今日は北陸に大地震!
かなりの被害が出ているようです。そして被災された皆様には心からお見舞い申し上げます。
ということで、とりあえず本日は、心温まるこれを――
■Will You Still Be Mine ? / Celebrating The Music Of Matt Dennis
Jan Lundgren, Tom Warrington & Joe LaBarbera (Fresh Sound)
ジャケットに微笑むのは、有名な作曲家にして弾き語りの名手というマット・デニスその人ですが、演奏しているのはヤン・ラングレンのトリオという、ちょっと紛らわしいアルバムです。
で、真相はご推察のとおり、マット・デニスの代表曲をヤン・ラングレンのトリオが正統派に撤して聞かせてくれた優れもの! 3年近く前に出たCDですが、今でも愛聴している1枚です。
録音は2003年5月10&11日、メンバーは前述のとおり、ヤン・ラングレン(p)、トム・ウォーリントン(b)、ジョー・ラバーバラ(ds) というセンスの良い面々です。そして演目は全て、マット・デニスが書いた有名曲ばかり――
01 Let's Get Away From It All
02 Violets For Your Furs / コートにすみれを
03 Relax
04 Everything Happens To Me
05 Will You Still Be Mine ?
06 Angel Eyes
07 That Tirde Routine Called Love
08 The Night We Called It A Day
09 Show Me The Way To Get Out Of This World
10 Little Man With A Candy Cigar
11 We Belong Together
12 Spring Isn't Spring Anymore
という演目にあっては、1曲毎に私なんかがウダウダ言っても仕方が無い名曲・名演の連続です。
ヤン・ラングレンは北欧出身の若手で、粋なセンスの塊のような温か味のあるピアノが素晴らしく、原曲のツボをしっかりと押えた歌心には何度聴いてもジャズの楽しさを認識させられます。
またベースのトム・ウォーリントンは白人の中年おやじながら、なかなかのテクニシャンであり、野太いグルーヴも出せる隠れ名人でしょう。
そして、ご存知ジョー・ラバーバラは晩年のビル・エバンスを支えた、多分のこのトリオでは一番の有名人じゃないでしょうか? 私は特に好きなドラマーで、この人が敲いた演奏に駄演無しと思っています。もちろん入っている盤はノー文句で買っているほどなんです♪
肝心の演奏は、いきなりアップテンポで始める「Let's Get Away From It All」が最高に楽しく、快適なスイング感と絶妙な歌心に満ちた展開には、完全に虜になるはずです。そしてアルバム全体への期待が否が応でも高まるという仕掛けなんですねぇ~♪
同様にスマートなスイング感に満ちた「Will You Still Be Mine ?」は、ジョー・ラバーバラのブラシに小気味良いネバリがあって、トリオ全体がグルーヴィな雰囲気になっていくその瞬間、ステックで煽りまくって痛快な展開! ただしヤン・ラングレンが若気の至りというか、やや新しいフレーズやノリになっているのが好き嫌いの分かれ目かもしれません。
またトリオ全員がブルージーな感覚で迫る「Show Me The Way To Get Out Of This World」も良い味だしまくり♪ 特にトム・ウォーリントンのベースが光ります。
そして気になるスロー系では、お目当ての「コートにすみれを」が当然のように素晴らしい出来栄えです。この、じっくり構えてイタズラに騒がない雰囲気は正統派の証でしょう。実際、全く普通っぽいピアノスタイルで迫るヤン・ラングレンは地味と思われがちですが、自然体の輝きが滲み出た風格さえ感じさせてくれます。
それは私の大好きな曲である「Everything Happens To Me」や人気曲「Angel Eyes」でのソロピアノ演奏にも顕著で、凝った事をしない素直さが好印象です。特に後者は重いビートを伴ったドラムスとベースが入った瞬間に、全く別世界へ飛翔する展開が本当に見事!
そのあたりは、いちいち細かいことを書き連ねても虚しくなるだけです。とにかくこのアルバムを聴いて嬉しくなかったら、私は素直に謝るだけです。
それとこのCDの付属ブックレットが32頁の分厚いもので、マット・デニスの近況・近影やディスコグラフィが載っているのも楽しいです。
また録音にも温か味があり、音作りそのものも分厚い感じが良いですねぇ~♪
まあ、騙されたと思って聴いてみて下さいませ。ズバリ、愛聴盤になりますよ。