OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

たまには反則もOK

2008-01-21 17:29:01 | Weblog

今日はシビアな仕事の話で疲れてしまいました。というよりも、自分にネバリが無くなっているのか……?

押しが利かなくなっている自分に、後で気がつくテイタラク……。

ということで、本日は――

The Swinging Guitar Of Tal Farlow (Verve)


タイトルどおり、痛快無比なギターの名盤! もちろん主人公のタル・ファーロウにとっても代表作でしょう。

録音は1956年5月、メンバーはタル・ファーロウ(g)、エディ・コスタ(p)、ヴィニー・バーク(b) という伝説のトリオです――

A-1 Taking A Chance On Love
A-2 Yardbird Suite
A-3 You Stepped Out Of A Dream
A-4 They Can't Take That Away From Me
B-1 Like Someone In Love
B-2 Metero
B-3 I Love You

――という演目は、モダンジャズではお馴染みのスタンダードにジャズオリジナル♪ ですから、バンドの勢いとか演奏の素晴らしさ、さらにメンバーの凄い技量と感性が素直に楽しめます。

特にタル・ファーロウのギターは、ブリブリのトライヴ感に豪華絢爛な歌心が驚異的で、低弦を積極的に使う音色の太さも最高ならば、早いテンポでも極力ごまかしを避け、同時に決してダレないアドリブは神業に近くなっています。

実際、ギターでアドリブをコピーしてみると、あまりにも難フレーズが多く、それを淀みなく弾きまくるタル・ファーロウには後光が射しているいるような……。

実はタル・ファーロウは外人としても手が相等に大きかったそうです。うっ、それは反則だよなぁ~。

という嘆息は抜きにして、やっぱり聴いていて爽快です。ただしミディアム~アップテンポの演奏ばかりなのは、ちょいと好き嫌いが分かれるかもしれません。

個人的には「Taking A Chance On Love」や「I Love You」の完璧に凄いアドリブにKOされますねぇ。「They Can't Take That Away From Me」に聴かれるように、自在なアクセントを付けるピッキングも凄いと思います。

そして別角度として、エディ・コスタとヴィニー・バークの存在感も強く、つまりトリオが対等の立場で秘術を尽くすというモダンジャズの真髄が記録されているのです。特に「Like Someone In Love」は自然体のアレンジも効いていて、和みます♪ 荒っぽさがスリルに変転する「You Stepped Out Of A Dream」も最高で、エディ・コスタは得意の低音乱れ打ちを炸裂させますし、ヴィニー・バークのベースもグリグリに迫ってくる快演になっています。

ちなみにこのアルバムはモノラル録音ですが、こういう演奏こそ、ステレオバージョンが聴きたいですねぇ~。左にギター、真ん中にピアノ、右にベースという立体音響が理想です。

というか、近い将来、自分の好みでミキシングや音の定位を作れるオーディが出て欲しいと願っています。PCならば作れそうな気もしていますが、いかがなもんでしょう。

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こんな日には……

2008-01-20 17:32:33 | Weblog

Hotwax の原稿も、どうやらメドがついて、ホッしたのも束の間、今度は母が膝の手術で入院決定とあって、バタバタしました。

ということで、本日は――

Turtles / Olaf Kubler & Jan Hammer Trio (enja)

全然、イケてないジャケットからして嫌な予感に満たされていましたが、まあ、お正月のおめでたい縁起の「亀」に免じてゲットしたCDです。

オラフ・キューブラーはドイツ系のサックス奏者で、ジャズからロックまで幅広い演奏をやっていますが、基本はスタンリー・タレンタイン風のタフテナー♪ ドイツ人の友人から貰ったカセットでは、ロックバンドを従えて、ブリブリに吹きまくっていたので、昔から気になっていたのです。

で、このアルバムは1968年にミュンヘンの「ドミシル」という店で行われたライブセッションの発掘音源で、音質は良好なステレオ録音♪

メンバーはオラフ・キューブラー(ts,ss)、ヤン・ハマー(p,org)、ジョージ・ムラーツ(b)、Cees See(ds)、Michael Dennert(ds) とされていますが、やはりヤン・ハマーの参加が魅力的です。

そして演目が、これまた気を惹くんですねぇ――

01 Blues For Jiri
02 Turtles
03 Stella By Starlight
04 Old Country
05 Solamente
06 Cork Screw
07 For T
08 Honeysuckle Rose
09 Sangrita Con Tequila
10 Let It Go

――しかし、結論からいうと、ハズしました……。だって、お目当てのオラフ・キューブラーがソフトタッチで??? 音程も危なくなっていたりして……。

それでも「Let It Go」はスタンリー・タレンタインのオリジナル曲ですから、調子が悪いなりに、ようやく「らしい」演奏を聞かせています。ヤン・ハマーのオルガンも味わい深いですねぇ。

冒頭の「Blues For Jiri」は気抜けビールのようなコルトレーン風のソプラノサックスが……。スタンダードの「Stella By Starlight」や「Honeysuckle Rose」では、カクテルサックスなんて言葉が浮かびます。

しかしジャズロックの「Turtles」や「Sangrita Con Tequila」は、東宝映画のキャバレーシーンか!? 全然、根性が入っていない脱力節が、逆に心地良いというか……。

それでも、このアルバムが聞き通せるのは、ヤン・ハマー以下のリズム隊にガッツがあるからです。

今や人気曲となった「Old Country」は、そのリズム隊だけの演奏で、ヤン・ハマーのビアノトリオは、なんか上手い学生バンドみたいで、憎めません。

ということで、明らかに失望した作品なんですが、こういうのも、たまには良いかと思います。なぜならば、う~ん、結局は自分に言い聞かせる言い訳ですねぇ、もっともない!

失礼致しました。

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私的最初期のジャズアルバム

2008-01-19 16:28:43 | Weblog

ガソリン等の暫定税率に関する集まりに出席してきました。

もちろんガソリンは安いのが一番ですし、いくら道路を作っても、ガソリンが高かったら走れないし……。

しかし某野党が暫定税率は引き下げて、なおかつ、道路財源も確保しますという裏側には、あきらかに消費税アップの悪企みがありますからねぇ~。

くわばら、くわばら、ですよ。

ということで、本日は――

Go Man ! / Sonny Criss (Imperial)

ジャズ喫茶の人気者といえぱ、ソニー・クリスが最右翼のひとりでしょう。チャーリー・パーカーからダイレクトに影響を受けたアルサックスには、モダンジャズ王道派の矜持があり、頑固で脂っこいスタイルは、時として聞き疲れてしまうほどですから、居眠りモードに入りやすいジャズ喫茶には、自然と馴染んでしまうのかもしれません。

このアルバムは西海岸で活躍していた初期の頃の集大成的な1枚で、録音は1956年2月26日、メンバーはソニー・クリス(as)、ソニー・クラーク(b)、リロイ・ヴィネガー(ds)、ローレンス・マラブル(ds) という魅力たっぷりのワンホーン編成です――

A-1 Summertime
A-2 Memories Of You
A-3 Wailin' With Joe
A-4 How Deep Is The Ocean
A-5 The Blues For Rose
A-6 The Man I Love
B-1 Until The Real Thing Comes Along
B-2 Blue Prelude
B-3 After You've Gone
B-4 Come Rain Or Come Shine
B-5 How High The Moon
B-6 If I Had You

――実は告白すると、これは私がジャズをほとんど知らなかった頃に聴いた最初期のアルバムでした。当時、我が家に下宿していた叔父さんが持っていたんですねぇ。なんでも知り合いの米軍将校から貰ったとか言っていました。

で、当然、ジャケットに移っている白人がソニー・クリスだと思っていたし、豪快な投げっ放しバックドロップのような吹奏も、実はチャーリー・パーカーという偉人の影響下にある事なんて、知るよしもなかったのですが、とにかく4ビートの刺激とか、スタンダード曲のメロディの素晴らしさ、そしてアドリブの魔力を教えられた1枚でした。

しかし後にソニー・クリスが黒人であること、曲毎の演奏時間が短いのは??? というところから、脂っこいアルトサックスの泣きが嫌味に感じられたりして……。

否、それでもこれがジャズ喫茶で鳴り出せば、やっぱり虜になるのは、ほとんどパブロフの犬です。

演目では朗々と吹きまくって、素直に泣きじゃくる「Memories Of You」がダントツに好きですが、ソニー・クラークの絶妙のイントロが全てを決めた「Summertime」、大袈裟な哀愁が快感の「Until The Real Thing Comes Along」、クールにハードボイルドな「Blue Prelude」も秀逸です。

また溢れるジャズ魂が凄い「After You've Gone」やビバップの種明し「How High The Moon」も痛快です。

ということで、短い演奏時間ゆえに胸焼けすることもないと思いますが、これは多分、ジュークボックスでの使用を考慮にいれた企画だったんでしょうか?

それはそれとして、まだジャズの地獄に堕ちる前の私は、ジャケットの美女のデルタ地帯が、とても気になっていたのでした。アルバムタイトルも、なんか意味深ですね。

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やめられないマイルスのライブ盤

2008-01-18 16:55:33 | Weblog

アジア方面に出張していた若い者から、某国製のブートDVDを土産にどっさりいたたぎました。露天で売っているらしいのですが、だいたい1枚が4~500円程度との事でした。

けっこう、美味しいブツがありましたですねぇ。

それらは近々、ご紹介するとして、本日は――

Miles Davis Live At The 1963 Monterey Jazz Festival (MJF)

またかっ! と言われそうですが、マイルス・デイビスの蔵出しライブ音源です。入手したのは昨年ですが、聴いたのは今日というバチアタリ……。

なんというか、中身の想像がついてしまう演目がねぇ……。

でも聴いてみれば、やっぱりシビレます♪

録音は1963年9月20日、モンタレージャズ祭からのライブセッションで、メンバーはマイルス・デイビス(tp)、ジョージ・コールマン(ts)、ハービー・ハンコック(p)、ロン・カーター(b)、トニー・ウィリアムス(ds) というレギュラーバンドです――

01 Waiting For Miles
 一瞬、新曲か!? と思ったのですが、タイトルどおり、マイルス・デイビスがステージに現れるまでの間にメンバーがチューニングしている様子です。
 ドンドンパンパンというトニー・ウィリアムスのドラムス、ワイワイガヤガヤ、ゲタゲタ笑う観客かスタッフ、突如、沸き起こる拍手喝采――

02 Autumn Leaves
 という中で、いきなりマイルス・デイビスのミュートが泣きじゃくりです。曲は御馴染みの「枯葉」ですが、テーマメロディはグッと抽象化されていて、ほとんどアドリブだけという展開の中をロン・カーターが執拗に絡み、ハービー・ハンコックが上手いコードワーク、そしてトニー・ウィリアムスのテンションの高いブラシ♪
 時期的には欧州巡業の後だけに、バンドの纏まりも一層素晴らしく、それゆえにマイルス・デイビスも好き放題が出来ている感じです。
 う~ん、この緊張感!
 アドリブの最終盤にはトニー・ウィリアムスがスティックに持ち替えて、バシッとキメたところからビリビリと電気が走ったかのような盛り上がりで、ジョージ・コールマンにアドリブが受け渡される瞬間が、最高にカッコイイ!
 そしてここからはリズム隊が一段と自由主義というか、ジョージ・コールマンを翻弄しようと暴れるのですが、ジョージ・コールマンだって、一筋縄ではいきません。正統派の道筋を外すことなく紡ぎだされるアドリブの潔さ!
 するとハービー・ハンコックが、これまた素晴らしいアドリブに突入です。一瞬、ビル・エバンスになったりするのはご愛嬌ながら、綺麗なタッチとリアルタイムでは斬新な音選びが、今日でも古びていないと思います。
 演奏はこの後、ロン・カーターのアルコ弾きのアドリブも用意されていますが、マイルス・デイビスのラストテーマ吹奏が、なぜか「死刑台のエレベーター」を思わせると……。

03 So What
 マイルスのバンドでは定番中の大定番ながら、テーマ部分で聴かれるトニー・ウィリアムスのスピードがついたブラシが強い印象を残します。
 もちろんアドリブパートでも、トニー・ウィリアムスが大暴れ! ビシバシ、ドンドンと炸裂するドラミングを聞いているだけで満足してしまいます。マイルス・デイビスも必死なんですが、ケツを叩かれている雰囲気が濃厚で、どっちがリーダーか分からない感じです。ついにはアドリブに窮する瞬間までも!
 ところがジョージ・コールマンが凄いです。何時もは流れすぎるフレーズが、ここではワザとギスギスさせているようなところもありますし、トニー・ウィリアムスの挑発にも安易に乗らない意気地が感じられます。アドリブ構成も、けっこう考えていたような……。
 ですからハービー・ハンコックが、なかなか奔放に聞こえてきます。あぁ、熱くなりますねぇ~~~♪ 生涯の名演じゃないでしょうか!?

04 Stella By Starlight
 盛大な拍手の中、ハービー・ハンコックがすぅ~っとイントロを弾いていくところが、素敵です。続くマイルス・デイビスのテーマ吹奏が、これまた絶妙の思わせぶりですからねぇ~♪
 ところが、なぜか笑っている観客が???
 まあ、それはそれとして、テーマメロディをそれほど崩さないマイルス・デイビスの上手さがニクイほどです。そしてそれが何時の間にかアドリブに変幻しているのですから、流石です。観客からも思わず拍手が♪ ただし肝心なところでトランペットの音程が危なくなったり、息切れがあったりするのも、ライブの醍醐味でしょうか。
 またジョージ・コールマンの緩~いアドリブが逆に心地良いのも珍しく、途中からテンポアップしてグルーヴィな展開に持っていくのも楽しいところ♪
 そしてハービー・ハンコックのパートは静謐で柔らかなムード♪ 何時もながら酔わされますが、逆にロン・カーターのベースソロは性急で、う~ん、いったい何があったのか!?
 おまけにマイルス・デイビスのラストテーマ吹奏が、完全にハズシ気味……。う~ん……。

05 Walkin'
 で、オーラスは大激走のモード大会! 観客からも待ってましたの大歓声です。
 ところがマイルス・デイビスのアドリブが投げやりというか、どうでもいいようなフレーズしか吹いていません。せめてブルースしてくれてもバチはあたらんですよ。
 しかし続くトニー・ウィリアムスがド迫力の大車輪ドラムソロ! こんなにストレートに敲きまくったのは珍しいんじゃないでしょうか。もちろん途中では一瞬テンポを落としますが、それでもどうに止まらないエモーションの爆発が痛快です。
 さらにジョージ・コールマンが大熱演! リズム隊もツケイル隙がないというか、まるっきり、この人のリーダーセッションという様相になるんですねぇ~♪ アク抜きされたシーツ・オブ・サウンド! どうにもとまらないという山本リンダ現象です。
 またハービー・ハンコック以下、リズム隊だけの演奏も爽快ですから、親分の乱入も虚しく響くのでした。

06 The Theme
 前曲のラストテーマから続くバンドテーマは、些か気抜け気味ですが、マイルス・デイビスが早く帰りたいという感じに聞こえてしまいます。トニー・ウィリアムスなんか、スットコドッコイのヤル気が空回り……。

ということで、なんか今までお蔵入りしていたのが頷ける演奏です。つまりマイルス・デイビスが後半で息切れしているんですねぇ。

しかし前半の「枯葉」と「So What」は、やっぱり凄い出来になっていますし、後半はバンドメンバーの頑張りが存分に楽しめます。

同じ編成でのライブ盤「イン・ヨーロッパ」と比べると、バンドがよりアグレッシブになっていると思いますし、この後の「マイ・ファニー・バレンタイン」や「フォア&モア」のスマートな仕上がりよりは、些かドロ臭いあたりに魅力を感じます。

気になる音質は良好な立体ステレオ♪ ミックスはベースが大きくなっていますので、迫力があります。

ふっふっふっ、これだからマイルス・デイビスのライブ盤は、やめられないという事です。

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ギターでパウエル

2008-01-17 15:39:44 | Weblog

とんでもなく寒くて、雪が降りまくりの1日です。

これが雪国の日常なんでしょうねぇ。最近の暖冬に、すっかり油断していたのですが……。

ということで、本日は――

The Music Of Bud Powell / Joshua Breakstone (Double-Tiem)

ジャケットを見れば一目瞭然、ギタリストによるバド・パウエル曲集です。

録音は2000年6月7日、メンバーは Joshua Breakstone(g)、Earl Sauls(b)、Keith Copeland(ds) というトリオ編成――

01 Tempus Fugit
02 Una Noche Con Francis
03 Strictiy Confidential
04 Elegy
05 Celia
06 Un Poco Loco
07 Sub City
08 Time Waits
09 Comin' Up
10 The Scene Changes

――という演目は、1曲を除いてバド・パウエルが書いたオリジナルばかりですし、その「Strictiy Confidential」だって、ケニー・ドーハムとバド・パウエルの共作ですから、けっこうツウ好みの選曲になっています。

もちろん日本製作ではないので、「クレオパトラの夢」はやっていません。というか、バド・パウエル自身、ライブの場で演奏していた事がはっきりしていませんから、欧米ではそれほどの人気曲ではないのでしょう……。

肝心の演奏は、Joshua Breakstone のギターが柔らかい音色と滑らかな運指で好印象♪ 天才ピアニストのバド・パウエルだからというよりも、モダンジャズの奥儀に触れる目的意識が強い雰囲気です。

冒頭からアップテンポでブッ飛ばす「Tempus Fugit」の痛快なスイング感、陽気なラテンビートが楽しい「Una Noche Con Francis」、絶妙の浮遊感がたまらない「Strictiy Confidential」という3連発で、いきなりジャズ者の喜びに浸れますねぇ。首まで、どっぷり、ですよ♪

またジンワリと染み入る「Celia」の哀愁、ハードバップな「Sub City」では4ビートの素晴らしさを再認識! だいたいこのあたりが、アルバムの中ではベストの演奏かと思います。

共演者も手堅いプレイに終始して、特に Keith Copeland はガッツ溢れるドラミングで秀逸♪ スティックのキレの良さ、ブラシのセンスの良さは完全に私の好みです。

あと、人気の哀切曲「Time Waits」が気になるところですが、ゆったりしたビートで神妙に演奏されるここでのバージョンは、甘くせつないギターの音色がなんとも魅力ですが、ちょっと胸焼けしそうな……。

あっ、オーラスの「The Scene Changes」を忘れてました! トリオの各人が対等の立場で絡み合う凄い演奏です。う~ん、Keith Copeland のブラシが最高っ!

ということで、たまには新しい作品も聴いている私でした。

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ガチンコでハード

2008-01-16 16:50:05 | Weblog

今日は雪がどっさり! 仕事に行く前、朝から除雪に追われ、ちょいとヘトヘトでした。う~ん、体力の衰えを感じてしまったです。

ということで、本日は白地にインパクトの強い文字という、ガチンコな1枚を――

Unity / Larry Young (Blue Note)

ラリー・ヤングはオルガンのコルトレーンなんて呼ばれたりもする、革新派キーボード奏者なんですが、私の前に登場したのはトニー・ウィリアムスのライフタイムとかジミ・ヘンドリックスとのジャムセッションあたりの、所謂ジャズロックのフィールドでした。

ですからジャズ喫茶でこのアルバムを初めて聴いた時は、あまりのモロジャズどっぷりに、仰天しましたですね。もちろん噂どおりに過激なモード節を演じていたのです。

録音は1965年11月10日、メンバーはウディ・ショウ(tp)、ジョー・ヘンダーソン(ts)、ラリー・ヤング(org)、エルビン・ジョーンズ(ds) という恐い面々です――

A-1 Zoltan
 エルビン・ジョーンズのマーチングドラムがリードするテーマメロディは哀愁のオトボケ!? 明らかにモダンジャズ既成概念から外れていますが、ジャケット裏解説によれば、ハンガリー人の作曲=ゾルタン・コダーイのオリジナルを、ウディ・ショウが焼き直したものらしいです。
 まあ、それはそれとして、演奏は混濁したモード節が全開という濃密な仕上がりで、4ビートに変則ラテンリズムをブチ込んだエルビン・ジョーンズのドラムスが、まず最高です。
 そして熱血のウディ・ショウ、図太い咆哮を聞かせるジョー・ヘンダーソン、そして宇宙的な広がりも感じさせるラリー・ヤングのオルガンと、真剣勝負なアドリブが展開され、最後まで緊張感が持続するのでした。

A-2 Monk's Dream
 セロニアス・モンクの有名なオリジナル曲が、ここではラリー・ヤングとエルビン・ジョーンズの恐い一騎打ちで演じられています。
 う~ん、原曲は意外に明るいムードのメロディだったんですねぇ……。そんな事に気づかされるほど、ここでの演奏は緊張感がいっぱい! お互いに妥協が無く、真摯に音楽を追求していく姿勢が潔いばかりです。
 烈しいボリリズムの中にもグルーヴィなビートを忘れないエルビン・ジョーンズは、本当に素晴らしいですねっ♪

A-3 If
 ジョー・ヘンダーソンが書いたカッコ良くて新鮮なブルースです。もちろんアドリブは自由度が高いモード系になるんですが、エルビン・ジョーンズのドラミングがゴキゲンですし、ラリー・ヤングのオルガンは、コード付けが本当にイカシてますねぇ~♪
 しかし本来は主役になるはずのジョー・ヘンダーソンがイマイチ、煮えきらずに残念……。それを考慮して燃えるウディ・ショウが痛快というオチが、尚更に憎めません。
 またラリー・ヤングのオルガンアドリブには、ロックっぽいニュアンスが含まれているみたいな過激節!

B-1 The Moontrane
 出たっ! ウディ・ショウ畢生の名曲が、このメンツで演じられるのですから、たまりません。多分、これがオリジナルのバージョンになるのでしょうか? 後年、幾つか残されている演奏に比べると、ややテンポがゆったりとしていますが、エルビン・ジョーンズの重いビートや蠢くようなラリー・ヤングのオルガンが分厚いバックを作り出していますので、アドリブ先発のウディ・ショウも気持ち良さそうにトランペットを鳴らしています。
 またジョー・ヘンダーソンが、飄々として猫のように身軽なフレーズを積み重ねていく展開も珍しく、ラリー・ヤングはミステリアスな雰囲気を重視しているようです。
 う~ん、やっぱり気持ち良い名曲ですねぇ~~~♪

B-2 Softly As In A Mornig Sunrise
 このアルバム中、唯一のスタンダード曲ですから、ジョー・ヘンダーソンもテーマメロディを素直に吹いて、そのまんま、十八番のアドリブ展開に持っていきます。
 エルビン・ジョーンズのブラシからスティックへの流れるようなドラミングも素晴らしすぎて眩暈がしそうですし、独特の浮遊感がたまらないラリー・ヤングのオルガン伴奏は、最高ですねぇ。
 そしてウディ・ショウは熱いフレーズの連発でスリル満点! 続くラリー・ヤングの過激節は、あまりにも凄すぎます。モリモリグビグビ突進する激しさには、絶句!

B-3 Beyond All Limits
 オーラスはメチャ、カッコ良いアップテンポのモード曲で、これもウディ・ショウが会心のオリジナルです。とにかくエルビン・ジョーンズとラリー・ヤングによるビートの出し方が最高で、スピード感満点のシャープなノリに圧倒されてしまうんですねぇ~♪
 もちろんアドリブパートはモード地獄から天国へと、完全に昇天させられます。特にウディ・ショウが強烈ですねっ!

ということで、一切の妥協を配したガチンコジャズです。しかも本来、こういう編成には欠かせないギターが入っていないので、より自由な空間の密度が濃いというか、代わりにエルビン・ジョーンズのドラムスが大暴れ! これが「吉」と出たようです。

ラリー・ヤングのオルガンスタイルは、この時、既にモードに占領されているかのようで、実は密かにロックのビート感覚が混在していると思います。

ちなみに1960年初頭に残されたニュージャズやプレイティッジでのレコーディングでは、ジミー・スミスの影響が色濃いものでしたから、その目覚めの速さは時代の勢いと同一だったのでしょうか……。

ただ、ラリー・ヤングは1978年頃に早世……。享年37歳だったと言われていますから、そのスペースフュージョンというか、異次元グルーヴの未完成が残念でなりません。

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熱血ライブのグリフィン

2008-01-15 17:18:48 | Weblog

今日も寒かったですね、まあ、冬は寒くて当たり前ですけど……。

そして、こういう時こそ、熱い演奏が聴きたくなります――

The Man I Love / Johnny Griffin (Polydor / Black Lion)

1970年代前半のジャズ喫茶では決定的な人気盤! ジャズロックやクロスオーバー、あるいはフュージョンに浮かれていようとも、これが鳴り出せば、忽ち店内はハードバップに雰囲気一変でした。

告白すれば、私はこのアルバムでジョニー・グリフィンに邂逅したのです。

録音は1967年3月30~31日、コペンハーゲンのカフェ・モンマルトルでのライブセッションで、メンバーはジョニー・グリフィン(ts)、ケニー・ドリュー(p)、ニールス・ペデルセン(b)、アルバート・ヒース(ds) というイケイケのカルテット――

A-1 The Man I Love
 ガーシュイン兄弟が書いた名曲で、ジャズ史的にはベニー・グッドマンやコールマン・ホーキンスの名演が決定版とされていますが、これだって負けていません。
 アルバート・ヒースの熱血ドラムソロによるイントロからジョニー・グリフィンがテーマーメロディを豪快にブロー! ピアノとベース、そしてドラムスの適度なバラバラ感が異様にキマッています。
 そしてアドリブパートではジョニー・グリフィンがひたすらに疾走し、リズム隊が追いかけるような展開ながら、実は4人がここでもバラバラをやりながら、ひとつの目標に収束しようと苦闘する様が限りなくハードバップしています。
 あぁ、ついつい音量を上げてしまいますねぇ。
 そしてケニー・ドリューが、あの歯切れの良いピアノタッチと強烈なストライド奏法も交えた熱演ですから、たまりません。歌心よりも過激な熱血が、大いに魅力です!
 またニールス・ペデルセンの速射砲のようなベースソロの背後ではアルバート・ヒースがしぶといブラシ♪ 途中からは完全にベースの独立独歩になりますが、今度はシンバルで挑みかかるアルバート・ヒースのテンションも高く、そのまんま、ジョニー・グリフィンのド派手なフィナーレに繋げる展開も、自然体で完璧だと思います。

A-2 Hush-a-Bye
 原曲はユダヤ人モードの伝承歌らしいのですが、とにかく哀愁のメロディラインが人気の秘密♪ ですからジョニー・グリフィンの悠然とサブトーンを使ったテーマ演奏が、まず魅力満点です。
 そしてアドリブ先発のケニー・ドリューは最初、テンポをフリーにしながら暗中模索……。ここでアルバート・ヒースがスティックを落とすミステイクも憎めません。
 しかし自己の進路を決めてからは、グルーヴィな4ビートで歌いまくりの好フレーズが連発され、気分は最高♪
 こうしてグッと盛り上がったところで再登場するジョニー・グリフィンが、また素晴らしいです。なにしろベースだけをバックにグリグリの息遣いというサブトーンがド迫力過ぎて、音が歪んで強烈な印象です。
 もちろん歌心と熱いエモーションの噴出も凄まじく、ニールス・ペデルセンも過激なツッコミを入れたりしますから、その後に入ってくるアルバート・ヒースも魂のドラミングです。
 う~ん、これぞジャズ! ハードバップの真髄だと、聴く度に感銘を受けてしまうのでした。

B-1 Blues For Harvey
 ジョニー・グリフィンが書いたグルーヴィなハードバップ曲ですから、豪快な演奏は当たり前ながら、正直、ちょいとダレ場もあるのが真相です。
 というか、テーマメロディからアドリブに入っていくまでのジョニー・グリフィンが煮えきらず、リズム隊の必死の煽りも、些か虚しい雰囲気で……。
 しかし、だんだんに熱くなっていくバンド全体の勢いは流石で、ジョニー・グリフィンの支離滅裂気味のアドリブも格好がついていくのです。
 このあたりはケニー・ドリューも同様で、テンションの高いノリは健在ながら、イマイチ纏まりの無いアドリブは??? アルバート・ヒースの投げやり気味のドラミングが、逆に味わい深いほどです。

B-2 Sophisticated Lady
 ところが続くこの演奏が素晴らしい♪ デューク・エリントリンが書いた気品あふれるメロディを優しく、そしてハードボイルドに吹いていくジョニー・グリフィンの大名演! サブトーンの鳴りも素晴らしく、またケニー・ドリューのコードワークも最高という伴奏が光ります。
 あぁ、全く歌っているとしか思えないアドリブは、豪快で繊細な表現の極地かもしれません。
 そしてリズム隊だけのパートになってからは、ニールス・ペデルセンのベースが一段と素晴らしく、ケニー・ドリューも雰囲気に浸りきったピアノを聞かせてくれるのです。もちろんアルバート・ヒースは控えめな好演♪
 ですから最後にもう一度、暖かくて凄みのあるテナーサックスが鳴り出せば、これがジョニー・グリフィンの真髄と納得してしまいます。
 最高!!!

B-3 Wee
 ビバップ時代からの定番曲が、ここでは猛烈なスピードで演じられています。もちろん、こうしたテンポはジョニー・グリフィンの得意技ですから、一瞬の淀みもなく修羅場を駆け抜ける爽快感!
 2分ほどの短い演奏ですから、多分、バンドテーマだったんでしょうねぇ。観客も拍手喝さいで、アルバムは終了します。

ということで、些か荒っぽい部分も聴かれますが、それこそがライブの熱気と魅力だと思いますし、ジャズは本来、一発の瞬間芸ですから、その場の勢いが記録されたレコードこそが、真髄と言えるかもしれません。

こういう姿勢、私は好きですねぇ。

ちなみにこのアルバムは、A面がジャズ喫茶の定番でしたから、B面を聴いたのは自分で買ってからの事でした。そしてしばらくは「Sophisticated Lady」ばかり聴いていましたですね。

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圧巻の黄金三角!

2008-01-14 16:13:55 | Weblog

今日は寒いですね。

連休を終わって勤務地に戻ってみれば、辺りは真っ白な雪景色! 借りている家に辿り着けば、車を入れるために庭を除雪して疲れてしまいました。

そこで癒しの鑑賞は――

Please Send Me Someone To Love / Phineas Newborn Jr. (Contemporary)

ここ数回、拘っているステレオミックスのリズム隊トライアングルについて、それではピアノトリオ盤ならばと出してきたのが、本日の1枚です。

メンバーはフィニアス・ニューボーン Jr.(p)、レイ・ブラウン(b)、エルビン・ジョーンズ(ds) という、当に黄金の三角形ですから名演は当然のお約束! ちなみに録音は1969年2月12&13日とされています――

A-1 Please Send Me Someone To Love
 R&B歌手のパーシー・メイフィールドが1949年にヒットさせたブルース歌謡曲♪ 泣きのメロディと黒いフィーリングがたまらない名曲を、フィニアス・ニューボーンは華麗なテクニックで味わい深く演奏しています。
 寄添いながらも執拗に絡み、しかも的確な伴奏に撤するレイ・ブラウンも素晴らしく、地味ながらメリハリの効いたドラミングのエルビン・ジョーンズは、流石の存在感! スローなテンポでジンワリと醸し出される魂の演奏は、なんとも洒落た仕上がりになっています。
 ちなみにステレオのミックスは左にレイ・ブラウン、真ん中にフィニアス・ニューボーン、そして右にエルビン・ジョーンズという定位ですが、良く聴くとピアノは低音が右寄り、高音は左寄りという広がりの録音になっているようです。

A-2 Rough Ridin'
 エラ・フィッツジェルドが十八番にしていた歌物ビバップ曲ですから、ここでもアップテンポで奔放にスイングしまくるトリオの演奏が楽しめます。
 と言っても、決してハメを外したわけではなく、きちんと起承転結をつけたあたりに物足りなさを感じるのも事実……。ただしフィニアス・ニューボーンは両手ユニゾン弾きの連発連打で、お約束を打開しようと大奮戦! エルビン・ジョーンズも熱いので、ついつい音量を上げてしまうのでした。

A-3 Come Sunday
 デューク・エリントンが書いた大傑作曲で、厳かな雰囲気と優しいメロディが魅力ですから、フィニアス・ニューボーンもそのあたりを充分に考慮した演奏を聞かせてくれます。
 う~ん、淡々とした中にディープなソウルを感じさせるピアノが凄いですねぇ~~♪ 特に最初のワンコーラスは完全な無伴奏ソロピアノでじっくりとメロディを弾き、続く部分からはレイ・ブラウンとエルビン・ジョーンズが入ってきますが、ここからは華麗なテクニックで素晴らしいアドリブが展開されるのです。
 凄い名演だと思います。

A-4 Brentwood Blues
 レイ・ブラウンのベースがアドリブとイントロを兼ね、エルビン・ジョーンズの粘っこいブラシが冴えたところで登場するフィニアス・ニューボーン!
 このトリオが演奏するブルースは本当にモダンジャズの真髄かもしれません。もちろん両手ユニゾン&バラバラ弾きを駆使して山場を作るフィニアス・ニューボーンが全体をリードしているのですが、三角形の底辺はベースとドラムスがあってこその安定感でしょう。
 中盤からスティックに持ち替えながらも余計な手出しをしないエルビン・ジョーンズは、分かっていると思います。ですからフィニアス・ニューボーンのダイナミックなビアノが心底、楽しめるのですよ♪

B-1 He's A Real Gone Guy
 エルビン・ジョーンズを中心にラテンビートも入れた豪快な演奏で、烈しい3者のエモーションが爆発しています。
 とにかく疾走するフィニアス・ニューボーン、豪放に敲きまくるフィニアス・ニューボーン、全力で蠢くレイ・ブラウンという理想のトリオ演奏で、特にエルビン・ジョーンズは豪快無比! ドラムソロのところで気がつくのは、シンバルやタム&スネアが右チャンネルに在りながら、バスドラが左チャンネルから聞こえることで、これが演奏に広がりを感じさせる録音のミソというわけでしょうか。
 まあ、それはそれとして、エルビン・ジョーンズの意外な繊細さも感じられる快演! スカッとします。

B-2 Black Coffee
 そしてこれが決定的な名演です。
 曲はご存知、サラ・ヴォーンやペギー・リーの代表的な名唱が残されている歌物ですが、インストバージョンでは、このトリオ演奏が個人的に大好きです。
 じっくりと重いビートを出すレイ・ブラウンとエルビン・ジョーンズ、絶妙なコード解釈を聞かせるフィニアス・ニューボーンという構図は、名演の必要充分条件ですねっ♪ バカテクに裏付けられた過激で華麗なアドリブフレーズも嫌味無く楽しめるのでした。

B-3 Little Niles
 さらにこの演奏も素晴らしい!
 曲はランディ・ウェストンが書いたジャズワルツなんですが、テーマメロディに秘められた濃密な幻想性を力強く解釈したフィニアス・ニューボーン以下のトリオは、豪快で深遠な名演を披露していきます。
 とにかく美しい雰囲気は圧巻で、しかもジャズの恐さとか悪魔性までも表現していると感じます。

B-4 Stay On It
 ディジー・ガレスピーのビバップオーケストラが十八番にしていた楽しい名曲ですが、このトリオはオスカー・ピーターソン風に解釈するという、実に憎たらしいことをやっています。
 豪快にスイングするフィニアス・ニューボーンのピアノは、テクニック&歌心、そしてスイング魂までもがオスカー・ピーターソンとは似て非なるものなんですが、もちろん両者には共通する天才性がありますからねぇ~♪ 爽快な演奏はお約束ながら、納得して歓喜の仕上がりを素直に楽しむしかありません。
 エルビン・ジョーンズなんか、演奏を楽しんでいる風情さえ感じられますよ。

ということで、実に楽しく、濃密な作品です。個人的にはB面を愛聴していますが、もちろんA面も捨てがたく、つまりは名盤♪

ちなみにこのセッションは、久々にフィニアス・ニューボーンの病が癒えた時期を選んで行われたものらしく、2日間で全15曲が吹き込まれ、残りは「ハーレム・ブルース」というアルバムとなって後に発売されましたが、個人的にも甲乙つけがたい出来だと思います。

なによりもリーダーを盛り立てんとするレイ・ブラウン&エルビン・ジョーンズの協調性が美しいです。本音としてはエルビン・ジョーンズのドラムスが、もっと前に出たミックスなら最高だと思う瞬間もあるのですが、やっぱりこれで正解でしょう。あぁ、名盤♪

そして気になる録音は、このレーベルらしいスカッとした音とミックスが気持ち良く、しかしジャケットには「Produced and recorded by Lester Koenig」とされているのが??? ロイ・デュナンは、どうしたのでしょう? バスドラの音が歪みっぽいのは、その所為でしょうか……。

しかし、この豪快なトライアングルの演奏は圧巻ですから、やっぱり素直に楽しみましょうね。何度聴いても、飽きないアルバムのひとつです。

欲を言えば、モノラル盤を聴いてみたいですね。

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好きです、ライ・クーダー♪

2008-01-13 16:30:42 | Ry Cooder

昨夜、某宴会のビンゴ大会で、電子レンジが当りました。

と、まあ、ここまでは良かったのですが、なんとその場で持ち帰りなんですねぇ。外箱みたら16キロもあるんですから、困った、困ったです。

仕方なく寒中に大汗かいて駐車場まで運び、車に積んで帰りましたが、私は酒を飲まないので、これでOKでも、電車とかで帰宅する人なら困惑したでしょうねぇ。

ということで、本日は――

Ry Cooder (Reprise)

凄腕ギタリストという範疇に留まらず、現在では所謂ワールドミュージックの大御所でもあるライ・クーダーは、しかし私の前にはストーンズ関連のサイドメンとして現れました。

それは1971年に発売された「スティッキー・フィンガーズ」に収められていた「シスター・モーフィン」という曲で、打ち震えるようなスライドギターを聞かせてくれたのが、決定的な出会いとなりました。

この曲は原題が「Sister Morphine」とされているように、明らかにモルヒネの禁断症状を歌っているとされますが、う~ん、確かに幻覚的中毒症状を感じさせるような曲調に、ライ・クーダーのスライドギターは欠かせません。

しかしストーンズとライ・クーダーの邂逅は、このアルバムが始めてではなく、既に「レット・イット・ブリード」に収められた「むなしき愛」でマンドリンを弾いていると、クレジットされていたのです。

しかも、この「シスター・モーフィン」は、その時のセッションと同時期に録音されていたものですから、個人的にはブライアン・ジョーンズの代わりを務めたのか!? という思いを禁じえません。

さらに後年、ライ・クーダー自らが語るところによれば、ストーンズとのセッションでは、自分のアイディアやフレーズが盗まれたという話ですから、穏やかではありません。実際、「ホンキー・トンク・ウィメン」における変則オープンチューニングによるリフとか、ノリそのものは、ライ・クーダーが作り出していたと言われても反論出来ないものが、後々、明るみに出てくるのです。

ちなみにストーンズとライ・クーダーの腐れ縁は、ミック・ジャガーの主演映画「青春の罠」のサントラ作りで渡英したジャック・ニッチェが当時、スタジオ・ミュージシャンとして重宝していたライ・クーダーを伴っていた事から始ったそうです。前述した「レット・イット・ブリード」のセッションも、その横流れで行われていたのですから、結果は押して知るべし……。

さて、このアルバムは、その「スティッキー・ファンガーズ」と同年に発売されたライ・クーダーの初リーダー盤で、我国でのタイトルは「ライ・クーダー登場」でした!

そして「シスター・モーフィン」でのスライドギターにシビレていた私は、当然、リアルタイムで買ってしまったというわけです。

ところが、中身が???の連続でした、正直なところ……。まあ、確かにストーンズ色の演奏もあったのですが――

A-1 Alimony
A-2 France Chance
A-3 One Meat Ball
A-4 Do Re Mi
A-5 Old Kentucky Home
A-6 Hou Can A Poor Man Stand Such Times And Live ?
B-1 Available Space
B-2 Big Meat
B-3 Police Dog Blues
B-4 Goin' To Brownsville
B-5 Dark Is The Night

――ちなみにプロデュースはヴァン・ダイク・パークス、録音されたのは1969~1970年頃と言われており、メンバーはライ・クーダー(g,vo,b)、ヴァン・ダイク・パークス(p)、ロイ・エストラダ(b)、クリス・エスリッジ(b)、マックス・ベネット(b)、リッチー・ヘイワード(ds)、ミルト・ホランド(per) 等々が参加しています。

冒頭「Alimony」はR&B歌手のトミー・タッカーが1965年にヒットさせた名曲のカバーですが、重いビートに変則的なノリのスライドギター、とぼけたボーカル、おまけに妖しい熱気の女性コーラスが混濁した名演♪ しかしリアルタイムの私には全く???でしたねぇ……。なんとも長閑な雰囲気としか言いようがなかったです。

それでも「France Chance」や「Do Re Mi」になると、ストーンズの名盤「ベガーズ・バンケット」風の演奏になっているので、馴染めました。ただしここにも混濁したストリングが入ったり、肩透かしのホーンとか意図的にズレたようなビートがありますから、遊び感覚なのか? なんて当時は思ったものです。

まあ、このあたりは実際に聴いて感じるしかないのですが、実はザ・バンドとかトラフィックあたりの全方位音楽のポリリズムがあったんですねぇ。

う~ん、これで良いのか!?

このあたりは有名曲の「Old Kentucky Home」やゴスペル味が濃厚な「Hou Can A Poor Man Stand Such Times And Live ?」でのストレートな味わいも深いものがあります。

肝心のギタリストとしての腕前は「Available Space」でのシンプルで力強いスライドとか、「Police Dog Blues」での素晴らしい生ギターのピッキングが圧巻!

そしてオーラスの「Dark Is The Night」での雰囲気ギターインスト♪ 生ギター&スライドの妙技が最高で、後年の名画サントラ「パリ・テキサス」の世界が既に堪能出来るのです。これを聴いた時は、本当にブッ飛びましたですねぇ~♪

ですから私はCDが出た時、迷わず買って、この「Dark Is The Night」を1曲目にセットし、続けて冒頭の「Alimony」から順に聴くという技を使っています。

もう、こうすると天国なんですよっ!

というよりも、実はこのアルバムが日本発売された当時、ラジオでDJの福田一郎がライ・クーダーについて解説していて、こういう鑑賞がベストと推奨していたのです。

そして私は、それからライ・クーダーが理解出来たというのが真相なのでした。もちろん今は生活に無くてはならない1枚になっています。

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素直な憧れは気持ち良い

2008-01-12 15:48:11 | Weblog

昨日は国税に虐められ、夜は宴会で心にも無いことを言いまくりでした。

来ていたコンパニオンはアニメ声だったし……。

で、今日はようやく実家に辿り着き、午前中は爆眠でしたよ。

ということで、本日は――

Rene Urtreger Plays Bud Powell (Barclay)

バド・パウエル名曲集といっても、日本製作にありがちな、あの「クレオパトラの夢」は演じられていません。と言うよりも、その人気曲が出る前に吹きこまれていたのが真相です。

主役のルネ・ウルトルジェは1950年代初め頃からフランスで活躍していたピアニストで、ジャズ史的にはマイルス・デイビスが1957年に敢行したフランス巡業のバンドメンバーとして有名でしょう。

で、このアルバムはルネ・ウルトルジェの初リーダー作とされる10吋盤で、ビバップの基本スタイルを忠実に守りながら、その開祖というバド・パウエルの十八番に挑戦した果敢な1枚です。

録音は1955年2月24日、メンバーはルネ・ウルトルジェ(p)、Benoit Quersin(b)、Jean-Louis Viale(ds) となっています――

A-1 Dance Of The Infidels
A-2 Budo
A-3 Prisian Thoroghfare
A-4 So Sorry Please
B-1 Bouncing With Bud
B-2 A La Bud
B-3 Mercedes
B-4 Celia

――という演目は、もちろんバド・パウエルの聖典であり、モダンジャズ永遠のスタンダードになっているものばかりですが、「A La Bud」と「Mercedes」はルネ・ウルトルジェが巨匠に対しての敬意を表したオリジナル♪ もちろんパウエル節が存分に活かされていて、特に「A La Bud」は急速テンポの名曲・名演として、思わずニヤリとさせられるでしょう。また幻想的な「Mercedes」は、某スタンダード曲の焼き直しながら、これまた典型的なパウエル節の味付けが憎めません♪

このあたりは我国の秋吉敏子と同じ雰囲気もありますが、彼女が男まさりの力強さを聞かせていたのに対し、ルネ・ウルトルジェは、反対に女性的というか、如何にも欧州人らしい洒落たタッチが微笑ましいところです。

とはいえ、全篇から滲み出る正統派ビバップのスピリットは素晴らしく、堅実な共演者との一体感も見事な名演ばかり♪ タイトルどおりの「Prisian Thoroghfare」は、このトリオでなければ出せない味わいかもしれません。

またトミー・フラナガンが十八番にしていた「So Sorry Please」も、一脈通じる仕上がりになっています。

全体の演奏は3分前後のトラックばかりですから、アッという間に聞き終えてしまうのが悔しいところなんですが、逆に言えば、それだけ魅力的で聴き惚れてしまうわけです。

ちなみにこのアルバムは何度か再発されているらしく、ジャケットや曲順も異なるブツが様々に出回っていますし、CD再発もありますから、現在では比較的容易に入手出来ると思います。

こういう素直な憧れは、気持ちが良いですねっ♪

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