今場所も大相撲が、つまらないですね。
というか、些かリアルではない勝負をガチンコとして売っている協会とテレビ局が問題かと……。
しかし中には物分りが悪い力士が居たりして、それが面白いという天邪鬼な観方しか、私には出来なくなっています。
プロならぱ、八百長でも真剣にやって欲しいですね。
ということで、本日は――
■Jimmy Smith Trio + L.D. (Blue Note / 東芝)
演目だ、ジャケットだ、と言っても、ジャズの場合はメンツの魅力というのも絶大です。
例えば本日の1枚は、ジミー・スミスとルー・ドナルドソンという、ブルーノートの看板スタアが夢の共演♪ しかも長らくお蔵入りしていた音源として、1980年代に我国優先で発売されたブツですから、特にハードバップのファンは、その事実だけで歓喜悶絶したと思います。
ちなみに2人の顔合わせは、それまでに同レーベルから幾つか発売されていましたが、やっぱり心が躍ります♪ 2人ともスタアですから!
録音は1957年7月4日、メンバーはジミー・スミス(org,p)、エディ・マクファーデン(g)、ドナルド・ベイリー(ds) というレギュラートリオに、ルー・ドナルドソン(as) が加わった自然体の編成です――
A-1 Soft Winds
ベニー・グッドマン楽団の十八番ですが、ジャズメッセンジャーズの「カフェ・ボヘミア(Blue Note)」における伝説の名演がありますから、ハードバップのファンにとっても聖典のブルース♪ それをジミー・スミスとルー・ドナルドソンがっ! という部分が最大の魅力です。
まずジミー・スミスの左手&足のベースラインがヘヴィです。これこそが、ジミー・スミスがハードバップに成りえた証かもしれません。
しかし、テーマが終わってからアドリブの先発を務めるエディ・マクファーデンも良い感じながら、途中でアドリブの構成を間違えたかのような部分が減点……。続くルー・ドナルドソンもイマイチ、熱くなりきれていませんねぇ……。
う~ん、このあたりがお蔵入りの要因でしょうか……。
しかしドナルド・ベイリーの快適なドラミング、ジミー・スミスのグビグビにスイングしていくオルガンは、やっぱりグルーヴィで最高!
A-2 Hollerin' And Screamin'
ジミー・スミスが書いたアップテンポのブルースとくれば、どっかで聞いた雰囲気ながら、後年の「The Sermon」と似ているテーマメロディが、妙に心地良いです。
アドリブパートでもルー・ドナルドソンが十八番のフレーズを積み重ねる快演♪ このマンネリ感覚は捨てがたいものがあります。
またジミー・スミスは、あぁ、ぶる~す♪ ゴスペル感覚も存分に混ぜながら、痛快なアドリブを披露しています。ドナルド・ベイリーのゴスペルドラミングも素晴らしいですねっ!
A-3 `Round Midnight
ルー・ドナルドソンが抜けたオルガントリオの演奏で、これが最高です! 曲は有名なモダンジャズオリジナルですから、そのミステリアスな雰囲気を大切にしたジミー・スミスのオルガンの響き、また通常よりも、やや早い演奏テンポの設定が絶妙で、エディ・マクファーデンの出来すぎアドリブも、ついついギターでコピーしたくなります。
数多ある同曲の名演の中でも、出色のバージョンではないでしょうか。
B-1 Star Eyes
モダンジャズでは定番演目の有名スタンダード曲ですが、この演奏は楽しさ優先モードに撤したハードバップになっています。まず些かノーテンキなルー・ドナルドソンのテーマ吹奏が、アドリブパートになると一転して過激な色合に変化するあたりに、グッと惹きつけられます。
またジミー・スミスもアグレッシブなフレーズ展開ですし、エディ・マクファーデンもバランスが悪いところが、なんだか狙ったものなんでしょうか……?
なんか、その場の勢いだけで演じてしまったような出来なんですが、かなりの熱気が充満した名演だと思います。
ちなみに、このアルバムはステレオ仕様ですが、このトラックだけがモノラルミックスになっています。
B-2 Darn That Dream
これも魅惑のメロディというスタンダード曲ですから、まずはジミー・スミスがじっくりとテーマを弾きながら、オルガンの魅力を堪能させてくれます。
もちろんルー・ドナルドソンも艶やかなアルトサックスで雰囲気を盛り上げていくのでした。
B-3 Street Of Dreams
これまた雰囲気満点のスローな演奏で、素敵なテーマメロディを丁寧に吹奏するルー・ドナルドソンが、いきなり、たまりません。もちろんアドリブも絶品のフレーズばかり♪
伴奏するジミー・スミスのオルガンは、その音色も魅力的ですし、グヴィ~~っというドライヴ感が凄いアドリブのメリハリが最高です! あぁ、何度聞いてもシビレますねぇ~~♪
B-4 Cha Cha J
なんとジミー・スミスがオルガンに加えてピアノを弾いた珍しい演奏で、リアルタイムではシングル盤として発表されていた曲のステレオバージョンが、これです。
曲は楽しく、またノーテンキなラテン系なんですが、この色物感覚というかキワドイ部分が、なんとも言えません。ジミー・スミスのピアノも面映い感じです。しかしドナルド・ベイリーの半ボケしたラテンビートが最高の楽しさなんですねぇ~♪
ということで、実は中途半端な楽しさが素晴らしいというアルバムです。正直、真っ当にやりながら、ブルーノートの正規盤に比べると、些か頼りない感じがします。
しかし、こうした演奏が発売当時の1980年代に出来たかといえば、それは否! 当時は4ビートがリバイバルしていましたが、こういう真正モダンジャズというか、大衆的な香りもあって、なおかつジャズ魂に満ちた演奏は、ほとんど絶滅していました。
ですから、このアルバムも含めて、当時の未発表演奏集は大いに歓迎されたのです。
本家を意識したジャケットデザイン共々に、人懐っこい1枚だと思います。