OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ジミハデなマリノ

2012-09-17 15:21:59 | Rock

Frank Marion & Mahogany Rush Live (Columbia)

こういうものを「好きだっ!」と言うと、当時も今も失笑されたりするんですが、好きなものは好きなんですから、しょ~がねぇ~だろうっ!

なぁ~んて、本日もサイケおやじが十八番の居直りでご紹介するのが、フランク・マリノ率いるマホガニー・ラッシュのライプ盤です。

で、これが失笑されるのは、ご存じとは思いますが、フランク・マリノというギタリストが「ジミヘンの再来」と過剰な評判を呼び、しかも本人がすっかり「その気」になっていた売り方をされた所為でしょう。

そりゃ~確かに、「その気味」はあるでしょう。

なにしろ1972年に地元カナダで発売されたデビューアルバムには、「故ジミ・ヘンドリクスに捧ぐ」と明記してあったそうですし、それ以前のアマチュア時代から様々なエフェクターを駆使して、ジミヘンをやっていた!?

実はそうした逸話について、サイケおやじは今日でも未確認なので、まあ、はっきりと断定的に書くわけにはいかないんですが、それをお断りしても、フランク・マリノのギタープレイ、そしてバンドとしてのマホガニー・ラッシュの演奏からは、確かにジミヘンがビンビンに伝わってくるのは事実です。

しかし、聴いているうちに思うのは、フランク・マリノがそれほどジミヘンばかりを意識していないのではないか!?

という疑問であり、何よりも、もっと真っ当なハードロッカーとしてのフランク・マリノを素直に楽しんでも良いじゃ~なかろうか?

そんな漠然とした気分になっていた頃、サイケおやじの前に現れたのが、掲載したライプ盤でした。

 A-1 Introduction
 A-2 The Answer
 A-3 Dragonfly
 A-4 I'm King Bee
 A-5 (Excerpt From "Back Door Man")
 A-6 A New Rock & Roll
 B-1 Johnny B. Good
 B-2 Talkin' 'Bout A Feelin'
 B-3 (Excerpt From "Who Do Ya Love")
 B-4 Electric Reflections Of War
 B-5 The World Anthem
 B-6 Purple Haze / 紫のけむり

録音されたのは1977年、どうやらアメリカ南部を巡業していたステージから抜粋編集されたらしいのですが、結論から言えば、これほど情熱的なギターアルバムは珍しいと思うばかり!

メンバーはフランク・マリノ(g,key,vo)、ポール・ハーウッド(b)、ジミー・エイヨブ(ds) のトリオ編成という事もあり、また、やっている「音」も含めて、それは嫌でもジミヘンのエクスペリエンスを想起させられるわけですし、実際、「Johnny B. Good」や「Purple Haze / 紫のけむり」はジミヘンの強烈なレコーディングが残っているのですから、聴いていてそれを思わなかったら嘘になります。

ところが、もうひとつ、フランク・マリノが絶対的に持っているであろう、所謂ロック魂!

それが無かったら、ここまで狂熱的な演奏は出来ないでしょう!

特に「Johnny B. Good」の素晴らしさは、それがチャック・ベリーというR&Rの王様のオリジナルという真実を提示し、フランク・マリノの早弾きも、些か一本調子のバックのリズム隊も、行き着く先は王道ロックの桃源郷♪♪~♪

ですから、続く「Talkin' 'Bout A Feelin'」からのハードロックなブルース大会が、やればやるほどジミヘンに聞こえても、そこには好きなものを聴かせてやるぜっ!

そんなフランク・マリノ&マホガニー・ラッシュの本音とボランティア精神(?)には、素直に歓喜悶絶しても恥ずかしがる必要なんて無いわけですが……。

ところが、ど~もそうしたところが評論家の先生やリアルなロックマニアにはウケが悪いらしく、フランク・マリノの名前を出したが最後、相手にされなくなる恐れもあったのが、1980年代の我国洋楽ファン裏事情だったんですよっ!?!

しかし、無念にも行けなかった同じ頃の来日公演は相当に盛況だったようですし、テレビ出演でも堂々の生演奏をやらかした劇的存在感は、今や伝説でしょう。

と言うのも、実はフランク・マリノは悪いクスリにどっぷり……、というのが当時は暗黙の了解であり、関係者の間には来日を危ぶむ声もあったほどですからねぇ。

とにかく健康状態がギリギリであった事は、以降の落目でも証明されていますが、逆に言えば、そういう切迫感があったからこそ、このライプに収められた歌と演奏が文字通り、鬼気迫る!

あぁ、本日は、もう、何も言いますまい。

拙稿を読んでいただき、何かしらの興味を抱かれた皆様は、ネットでもレコードでも、とにかく一度、聴いてみて下さいませ。

今日でも、およそ名盤扱いなんかされないアルバムでしょうし、フランク・マリノその人がすっかり忘れられた存在である以上、こんなにロックファンを熱くさせたレコードを出していた現実が逆に幻と思えるかもしれませんよ。

ということで、本日は逆説的な文章の積み重ねになってしまいましたが、最後に書いておきたいのが、フランク・マリノのギターに関して、使用楽器が「ギブソンのSG」という、ちょいと違和感のある現実です。

だって、ここまでジミヘンをやるんなら、「フェンダーのストラトキャスター」が正当じゃ~ないんですかねぇ~~??!?

もちろん写真や映像で見るフランク・マリノのギターは、物凄い改造が施してあるのが明瞭で、しかも見当もつかないエフェクターの多重接続とか、凝りまくっているのが面白いと言えば、それまでです。

また、「ギブソンのSG」が似合うギタリストの筆頭格として、フランク・マリノの存在が認められているという説もあるほどですが……。

なんにせよ、サイケおやじは死ぬまでに一度は、フランク・マリノの実演ライプに接したいと願っています。

それは既に述べたとおり、悪いクスリでリタイアとカムバックを繰り返しつつ、風の噂では、現在でも弟のヴィンス・マリノ(g) を入れたバンドでドサ回りをやっているというのですから、捨てる神あれば、なんとやら!

強く念じ続ければ、案外とひょっこり来日があるような気もしています。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする