OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ソウルもラテンロックもフュージョンしていたウォー

2012-09-26 15:14:51 | Soul

Cisco Kid / War (United Artist / 東芝)

1970年代初頭、サンタナの大ブレイクによって火がつけられたラテンロックの流行では、マロやアステカといったサンタナの弟分バンドをはじめ、同系の音楽性を持ったグループが幾つも注目されました。

例えば本日ご紹介のウォーも、黒人メンバーが主体とはいえ、やっていた基本は丸っきりラテンロックであり、さらにはファンクやジャズ、ブルースやフォークロックまでも包括的に融合したフュージョンサウンドで一世を風靡しましたですねぇ~♪

しかも歌詞の中身に相当なメッセージ性が強く、「ウォー」というバンド名が逆説的に平和を希求する意味合いになっていたところも侮れません。

そして彼等の最初のメジャーな出発的が、アニマルズを解散させたエリック・バードンのバックバンドであったという事実も、これまた重要ポイントかもしれません。

実は当時のエリック・バードンは芸能界引退を考えていたらしいのですが、周囲の勧めによって黒人バンドを率いての活動を企図!? そんな折にLAで発見されたのが、ウォーの前身であったナイトシフトだったと言われています。

また同じ頃、エリック・バードンが歌うステージで共演していたのが、デンマーク人のリー・オスカーと名乗るハーモニカ奏者で、そんな諸々の関係者が一堂に会し、1969年に結成されたのが、エリック・バードン&ウォーでした。

メンバーは前述のリー・オスカー(hmc,vo)、ハワード・スコット(g,vo)、ロニー・ジョーダン(key,vo)、B.B.ディッカーソン(b,vo)、ハロルド・ブラウン(ds,vo)、チャールズ・ミラー(fl,sax,vo)、そしてパパ・ディー・アレン(per,vo) の7人組で、当時のステージ進行は前半がウォー、後半がエリック・バードンの入ったガチガチネチネチのライプでしたから、1970年には最初のアルバム「宣戦布告 / Eric Burdon Declares War」を作り、シングルカットした「Spill The Wine」が大ヒットしたのも不思議ではありません。

しかし告白すれば、その頃のサイケおやじは、日本でもそれなりに流行っていた件の「Spill The Wine」をラジオで聴いても、何かイマイチ……。何が悲しくて、エリック・バードンが中途半端なラテンロックを歌うのか!?

そんな不遜な気持になっていたんですから、お笑い下さいませ。

もちろん、問題なのは、その「中途半端」なところだった事を後に知るわけですが、まあ、それはそれとして、とにかく順調なスタートから作られた2ndアルバムが「エリック・バードンの黒い世界!! / The Black-Man's Burdon」という物凄い邦題が付されたLP2枚組の熱血盤なんですねぇ~~~~。

この内容については何れ、あらためての掲載を予定していますので、今は端折りますが、ひとつだけ特筆しておきたいのが、カパー曲以外を作ったのがウォーの面々だったという事です。

さらにジャケットもエロいデザインが潜んだ問題作であり、中身は激しいラテンロックとネクラなモダンジャズの化学変化ばっかりなんですから、後は自ずと進む道が知れようというものです。

なんとっ! 驚くなかれ、主役のエリック・バードンがグループを投げ出したというか、巡業の真っ只中に疾走(?)もどきの脱退騒動が勃発し、以降のツアースケジュールは全てウォーの単独ステージになったそうですが、そのライプが所謂元祖ジャムバンドであった事から、結果オーライ♪♪~♪

こうしてウォー単独での活動が認められ、1971年には最初のアルバムが制作発売されたのですが、ここまでの経緯をサイケおやじが知り得たのは、もちろんリアルタイムではなく、本日掲載したシングル盤A面曲「Cisco Kid」が大ヒットして以降、つまりウォーが我国でも注目されての後追いです。

それが1973年の事で、最初はFEN=米軍極東放送のラジオから流れまくっていた記憶から、とにかく調子が良くて、さらにヘヴィなピート感はイントロから全開! ピアノとエレキベースの蠢きにワウワウのギターが絡んでいく展開には心底、ゾクゾクさせられましたですねぇ~♪

さらにボーカル&コーラスが野性的なグルーヴを発散し、どこか猥雑なフィーリングがワイワイガヤガヤのファンクなノリに変質していくんですから、たまりません♪♪~♪

う~ん、これぞっ! ラテンロックの真髄!!

なぁ~んて、当時は強く思っていたサイケおやじではありますが、既に述べたようにウォーの作り出していた音楽にはラテンやロックの他にブルースやジャズ等々の黒人ルーツが明確にあって、そこが黒人主体のバンドである本領なのでしょう。

ステージではアドリブ主体の気持E~、それこそフュージョンをやっていた事は、後のライプ盤で証明されています。

ちなみに同じ頃にはスティーリー・ダンも「Do It Again」のヒットで、ラテンロック路線を狙っているとリスナーに思い込ませていたんですから、なかなか罪深い話……。

もちろん両者共にジャズファンクを包括したフュージョンの礎を築かんとしていたわけですが、それはまた後の話です。

ということで、一発で「Cisco Kid」にシビれたサイケおやじは以降、ちょいちょいとウォーのレコードを集めていく中で、前述したエリック・バードンとの共演アルバムに接し、ようやく目が覚めたというわけです。

皆様もご存じのとおり、ウォーはフュージョンバンドでもあり、真性ソウルグループでもありましたが、それゆえに1970年代後半からのディスコブームの渦中では精彩を欠き、取り残されています。

つまりウォーは実に複雑なグルーヴを易々と演じていたんですねぇ~♪

現在ではほとんど顧みられないバンドになっているようですが、ドロドロのライプ盤も含めて、1970年代に発表したアルバムは全てに聴きどころが満載されていますし、率直に言って、楽しいです。

本当に良いバンドでした♪♪~♪

コメント (8)
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