:10
 この癌のことも、初めから外科医である兄に相談してきました。名市大第一外科の助教授から外に出て行った人ですが、こう言っています。
「一通りのことは言えるが、今の医学、医術はどんどん進んでいて、分からぬ事も多い」
 と言いつつ、例えば上で書いた超音波診断器、いわゆるエコーでさえ若い人でないと使わないなどと教えてくれます。貴女の白血病の例を見ても、10年前ならもう死んでいるはずでしょ? 
 僕もまー、定期検査だけはきちんと受けていき、早めに先手をとやっていきたいと考えています。筋トレ、ストレッチ、活性酸素対策の野菜スープなど、闘病にも基礎となる活動力を維持しつつね。
 人工膀胱を身に付けたマラソン・ランナーやテニス愛好者も多いと聞きましたが、流石のスポーツマンと励まされてもいますし・・・。
 
返信する
Unknown (I.SATO)
2022-06-02 05:52:21
文化系さん>癌治療も日々進化していると思いますが、冷静に対峙され、死を生きることを考える糧にされているようでもあり、ただただ敬服しております。
哲学の道を選ばれたことも頷けました。
〝自分の死を青年時代からずっと意識しつつ生きてきたものですから、この今も割と冷静に迎えることができています〟という下りを読みまして、その意味合いはj違いますが、先日、読んだ西部邁と重なりました。
どうぞお身体ご自愛ください。
返信する
SATOさんへ (文科系)
2022-06-02 15:28:18
 お見舞いの言葉を有り難うございました。死を意識して生きてきたと言っても、その質は25日の随筆に書いた程度のものです。結論を言えば「この世を最も楽しんだ人たちのいろんな側面を生活に取り入れられてきた」「楽しんだ人並みには・・」ということでしょうか。
 あの随筆に書いた弟は、今それがないから深淵な悩みになってしまう。現役時代の幸せが大きすぎて、それにのみ身を挺して来られると、70近くなって気づいたら「深淵」が深くなっていたということなのでしょう。
 晩年同居した僕の父も弟と同じでしたが、弟と違って足掻いているようには見えませんでした。僕は母から学べました。現役時代から関わってきた同人誌の初め10年近くは、この母をモデルにした小説ばかり書いていました。
 
返信する
元気で (遅足)
2022-06-03 14:35:06
少しも変わらぬ人する生に
返信する
人生に対する態度に (遅足)
2022-06-03 14:40:31
少しのブレも感じられない。
返信する
元気で (遅足)
2022-06-03 14:54:41
本当にひさし
返信する
遅足君 (文科系)
2022-06-04 12:10:10
 励ましてくれて、ありがとう。本日までの状況報告を今日たった今、エントリーしました。それを見てください。

 他の読者の方々へ
 この遅足さんは、17年前にこのブログを始めたお二人の友人の1人です。僕は発足直後に誘われてここに来た。今の彼は、パーキンソン病と闘病中ですが、俳句の会「575の会」では今も現役。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。