昨日は国税に虐められ、夜は宴会で心にも無いことを言いまくりでした。
来ていたコンパニオンはアニメ声だったし……。
で、今日はようやく実家に辿り着き、午前中は爆眠でしたよ。
ということで、本日は――
■Rene Urtreger Plays Bud Powell (Barclay)
バド・パウエル名曲集といっても、日本製作にありがちな、あの「クレオパトラの夢」は演じられていません。と言うよりも、その人気曲が出る前に吹きこまれていたのが真相です。
主役のルネ・ウルトルジェは1950年代初め頃からフランスで活躍していたピアニストで、ジャズ史的にはマイルス・デイビスが1957年に敢行したフランス巡業のバンドメンバーとして有名でしょう。
で、このアルバムはルネ・ウルトルジェの初リーダー作とされる10吋盤で、ビバップの基本スタイルを忠実に守りながら、その開祖というバド・パウエルの十八番に挑戦した果敢な1枚です。
録音は1955年2月24日、メンバーはルネ・ウルトルジェ(p)、Benoit Quersin(b)、Jean-Louis Viale(ds) となっています――
A-1 Dance Of The Infidels
A-2 Budo
A-3 Prisian Thoroghfare
A-4 So Sorry Please
B-1 Bouncing With Bud
B-2 A La Bud
B-3 Mercedes
B-4 Celia
――という演目は、もちろんバド・パウエルの聖典であり、モダンジャズ永遠のスタンダードになっているものばかりですが、「A La Bud」と「Mercedes」はルネ・ウルトルジェが巨匠に対しての敬意を表したオリジナル♪ もちろんパウエル節が存分に活かされていて、特に「A La Bud」は急速テンポの名曲・名演として、思わずニヤリとさせられるでしょう。また幻想的な「Mercedes」は、某スタンダード曲の焼き直しながら、これまた典型的なパウエル節の味付けが憎めません♪
このあたりは我国の秋吉敏子と同じ雰囲気もありますが、彼女が男まさりの力強さを聞かせていたのに対し、ルネ・ウルトルジェは、反対に女性的というか、如何にも欧州人らしい洒落たタッチが微笑ましいところです。
とはいえ、全篇から滲み出る正統派ビバップのスピリットは素晴らしく、堅実な共演者との一体感も見事な名演ばかり♪ タイトルどおりの「Prisian Thoroghfare」は、このトリオでなければ出せない味わいかもしれません。
またトミー・フラナガンが十八番にしていた「So Sorry Please」も、一脈通じる仕上がりになっています。
全体の演奏は3分前後のトラックばかりですから、アッという間に聞き終えてしまうのが悔しいところなんですが、逆に言えば、それだけ魅力的で聴き惚れてしまうわけです。
ちなみにこのアルバムは何度か再発されているらしく、ジャケットや曲順も異なるブツが様々に出回っていますし、CD再発もありますから、現在では比較的容易に入手出来ると思います。
こういう素直な憧れは、気持ちが良いですねっ♪