21日の「落石」さんの「投稿」《昭和天皇の心は?》への私のコメントの中で、「記者魂」ということに触れました。遅くなりましたが、紹介させていただきます。
定期購読している『週間金曜日』(7月21号)が届けられました。いつもその中の「人権とメディア」に注目していますが、今度の「第358回」では、共同通信社の「中嶋 啓明氏」が寄稿されています。
コメントの中に「記者魂」を感じました。
見出し : 朝鮮ミサイル発射事件 戦争を煽り、「在日」への暴行に冷淡
朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)の7月5日の「ミサイル発射」をきっかけに、マス・ヒステリーともいえる状況で、朝鮮パッシングだけが目的のような言説がマスメディア上に飛び交った。週刊誌には扇情的な見出しが躍り、国連安全保障理事会での朝鮮非難決議採択まで、マスメディアは連日、待ちわびるようなトーンで報じ続けた。
確かに、周辺海域の漁業関係者らに多大な危険を及ぼす可能性のある「ミサイル発射」を支持することはできない。2002年9月の日朝平壌宣言違反は明らかで、東アジアの軍拡を加速させる愚行である。
だが、米軍策定の朝鮮侵攻計画は常時、更新強化され、ハワイ沖や朝鮮半島周辺では米軍を中心にした軍事演習が朝鮮を仮想敵国に毎年、おこなわれている。日本はそれに何らかの形で参加、関与し、横須賀基地には平壌が射程に入る核弾頭搭載可能な巡航ミサイルを積んだ米軍艦艇が配備されている。
こうしたことが、今回の問題を考える上で、全くの思考の外に置かれていいはずはない。朝鮮側によると、5月以降、米軍の偵察機はしばしば朝鮮「上空」を侵犯し、偵察飛行を続けていたという。
7月6日付の英紙「The Times」でリチャード・ロイド・パリー記者は「何の物理的被害も引き起こしてなく、国際法も犯していない。国際法は、主権国家にミサイルの発射実験を認めている。なのになぜ、世界中の軍隊がルーティーンのようにやっている軍事演習に、あのように激怒したか」と書いた。
過去の植民地支配、侵略戦争に対する責任に一切背を向け、米国の朝鮮敵視政策に便乗して事実上の様々な経済制裁措置を発動している日本の側こそ平壌宣言違反だと批判されても仕方がない。
そうした状況を客観的に見ることなしに、ただ一方的に朝鮮の側のみを批判するのは、やはりアンフェアだ。対立する両当事者の意見・主張に耳を傾け、それを冷静に読者、視聴者に提供するという、ジャーナリズムの最低限の原則を放棄してしまっている。
こうした中、敵基地攻撃能力を保有すべきだなどという主張があらためて公然と閣僚らの間から挙がっている。
この侵略主義的な主張に対する「毎日新聞」7月12日社説は「しゃくし定規の専守防衛論に疑問を感じている国民もいるかもしれない。国民が脅威を感じるような新たな事態が生まれている以上、これにどう対処すべきかという議論は必要だろう」と、腰が引けてしまっている。「短兵急に反応するな」と、一応、この議論に釘をさす「朝日新聞」の同日社説も「いつか、本物の弾頭を載せて日本に撃つかもしれない。そんな漠とした不安を抱かせる事件だった」とアンフェアで一方的な「不安」の先導を繰り返す。
朝鮮学校の教職員でつくる在日本朝鮮人教職員同盟は7月14日、ミサイル発射事件の5日後、13日までの9日間だけでも、各地の朝鮮人学校に「生徒を殺してやる」「火炎瓶を投げ入れてやる」といった脅迫電話やメールが相次ぎ、朝鮮学校の児童・生徒らに対する暴行や脅迫など110件以上の嫌がらせが相次いでいることを明らかにした。中には愛知県で、「朝鮮人死ね」と叫ぶ中年男性から暴行を加えられた男子生徒が2週間のけがを負うという事件もあったという。
だが、在京主要紙では「東京」が社会面に3段見出しで報じたほかは「毎日」は20行程度の短報、「朝日」などベタ記事でしかない。在日朝鮮人に対する差別・排外主義を煽った自らの責任に全くほおかむりした無責任極まりない報道姿勢というほかない。
メディアは一刻も早くこうした戦争先導とも言える報道姿勢を改め、日本の参戦国家化を押しとどめるために力を尽くしてほしいと強く思う。
以上です。
定期購読している『週間金曜日』(7月21号)が届けられました。いつもその中の「人権とメディア」に注目していますが、今度の「第358回」では、共同通信社の「中嶋 啓明氏」が寄稿されています。
コメントの中に「記者魂」を感じました。
見出し : 朝鮮ミサイル発射事件 戦争を煽り、「在日」への暴行に冷淡
朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)の7月5日の「ミサイル発射」をきっかけに、マス・ヒステリーともいえる状況で、朝鮮パッシングだけが目的のような言説がマスメディア上に飛び交った。週刊誌には扇情的な見出しが躍り、国連安全保障理事会での朝鮮非難決議採択まで、マスメディアは連日、待ちわびるようなトーンで報じ続けた。
確かに、周辺海域の漁業関係者らに多大な危険を及ぼす可能性のある「ミサイル発射」を支持することはできない。2002年9月の日朝平壌宣言違反は明らかで、東アジアの軍拡を加速させる愚行である。
だが、米軍策定の朝鮮侵攻計画は常時、更新強化され、ハワイ沖や朝鮮半島周辺では米軍を中心にした軍事演習が朝鮮を仮想敵国に毎年、おこなわれている。日本はそれに何らかの形で参加、関与し、横須賀基地には平壌が射程に入る核弾頭搭載可能な巡航ミサイルを積んだ米軍艦艇が配備されている。
こうしたことが、今回の問題を考える上で、全くの思考の外に置かれていいはずはない。朝鮮側によると、5月以降、米軍の偵察機はしばしば朝鮮「上空」を侵犯し、偵察飛行を続けていたという。
7月6日付の英紙「The Times」でリチャード・ロイド・パリー記者は「何の物理的被害も引き起こしてなく、国際法も犯していない。国際法は、主権国家にミサイルの発射実験を認めている。なのになぜ、世界中の軍隊がルーティーンのようにやっている軍事演習に、あのように激怒したか」と書いた。
過去の植民地支配、侵略戦争に対する責任に一切背を向け、米国の朝鮮敵視政策に便乗して事実上の様々な経済制裁措置を発動している日本の側こそ平壌宣言違反だと批判されても仕方がない。
そうした状況を客観的に見ることなしに、ただ一方的に朝鮮の側のみを批判するのは、やはりアンフェアだ。対立する両当事者の意見・主張に耳を傾け、それを冷静に読者、視聴者に提供するという、ジャーナリズムの最低限の原則を放棄してしまっている。
こうした中、敵基地攻撃能力を保有すべきだなどという主張があらためて公然と閣僚らの間から挙がっている。
この侵略主義的な主張に対する「毎日新聞」7月12日社説は「しゃくし定規の専守防衛論に疑問を感じている国民もいるかもしれない。国民が脅威を感じるような新たな事態が生まれている以上、これにどう対処すべきかという議論は必要だろう」と、腰が引けてしまっている。「短兵急に反応するな」と、一応、この議論に釘をさす「朝日新聞」の同日社説も「いつか、本物の弾頭を載せて日本に撃つかもしれない。そんな漠とした不安を抱かせる事件だった」とアンフェアで一方的な「不安」の先導を繰り返す。
朝鮮学校の教職員でつくる在日本朝鮮人教職員同盟は7月14日、ミサイル発射事件の5日後、13日までの9日間だけでも、各地の朝鮮人学校に「生徒を殺してやる」「火炎瓶を投げ入れてやる」といった脅迫電話やメールが相次ぎ、朝鮮学校の児童・生徒らに対する暴行や脅迫など110件以上の嫌がらせが相次いでいることを明らかにした。中には愛知県で、「朝鮮人死ね」と叫ぶ中年男性から暴行を加えられた男子生徒が2週間のけがを負うという事件もあったという。
だが、在京主要紙では「東京」が社会面に3段見出しで報じたほかは「毎日」は20行程度の短報、「朝日」などベタ記事でしかない。在日朝鮮人に対する差別・排外主義を煽った自らの責任に全くほおかむりした無責任極まりない報道姿勢というほかない。
メディアは一刻も早くこうした戦争先導とも言える報道姿勢を改め、日本の参戦国家化を押しとどめるために力を尽くしてほしいと強く思う。
以上です。