仕事の話をしながら昼飯を喰ってたら、煮詰まりがますます酷くなりました。
う~ん、と唸っていたら、なんとも懐かしい曲が店内に流れてきたんですねぇ♪
おっ、これは「マスクラット・ラヴ」じゃないかっ♪ アメリカのっ!
ということで、本日は――
■Hat Trick / America (Warner Bros.)
アメリカはイギリスからデビューしたアメリカ人3人組という、些かややっこしいバンドで、実はイギリスで勤務していたアメリカ軍関係者の子息達というのが真相です。
ご存知のように彼等はCSN&Yの絶大な影響下にあるコーラスワーク、ジェームス・テイラーやビートルズ風の曲作りがウリで、それは1972年に発売したシングル曲「名前のない馬」の大ヒットで一躍有名になりました。
その魅力は素人っぽさというか、決して上手いバンドではないですし、曲の元ネタもバレバレが多いのですが、素直な憧れを真摯に演じているところに好感が持てるのだと思います。
ですから続けて「ヴェンチュラ・ハイウェイ」の大ヒットを放ち、本場というか地元のアメリカをメインとした活動も、当時のウエストコーストロックのブームの中で、ひときわ輝くものだったのです。
さて、本日の1枚は1973年に発売された彼等のサードアルバムで、前述のヒット曲「マスクラット・ラヴ」が収録されています。しかも前2作の爽やかコーラス&生ギターというスタイルを進化させ、王道のハリウッドポップス仕立!
ちなみにメンバーはダン・ピーク(vo,g,b,key)、ジェリー・ベックリー(vo,g,b,key)、デューイ・パーネル(vo,g,b,key) がオリジナルの3人で、レコーディングにはハル・ブレイン(ds,per)、トム・スコット(sax)、ジョー・ウォルシュ(g,key)、チェット・マクラッケン(per) 等々に加えて、ビーチボーイズからカール・ウィルソンとブルース・ジョンストンまでもがコーラス隊として名を連ねています。
収録曲では圧倒的に「マクスラット・ラヴ」が優れていますが、アルバム全体としては曲の繋ぎに凝ってみたり、シンミリ&ヤンワリの雰囲気が横溢した安らぎの1枚♪
しかし現実にはイマイチ、売れていませんでした。だって、それまでの爽やかイメージが些かネクラに転じたような……。私もリアルタイムでこのアルバムを聴いた時には、???でした。
ところが時が流れて現在になると、このネクラ系の優しさが心に滲みるんですねぇ~。
とても作り込まれたプロデュースも、アメリカの3人が担当しているだけあって、どこか素人っぽさがあり、一生懸命さも伝わってくるのです。
そしてこの後、彼等は、あのジョージ・マーティンにプロデュースを依頼して、第2期黄金時代を築くのですが、その直前のシンプルな情熱こそ、このバンドには相応しいと私は思っているのでした。
地味なアルバムですが、末永く愛聴出来る作品だと思います。