OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

春の大雪

2007-03-07 19:59:44 | Weblog

今日は早く帰って、いろいろとやろう!

と目論んでいたら、時ならぬ春の雪で、帰宅したら車が入れられない!

なにしろ借りている家が山間部なんで、1時間に30センチ近く積もっていたという!

で、除雪作業で、完全空腹状態ながら、本日の1枚は――

Bill Evans At Town Hall (Verve)

多作なビル・エバンスのアルバムの中にあって、けっこう隠れた人気盤だと思います。

まあ、この時期のトリオはスコット・ラファロ(b) を失って次なる展開を模索していた所為か、些か小粒なメンツではありますが、マンネリとは違う不思議な安定感があって、私は気に入っています。

で、ここでのメンバーはビル・エバンス(p)、チャック・イスラエル(b)、アーノルド・ワイス(ds) という、今となっては珍しい顔合わせながら、とても纏まりのある演奏を聞かせてくれます。

ちなみに録音は1966年2月21日、ニューヨークのタウンホールでのライブ音源で、オリジナル盤ジャケットには「Volume One」と記してありますが、結局、続篇は出ないまま、CD時代になってボーナストラックが追加されたという経緯があります――

A-1 I Should Care
 観客の拍手の中、ちょっとしたチューニングがあり、続いてビル・エバンスがスマートなテーマ解釈を聞かせる展開からして、完全に惹き込まれてしまいます。
 もちろんアドリブは完璧な「エバンス節」がたっぷり♪ やや地味なアーノルド・ワイスのブラシも結果オーライですし、チャック・イスラエルが畢生のベースソロを披露しています。
 録音状態も落ち着きとメリハリが両立していて、とても好ましいと思います。

A-2 Spring Is Here
 綺麗なテーマメロディを原曲以上の魅力に作り変えていくビル・エバンスの魔法が存分に味わえる名演です。
 それはスローな展開でありながら、決してダレない緊張感とホノボノとした安らぎの同居でもありますが、トリオとしての一体感が見事すぎて、普通に聞こえてしまうのが♪ それでも2分40秒からのスリルにはゾクゾクさせられます。
 全てを分かって寄り添うチャック・イスラエルのベースも、最高ですねぇ♪

A-3 Who Can I Turn To
 当時、リアルタイムで流行っていたポビュラー曲をビル・エバンス流儀でジャズ化した名演ですが、ほとんどこれが、この曲の定番解釈であろうと思います。
 それはスローな展開から原曲メロディをフェイクして快適なスイングに持っていくという、ビル・エバンスが十八番の演奏ですが、ここでもチャック・イスラエルが好サポートを聞かせてくれます。アドリブソロもウッドベース本来の魅力がありますねぇ~~~♪ 控えめなアーノルド・ワイスも高得点です。

B-1 Make Someone Happy
 B面に入っても安定したビアノトリオの妙技が続きます。ここでは、まずビル・エバンスの幻想的なピアノソロから溌剌としたテーマ演奏、そしてスピード感溢れるアドリブパートに入っていく展開が最高です!
 そこにはトリオ3者の粘っこい絡みがあり、アーノルド・ワイスもステックに持ち替えて煽りのドラミング! とはいえ、けっしてハメを外すことが無いあたりに、物足りなさを感じるのも事実ではありますが……。
 しかし肝心のビル・エバンスは、テンションの高いフレーズとコード選びで、文句無しです。

B-2 Memory Of His Father, Harry Evans, 1891-1966
 これはタイトルどおり、2週間ほど前に急逝した父親に捧げてビル・エバンスが繰り広げたソロピアノです。
 多分、即興的な部分が多いと思われますが、約13分の演奏中の後半では、晩年のレパートリーになる「Turn Out The Stars」と同じテーマメロディが出てきますから、実はしっかりと作編曲してあったんでしょうねぇ。胸に去来する父の思い出に溺れることなく、万感の思いで綴られる名演には、素直に感動してしまいます。

ということで、個人的な愛聴盤になっています。

ちなみにCDには前述したように「Beautful Love」「My Foolish Heart」「One For Helen」の3曲がボーナストラックとして入っていますが、これは恐らく出る予定だった「Volume Two」からのものでしょうか? 実はCD持っていないので、詳細等々、ご容赦願います。

でも、ビル・エバンスって、やっぱり何を聴いても、良いですねぇ~~~~♪ 独自の歌心は唯一無二♪

コメント (2)
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