出坑をまちてゐたりと妻の呼ぶ
声は明るし麦田のなかに 福島 矢内 直
八千草のみだれて匂ふ春の野に
みなみの涯に散りし恋恋ふ 三重 波田かづへ
☆二つの歌は極めて対照的です。
生還して祖国に帰れた男の喜びの歌、一方は恋しき人を南海に失い春の野辺に
悲しみを訴える女。
いずれも、過酷な戦争の影を背負っています。
声は明るし麦田のなかに 福島 矢内 直
八千草のみだれて匂ふ春の野に
みなみの涯に散りし恋恋ふ 三重 波田かづへ
☆二つの歌は極めて対照的です。
生還して祖国に帰れた男の喜びの歌、一方は恋しき人を南海に失い春の野辺に
悲しみを訴える女。
いずれも、過酷な戦争の影を背負っています。
後のは、昔の「出来事」を思い出して、「恋恋ふ」が身を切られるように極めて切実。
前のは、お連れあいさんが麦田から、「おいでよー」と、大らかなもんだ。僕なら、喜んで飛んでくな。