OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ガチンコでハード

2008-01-16 16:50:05 | Weblog

今日は雪がどっさり! 仕事に行く前、朝から除雪に追われ、ちょいとヘトヘトでした。う~ん、体力の衰えを感じてしまったです。

ということで、本日は白地にインパクトの強い文字という、ガチンコな1枚を――

Unity / Larry Young (Blue Note)

ラリー・ヤングはオルガンのコルトレーンなんて呼ばれたりもする、革新派キーボード奏者なんですが、私の前に登場したのはトニー・ウィリアムスのライフタイムとかジミ・ヘンドリックスとのジャムセッションあたりの、所謂ジャズロックのフィールドでした。

ですからジャズ喫茶でこのアルバムを初めて聴いた時は、あまりのモロジャズどっぷりに、仰天しましたですね。もちろん噂どおりに過激なモード節を演じていたのです。

録音は1965年11月10日、メンバーはウディ・ショウ(tp)、ジョー・ヘンダーソン(ts)、ラリー・ヤング(org)、エルビン・ジョーンズ(ds) という恐い面々です――

A-1 Zoltan
 エルビン・ジョーンズのマーチングドラムがリードするテーマメロディは哀愁のオトボケ!? 明らかにモダンジャズ既成概念から外れていますが、ジャケット裏解説によれば、ハンガリー人の作曲=ゾルタン・コダーイのオリジナルを、ウディ・ショウが焼き直したものらしいです。
 まあ、それはそれとして、演奏は混濁したモード節が全開という濃密な仕上がりで、4ビートに変則ラテンリズムをブチ込んだエルビン・ジョーンズのドラムスが、まず最高です。
 そして熱血のウディ・ショウ、図太い咆哮を聞かせるジョー・ヘンダーソン、そして宇宙的な広がりも感じさせるラリー・ヤングのオルガンと、真剣勝負なアドリブが展開され、最後まで緊張感が持続するのでした。

A-2 Monk's Dream
 セロニアス・モンクの有名なオリジナル曲が、ここではラリー・ヤングとエルビン・ジョーンズの恐い一騎打ちで演じられています。
 う~ん、原曲は意外に明るいムードのメロディだったんですねぇ……。そんな事に気づかされるほど、ここでの演奏は緊張感がいっぱい! お互いに妥協が無く、真摯に音楽を追求していく姿勢が潔いばかりです。
 烈しいボリリズムの中にもグルーヴィなビートを忘れないエルビン・ジョーンズは、本当に素晴らしいですねっ♪

A-3 If
 ジョー・ヘンダーソンが書いたカッコ良くて新鮮なブルースです。もちろんアドリブは自由度が高いモード系になるんですが、エルビン・ジョーンズのドラミングがゴキゲンですし、ラリー・ヤングのオルガンは、コード付けが本当にイカシてますねぇ~♪
 しかし本来は主役になるはずのジョー・ヘンダーソンがイマイチ、煮えきらずに残念……。それを考慮して燃えるウディ・ショウが痛快というオチが、尚更に憎めません。
 またラリー・ヤングのオルガンアドリブには、ロックっぽいニュアンスが含まれているみたいな過激節!

B-1 The Moontrane
 出たっ! ウディ・ショウ畢生の名曲が、このメンツで演じられるのですから、たまりません。多分、これがオリジナルのバージョンになるのでしょうか? 後年、幾つか残されている演奏に比べると、ややテンポがゆったりとしていますが、エルビン・ジョーンズの重いビートや蠢くようなラリー・ヤングのオルガンが分厚いバックを作り出していますので、アドリブ先発のウディ・ショウも気持ち良さそうにトランペットを鳴らしています。
 またジョー・ヘンダーソンが、飄々として猫のように身軽なフレーズを積み重ねていく展開も珍しく、ラリー・ヤングはミステリアスな雰囲気を重視しているようです。
 う~ん、やっぱり気持ち良い名曲ですねぇ~~~♪

B-2 Softly As In A Mornig Sunrise
 このアルバム中、唯一のスタンダード曲ですから、ジョー・ヘンダーソンもテーマメロディを素直に吹いて、そのまんま、十八番のアドリブ展開に持っていきます。
 エルビン・ジョーンズのブラシからスティックへの流れるようなドラミングも素晴らしすぎて眩暈がしそうですし、独特の浮遊感がたまらないラリー・ヤングのオルガン伴奏は、最高ですねぇ。
 そしてウディ・ショウは熱いフレーズの連発でスリル満点! 続くラリー・ヤングの過激節は、あまりにも凄すぎます。モリモリグビグビ突進する激しさには、絶句!

B-3 Beyond All Limits
 オーラスはメチャ、カッコ良いアップテンポのモード曲で、これもウディ・ショウが会心のオリジナルです。とにかくエルビン・ジョーンズとラリー・ヤングによるビートの出し方が最高で、スピード感満点のシャープなノリに圧倒されてしまうんですねぇ~♪
 もちろんアドリブパートはモード地獄から天国へと、完全に昇天させられます。特にウディ・ショウが強烈ですねっ!

ということで、一切の妥協を配したガチンコジャズです。しかも本来、こういう編成には欠かせないギターが入っていないので、より自由な空間の密度が濃いというか、代わりにエルビン・ジョーンズのドラムスが大暴れ! これが「吉」と出たようです。

ラリー・ヤングのオルガンスタイルは、この時、既にモードに占領されているかのようで、実は密かにロックのビート感覚が混在していると思います。

ちなみに1960年初頭に残されたニュージャズやプレイティッジでのレコーディングでは、ジミー・スミスの影響が色濃いものでしたから、その目覚めの速さは時代の勢いと同一だったのでしょうか……。

ただ、ラリー・ヤングは1978年頃に早世……。享年37歳だったと言われていますから、そのスペースフュージョンというか、異次元グルーヴの未完成が残念でなりません。

コメント
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