OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

これも憧れの人生

2012-09-16 14:56:50 | Pops

愛ある限り / Captain & Tennille (A&M / キングレコード)

高倉健、6年ぶりの銀幕登場という話題の映画「あなたへ」を鑑賞してきました。

正直、各方面の紹介報道等々から、サイケおやじには些か苦手なテーマの作品という先入観念もあったんですが、実は片山由美子様のプログを拝読して後は、絶対に観ようっ!

そういう気持が強くなっていました。

ですから、ちょいと自意識過剰でスクリーンと対峙したところは否めませんが、結論としては、面映ゆいばかりに素敵な映画だと思いましたねぇ~。

物語は高倉健が、死別した妻の遺骨を遺言に従って海に散骨する旅の途中で出会う様々な人と人生模様……。

まず、そこに登場する共演者、田中裕子、ピートたけし、佐藤浩一、大滝秀治、原田美枝子、余貴美子、浅野忠信……等々の演技が素晴らしかったです。

もろちん降旗康男監督の演出も、懐が深くて繊細だと思います。

しかし、やっぱり、高倉健!

いや、ここは敬意と親しみをこめて、健さん、と呼ばせていただきますが、健さんは、どこまでいっても、健さんなんですねぇ~~。

もう、周囲の演技演出、環境に流されないと言えば失礼極まりないわけですが、生真面目で朴訥、しかし揺るぎない男の信念を、これほど憧れを持たせて演じられるのは、流石、健さんだと思いました。

ちなみに物語は、ある種のミステリであり、驚くなかれ、健さんが刑務官を演じているというネタ(?)もありますが、そんなの関係ねぇ~~!

ここからは些か確信犯的な書き方になるかもしれませんが、この世に、男と女の問題ほど鬱陶しくて、必要不可欠なものは無いでしょう。

それゆえに古来から、この両性には愛情と確執が二律背反していたわけですが、その中では素直になれるか、否か?

どのように自然体で生きられるか?

そのあたりのポイントで人生の幸せの度合いが違ってくるのかもしれません。

ですから、この「あなたへ」で描かれる夫婦の機微、人生や世の中のそこはかとない情感や情景は、決して派手ではないだけにジワジワと心に広がる「何か」があるんじゃ~ないでしょうか。

まあ、このあたりは何時ものサイケおやじとは異なる、なにか別次元の感情のような気さえするほどです。

さて、そこで本日のご紹介は、1975年の大ヒット洋楽としては今も不滅の「愛ある限り / Love Will Keep Us Toghther」というのは、既にして意図がミエミエでしょうか。

まあ、例えそうであったとしても、と居直りつつ、それでも良い曲、良い歌ってのは何時の時代も変わりません。

演じているキャプテン&テニールは現実の夫婦であって、まさにハリウッドポップスの正統をあらためて世に知らしめた功績は、この「愛ある限り / Love Will Keep Us Toghther」以降、幾つものヒット曲によって忘れられるものではないと思います。

しかも、ご存じのとおり、この2人はビーチボーイズのサポートメンバーとしての履歴も有名で、キャプテン=ダリル・ドラゴンは1968年頃からの巡業用バンドでキーボードを担当していたのですが、それは高校時代から交流のあったブルース・ジョンストンとの繋がりと言われていますし、「キャプテン」というニックネームは常に船長のような帽子を愛用していた事から、マイク・ラブの命名は歴史(?)だと思います。

一方、テニール=トニ・テニールはナイトクラブやミュージカルショウのコーラスガールをやっていた時、伴奏に来ていたダリル・ドラゴンとのコネから、やはりビーチボーイズの巡業用バンドに加入し、1972年頃からのステージに出ていたようですが、ファンの間ではビーチボーイズに初めて女性歌手が加わったのか!? と話題が集中していた時期もあったとか!?

ただし、そこからキャプテン&テニールとして独立はしたものの、大手プロダクションに所属出来なかった事もあり、最初は自主制作のインディーズ暮らし……。

もちろん確固とした音楽性は纏まっていても、そういう下積みはアメリカの芸能界では普通でありましたから、地道なデモテープ作り、そして独自プレスしたシングル盤「The Way I Want To Touch You」をアメリカ西海岸地域の放送局に配り、見事なローカルヒットにしてしまったのは、まさに実力の証明!

という逸話をサイケおやじが知ったのは、後に世に出たベスト盤のライナーを読んだ時でありますが、しかし、この「愛ある限り / Love Will Keep Us Toghther」は聴いて一発! イントロからケツまでシビれまくったですよ♪♪~♪

特にイントロのピアノをメインに作り出されるリズムパータンは、サイケおやじが最も好むところで、実はネタばらしを書いてしまえば、「愛ある限り / Love Will Keep Us Toghther」はニール・セダカのオリジナルであり、既に1973年に本人が発表していたものですから、件のピアノイントロのリズミックな展開は典型的な「節」であることが、ニール・セダカのファンであれば、言わずもがなの常識でしょう。

しかしキャプテン&テニールのバージョンはダリル・ドラゴンのアレンジにより、絶妙のソウルっぽいビート感を混入させる事に成功しています。

さらに言えば、そのパターンが後にドゥービー・ブラザースというよりも、マイケル・マクドナルドの十八番に転用され、「What A Fool Believes」の大ヒットを誕生させてしまた!?

不遜でしょうが、サイケおやじは真剣にそれを思っているほどなんですよっ!

ちなみに、その「What A Fool Believes」のイントロピアノパターンで、スパイダースの「あの時君は若かった」を歌ってみて下さいませ。ジャストミートしますよ♪♪~♪ 恥ずかしながら、サイケおやじが入れてもらっているバンドでは、率先してやってしまってます、はい。

閑話休題。

で、そのリズムパターンや曲メロは最高に素敵なわけですが、ニール・セダカの盟友であるハワード・グリーンフィールドの書いた歌詞が、キャプテン&テニールという実際の夫婦に演じられる事で、さらに味わいが深まっていると思います。

 愛が私達をひとつにさせているわ
 あなたは、何時も私を思っていてね
 甘い声で話しかけてくる女の子には
 関わらないで
 
 だって 本当にあなたを愛しているから
 私はあなたの事を考えているんだから

う~ん、つまりは女が好きな男の心を離さないように執着し、幸せになるアドバイス(?)という事かもしれませんが、相手が幾ら好きな女であっても、こんな事を堂々と言われたら、嬉しさよりも、鬱陶しさが先に……。

しかし、そんな印象も、キャプテン&テニールが歌うと、これがなかなか爽やかモードのアツアツなラブソング♪♪~♪

ポップスの世界では、例えばソニーとシェールとか、ある意味での「生臭さ」をウリにしていた夫婦デュオが珍しくありませんが、キャプテン&テニールは所謂友達夫婦っぽいノリを前面に出したプロダクトだったのかもしれません。

もちろん、それは現実の世界では難しく、だからこそキャプテン&テニールの存在は、ひとつの憧れとして、人気が長続きしているのでしょう。実際、サイケおやじは数年前ですが、今でもライプショウに出ているキャプテン&テニールのブート映像に接していますよ。おそらくはネットでも流れていると思いますから、機会があれば、ご確認下さい。

ということで、夫婦なんていう鬱陶しい関係も、キャプテン&テニールのように過ごせれば、それはそれで幸せですよねぇ~♪ もちろん内情は知る由もありませんが、その意味で健さん主演の「あなたへ」は、微妙な距離感を維持して人生を過ごした男と女の在り方を描いた、これまたひとつの憧れの世界♪♪~♪

全く映画そのもの、王道の物語に魅せられましたです♪♪~♪

たまには、そういう気分も良いもんです。

コメント (2)
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