OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

当たり前の気持ちよさ

2007-03-11 19:20:46 | Weblog

最近、ストーンズを聴くことが多いのですが、その合間に聴く4ビートが新鮮になっています。

特に正統派ハードバップや女性ボーカル物が和みますねぇ。

ということで、本日はバリバリのこれを――

Peckin' Time / Hank Mobley - Lee Morgan (Blue Note)

アルバムのクレジットは双頭リーダーになっていますが、収録5曲中、4曲のオリジナルを提供したハンク・モブレーが実質的なリーダーかと思います。

しかし演奏者全員のテンションは極めて高く、誰のリーダーセッションとして出されても不思議ではない傑作盤です♪

録音はハードバップ絶頂期と言うべき1958年2月9日、メンバーはリー・モーガン(tp)、ハンク・モブレー(ts)、ウイントン・ケリー(p)、ポール・チェンバース(b)、チャーリー・パーシップ(ds) という強力クインテットです――

A-1 High And Flighty
 ハンク・モブレーが十八番のメロディラインで綴られるテーマが、これぞハードバップになっています。
 もちろんアドリブ先発の作者は流れるようなフレーズ中心に快適に飛ばしていますし、アップテンポをがっちりと支えるリズム隊との息もぴったり! さらに続くリー・モーガンが、また凄いです♪ あぁ、この突進力は若さゆえ! 独特の歌心も存分に発揮していますからねぇ~、ますますボリュームを上げてしまうですよ♪
 そしてウイントン・ケリーが歯切れの良いビアノタッチで颯爽と駆け抜けていけば、演奏は何時しかクライマックスのドラムス対ホーンの対決へ!
 なんか当たり前に凄くて、何の感動も残らないという贅沢が味わえます。

A-2 Speak Low
 このアルバムで唯一のスタンダード曲演奏です。
 テーマにはお馴染みのラテンリズムが付いていて、リー・モーガンが哀愁を滲ませた見事な吹奏を聞かせてくれますが、サビからは4ビートのお約束をハンク・モブレーが担当し、そのまんまタメとモタレの名人芸というアドリブに入っていきます。
 あぁ、本当に良いですねぇ~~♪ 和みます♪
 そして続くウイントン・ケリーが、また最高です♪ ネバリのタッチと適度なファンキーさが絶妙なブレンドで、美味しい珈琲が欲しくなりますよ。
 さらにリー・モーガンが、本当に天才の証明! 同様にタメとツッコミの見事な両立を聞かせてくれますが、伴奏のリズム隊も全篇に上手い煽りで流石だと思います。

A-3 Peckin' Time
 アルバムタイトル曲は、これまたハードバップの極みつきという名曲・名演になっています。
 その源はウイントン・ケリーを要としたリズム隊の快適さでしょう。アドリブ先発で飛び跳ねるピアノトリオの真髄を聞かせてくれますし、伴奏にまわっては、躍動的なクッションを送り出して、ホーン陣を鼓舞していきます。
 ですからハンク・モブレーもリー・モーガンも気持ちの良いアドリブフレーズの連発でノリの良い演奏を組み立てていくのでした。

B-1 Stretchin' Out
 ちょっとホレス・シルバーのバンド? と思ってしまうほどに躍動的な演奏です。
 アドリブでは先発のリー・モーガンが異常に素晴らしく、歌心溢れるフレーズをスピード感満点に吹きまくりです♪ 実はこの時期のリー・モーガンは最初の絶頂を極めていた時代で、1週間前には名盤「キャンディ (Blue Note)」のセッションを残していたのですから、ここでの快演も優劣つけがたいものばかりです。
 またウイントン・ケリーも絶好調ですし、ハンク・モブレーは言わずもがなの和み優先モードですから、気分は最高です♪

B-2 Git-Go Blues
 オーラスは和んでファンキーな大ブルース大会です。
 なにしろ素晴らしいイントロをつけるウイントン・ケリーからして文句無し! お約束ばっかりのテーマも良いなぁ~♪
 そしてアドリブに入るところのハンク・モブレーが、全てを掌握したかのような超名フレーズで見事です。このブルージー&ファンキーなノリと泣きは、たまらんですねぇ~~~♪ もちろん通してのアドリブも最高で、全てが素晴らしいこのアルバムの中でも特級の出来栄えに、私はシビレまくり♪ 恥ずかしながらギターでこのアドリブをコピーしようかと目論んだことさえあるほどですから♪
 また続くリー・モーガンも、良いんです♪ 十八番のフレーズを出し切ったハードバップ魂の素晴らしさには最敬礼! ウイントン・ケリーの合の手も冴えきっています。
 さらにリズム隊の快適さは気持ち良過ぎて中毒しそうです。チャーリー・パーシップのドラムスはかなり硬派だと思いますが、ポール・チェンバースのベースが緩衝材の役割を果していますから、ウイントン・ケリーの跳ねすぎピアノとの相性も抜群という好結果になったようです。

ということで、当たり前に凄いとしか言えない作品です。つまりモダンジャズ黄金期には、こんな演奏が出来て当たり前という感覚に満たされた日常盤! しかしこれが現代で作られるかといえば、否でしょう。

このあたりは昭和40年代のプログラムピクチャーのように、堅固な撮影所システムに支えられた偉大なるマンネリと似ていますが、その心地良さは失われて初めて気づく宝物なのでした。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする