OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

再生の楽しみ、熱血演奏!

2008-01-06 17:20:28 | Weblog

昨日は他人の都合に振り回され、夜は新年会でセンスの無いコンパニオンに翻弄されました。

そして今日は朝から来客が多く、面倒なのでさっさと勤務地へ戻ってきたというわけです。それでも途中で事故の渋滞とか、車のドアの不調とか、トラブルは続きます。

そこで、ひとりジャズ喫茶は、これを大音量で鳴らしました――

The Bobby Timmons Trio In Person (Riverside)

1960年代のアナログ盤LPは、モノラルとステレオの両バージョンが作られていました。これはレコード購買層が必ずしも高級オーディオ装置を持っていなかったという当時の家庭環境を配慮したもので、モノラル盤は小さな電蓄でも迫力のある音が再生されるように配慮されていたのです。

そんなところから、何時の間にかモノラル盤は音が良いという定説が流布したわけですが、それは個人の好みが十人十色という側面もあると思います。

極言すれば、団子状の音がド迫力かもしれないし、左右に完全分離した楽器の鳴りが好きという人もいるでしょう。

さて、このアルバムは、そんなところが如実に感じられる1枚だと思います。

録音は1961年10月1日、ニューヨークのヴィレッジバンガードでのライブセッションで、メンバーはボビー・ティモンズ(p)、ロン・カーター(b)、アルバート・ヒース(ds) という素晴らしいトリオです――

A-1 Autumn Leaves
A-2 So Tired
A-3 Goodbye
A-4 Dat Dere / Theme
B-1 Popsy
B-2 I Don't Know What Time It Was
B-3 Softly, As In A Morning Sunrise
B-4 Dat Dere / Theme

――結論から言えば、録音が決定的ではありません。ベースの音が太過ぎるというか、モコモコとした芯が無いような感じで録られています。

ちなみに録音技師は Ray Fowlew という人ですが、まず米国盤のモノラルバージョンでは、それでもド迫力というか、グッと演奏が前に迫り出してくるので、感度良好! そしてステレオ盤は左にピアノ、真ん中にベース、真ん中から右にドラムスという定位で、アメリカプレスだとカッティングレベルが高いので納得出来るのですが、失礼ながら日本盤だと、何故か音の分離が悪いというか、どうも……。

そしてCDになると、音の解像度がグッと上がったステレオバージョンになっていて、これが意外とイケます♪ 特に我国で作られた紙ジャケット盤は良いですねぇ~♪

とは言え、これはあくまでも私の感性です。

さて肝心の演奏は、まず初っ端の「Autumn Leaves」が熱い名演です。ジンワリとスタートする部分は不穏な空気が魅力的ですし、御馴染みのテーマメロディは素直な解釈♪ しかしアタックの強いボビー・ティモンズのビアノが、アドリブパートに入るとガンガンと攻め込んできて、何時しか十八番のゴスペルフレーズが連打されます。

続く「So Tired」もジャズメッセンジャーズでは定番になっていたボビー・ティモンズによる人気オリジナルですから、ここでもジャズロックに極めて近い熱血ゴスペルファンキー! 軽くてもビートの芯がしっかり感じられるアルバート・ヒースのドラミングも流石です。

さらに一転してスローな「Goodbye」は、小粋なムードまで漂うボビー・ティモンズのソロピアノで、真摯な解釈が絶品♪ ここまでの三連発で、完全KOされること必至です。

そしてB面ではロン・カーターが大活躍! 強烈なリフを聞かせる「Popsy」は4ビートのウォーキングも凄みがあり、完全な主役となった「Softly, As In A Morning Sunrise」での熱いベースソロは繊細かつ豪胆な響きを聞かせてくれます。

このあたりは録音の按配も大きく影響していて、個人的にはステレオバージョンが好きですねぇ。しかし圧巻の名演となった「I Don't Know What Time It Was」ではモノラル、ステレオの両バージョンでベースの音が少し潰れ気味なのが勿体無い……。まあ、CDでは改善されているのですが。

ということで、聴くほどに味わい深い作品だと思います。全篇でのボビー・ティモンズの熱演は言わずもがな、落ち着いたドラミングでキメるアルバート・ヒースも素晴らしいと思います。

ちなみに人気曲の「Dat Dere」がテーマ扱いで短くしか収録されていませんが、CDにはボーナストラックとして完全バージョンが収められています。しかし出来は、まあまあ……。もうひとつのボートラ「They Didn't Believe Me」も、イマイチです。

つまりそれだけ本篇の出来が驚異的ということなんです。そしてこれこそ、いろんなバージョンで楽しめる名盤でしょう。ですから個人的には、CDにはステレオ&モノラルの両バージョンを入れて欲しいと、昔から願っているのですが……。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする