OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

お正月はコテコテの美女

2008-01-01 14:16:00 | Soul Jazz

謹賀新年♪

昨年は呆れたトンデモ年でしたが、今年はどんなことがあるのでしょう。それなりに楽しみな1年になれば良いと思います。

ということで、本日はお正月らしく――

Oh Baby / “Big” John Patton (Blue Note)

今やコテコテのバイブルとなったアルバムで、おめでたくいきましょう♪

とはいえ、これが再発見されたのは1980年代も末頃らしく、特にイギリスあたりでクラブのDJ達が好んで回しまくったオサラだったとか!?

それは忽ち、我国にも伝染し……。

しかしこの頃の私は海外での仕事が多く、こうした動きを知る由もありませんでした。で、ある日、気がついてみると、中古屋でこの手のアルバムが高値となり、わざわざアナログ盤で再発されるブツまで登場するブームになったていたのは、驚きでした。

う~ん、自分のレコード棚には、それまでゴミ呼ばわりされていた、こういうソウル系ジャズが相等にあるのですが、それはブームになる以前に入手していたのが真相で、それはスバリ、安いからでした。実際、ブルーノートのオリジナル盤では「サムシンエルス」は諦めても、このあたりは気楽に買える値段でしたねぇ……。

さて、肝心の中身はモダンジャズの基本を大切にしつつも、濃~いファンクグルーヴがたっぷり! 録音は1965年3月8日、メンバーはジョン・パットン(org)、グラント・グリーン(g)、ベン・ディクソン(ds) のコテコテ界最強リズム隊に加えてブルー・ミッチェル(tp)、ハロルド・ヴィック(ts) という、思わず唸る面々です――

A-1 Fat Judy
 これこそコテコテジャズの極北! あのリー・モーガンが生涯の大ヒットとした「Sidewinder」のテーマを臆面もなくホーンリフに移し、ニューオリンズ系R&Bメロディをパクッたテーマが痛快! オトボケ調のサビも楽しく、うねるビートは2拍3連がキモですから、楽しさは保証付きです。
 アドリブパートもゴリゴリにスパークするジョン・パットン、ブリブリに大ブローのハロルド・ヴィック、軽やかにトボケてキメるブルー・ミッチェル、さらにビィーンと骨太のチョーキングまで出して暴れるグラント・グリーンと絶好調が連続します。
 もちろんバックの要は作曲者のベン・ディクソンで、何時もながらの重い残響音が印象的なドラミングは素晴らしいですねぇ♪ グラント・グリーンとジョン・パットンのコンビネーションにも強烈なエグミがあって、こんな楽しい演奏は聴かずに死ねるかですよっ♪♪~♪

A-2 Oh Baby
 イントロからジョン・パットンのヘヴィなオルガンウォーキングが素晴らしく、レイドバックしたテーマ演奏、それに続くアドリブパートが、見事な緊張と緩和です。
 グラント・グリーンのコードワークもエグイですが、投げやりぽっいベン・ディクソンのドラミングも良い味出していますねぇ~♪

A-3 Each Time
 新主流派のように思わせて、トボケたラテンに迷い道したようなテーマが最高です! まさにゴッタ煮グルーヴと言えましょう。
 ですからアドリブパートもジョン・コルトレーンに成りそこなったハロルド・ヴィックとか、ミョウチキリンなコードを弾いてしまうグラント・グリーン、冷静なブルー・ミッチェルとバラバラなんですが、狙ったものだと思います。いや、そう思いたいですねぇ。
 そうした中、ジョン・パットンはグイノリのオルガンアドリブ! ベン・ディクソン&グラント・グリーンを従えて、強烈な山場を作り出していくのでした。

B-1 One To Twelve
 ワルツタイムのブルースですが、新主流派っぽい味わいとコテコテが合体した味わい深い演奏です。弾むようなリズム隊が実に楽しいところ♪
 アドリブパートではブルー・ミッチェルが些か気抜けのビールながら、グラント・グリーンは十八番の「針飛び」フレーズ、ジョン・パットンは強引なうねりで勝負しています。
 またハロルド・ヴィックは、すっかりその気になった快演!

B-2 Night Flight
 これもブルースですが、アップテンポの強烈なモード系の演奏が爽快! これぞリアルタイムのブルーノートでしょう。
 ですからブルー・ミッチェルは本領発揮の分かり易いツッコミが全開♪ リズム隊の真摯な4ビートでは歯切れ良いベン・ディクソンのシンバルとジョン・パットンの低音ウォーキングが流石だと思います。
 そしてハロルド・ヴィックの烈しいモード節の後は、グラント・グリーンが白熱の大名演! これほど猛烈にブチキレ寸前のアドリブは、ちょっと珍しいと思います。
 さらにジョン・パットンの偏執狂っぽいオルガンもジャズの本質を表しているのではないでしょうか。クライマックスでホーンリフが入るところは、本当に最高です。

B-3 Good Juice
 これまたブルースなんですが、如何にも当時のハードバップという響きが、たまりません♪ バンドの一体感も最高ですし、ちょっとミステリアスなアレンジと地の底から湧き上がってくるようなリズム隊のグルーヴが、物凄いです。
 各人のアドリブも見事ですが、このリズム隊中心に聴いていると、グラント・グリーンの正統派モダンジャズのコード伴奏とか、ベン・ディクソンの小技の冴え、ジョン・パットンのオルガンの魅力に心底、惹き込まれます。

ということで、とにかく初っ端の「Fat Judy」が格別の楽しさ! 本音を言えばグラント・グリーン目当てで入手したアルバムだったのですが、これで私はジョン・バットンに目覚めたようなもんです。ドライブ用のテープを作る時にも、必ずこの曲は入れていましたですね♪

それとベン・ディクソンはソウルジャズ系ドラマーのナンバーワンじゃないでしょうか。重たいビートとシャープなリズム、独特の残響音が心地良く、本当に好みです。

それとジャケットのインパクトの強さ!

原盤裏ジャケ解説によれば、彼女はブレンダ・ディーヴァというモデルさんだと♪ こういう分かり易いところも、このアルバムの魅力だと思います。

コメント (2)
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