OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ZZトップはシジイのロックか!?

2012-09-04 15:25:35 | Rock

ZZ Top's First Album (London)

とんでもなく長~い顎鬚のおっちゃん2人がフロントでギターとベースを弾きまくり、その後ろでは、ちょいとヤクザっぽい感じの硬派なドラマーという3人組が、今やすっかり有名バンドとなったZZトップのイメージでしょう。

だから、バンド名が「ジジー」なのかっ!?

というドメスティックなギャグはさておき、もちろん、彼等は決して真性コミックバンドではなく、1970年代初頭のデビュー当時から、一貫してやっているのが、所謂ハードブギとブルースロック!

しかも保守的な拘りと新進の気質を上手く取り入れながら、イヤミにならないバランス感覚をさりげなく持っているのですから、そういう姿勢はサイケおやじも大いに共感を覚えるバンドです。

中でも前述の大ブレイクが、1980年代中頃の洋楽最先端であったプログラムされたシンセ系のサウンドを全面的に使いながら、そのビシバシのピート感に対する土着的なブルースロックへの愛着を隠そうともしないところは、憎めませんねぇ~~♪

さて、そんなZZトップが我国で聴かれるようになったは、おそらく1975年、シングル曲「Tush」が局地的に流行った頃だと思うんですが、それにしたって、ZZトップはテキサス出身という事もあってか、サザンロックの新進バンド扱いと記憶しています。

まあ、それは確かに間違いでは無いでしょう。

実際、野太いロックビートに武骨なスライドギターによるストレートなハードブギの「Tush」からは、モロにアメリカ南部の熱風が吹きつけてくる感じですから、サイケおやじが忽ち夢中にさせられた事は言うまでもありません。

しかし同時にZZトップには、そういう分かり易さの奥底に、何か得体の知れないドロドロしたものが潜んでいるように思えたのも、また事実でした。

で、そんな頃、某ロック喫茶で聴いたのが本日ご紹介のLPで、これがZZトップが1971年に出していたデビューアルバムだったというわけです。

 A-1 Shaking Your Tree
 A-2 Brown Sugar
 A-3 Squank
 A-4 Goin Down To Mexico
 A-5 Old Man
 B-1 Neighbor
 B-2 Certified Blues
 B-3 Bedroom Thang
 B-4 Just Got Back From Baby's
 B-5 Backdoor Love Affair

既に述べたとおり、ZZトップは所謂パーワーロックトリオで、メンバーのビリー・ギボンズ(vo,g)、ダスティ・ヒル(vo,b)、フランク・ベアード(vo,ds) に共通する音楽の好みが黒人ブルースや南部系R&Bと言われていますから、収められた演目が全てバンドのオリジナル曲であったとしても、出てくる音は如何にもブルースロックに他なりません。

しかし他の同系バンド、例えばジョン・メイオールのブルースブレイカーズバターフィールド・ブルース・バンド、あるいはキャンドヒートテン・イヤーズ・アフター等々から滲み出ている正統派のロックっぽさが、どうにも希薄に感じられます。

誤解を恐れずに言えば、素朴にやっていながら、妙に屈折したムードがあるんですねぇ。

極言すればストーンズの「ペガーズ・バンケット」にも通じる「怖さ」が!?!?

それはアルバム全体がミディアムテンポで重心の低い演奏をメインに構成されている事にも、何かのポイントがあるのでしょうか。

とにかくA面ド頭の「Shaking Your Tree」こそ、キャッチーなコーラスやハワイアンみたいなスライドギターで明るい(?)ムードを演出してはいるものの、本質はどっしり構えた中からエグ味が強く浮き出し、ファズギターがギンギンのハードロックブギ「Squank」、如何にものリフがガッツ溢れる「Neighbor」、これまたタテノリでガツガツやってしまった「Bedroom Thang」あたりは、その傾向の最たるものと思います。

また、思いっきりドロドロしたスローハードロックの「Brown Sugar」は、もちろん同時期に世界的なヒットになっていたストーンズの名曲とは別物なんですが、これをストーンズにもやって欲しいっ!

なぁ~んていう、妄言を誘発されてしまうのは、偽りの無いサイケおやじの本音なんですが、実は似たような雰囲気を醸し出していたブルースロックのバンドとしては、フリーとの兄弟仁義もあって然るべきでしょうか。

もう、なんだかんだと言っても、レコードを聴き進めていく中には、そうした迷い道に連れていかれていまう、やっぱり「怖さ」が潜んでいるようです。

そして、これまた侮れないのが、泣きのギターが胸に染み入る哀愁ロックの「Old Man」、同じく典型的なブルースロックの「Just Got Back From Baby's」におけるギターの忍び泣き♪♪~♪

あぁ~、我知らずロックとブルースの魔力に捕らえられてしまうのは、全く衒いの無い姿勢で、それが演じているZZトップの恐るべき企みと力量ゆえの事だと思うばかり……。

ですからオーラスの「Backdoor Love Affair」が真っ向勝負で演じられる時、そこにはハードなアメリカンロックの魂が屹立している事に、ハッとさせられ、その刹那の覚醒が「怖さ」の根源!?

ご存じのとおり、1980年代のZZトップはテクノポップであり、また旧態依然のブルースロックバンドでもあり、キッチュなルックスとステージアクトが場合によっては「やってしまった」感満点の存在でした。

しかも未だ有用性が不確かだったMTV、つまりプロモーションビデオの活用に積極的だった事から、心あると自認する評論家の先生方や頑固な洋楽ファンからは相手にされなかった側面さえあるのです。

ところが、そうしたZZトップによって、往年のブルースロックに惹かれていく若年のファンが増えていったのも、また事実だったんですねぇ~~!? そして辿りつくのが、本日ご紹介のデビューアルバムという帰結は当然でもありました。

ただし、そこに「怖さ」を感じるか、否かは問題ではありません。

大切なのは、ZZトップが、そのデビュー時から現在まで、常に思うところを実践してきた一貫性じゃ~ないでしょうか?

ということで、本日は自分でも書いている事の真相が意味不明になっているんですが、創作に関わる者は須らくデビュー時に収斂するという法則(?)に従えば、ZZトップの擬態的変化も楽々と許容出来る気がします。

そして聴いた瞬間から、速攻でゲットさせられたZZトップの最初のアルバムが、今もサイケおやじの愛聴盤になっている事は皆様ご推察のとおり!

こういうレコードに出会えるから、ブルースロックは素敵な世界なんですよね
ぇ~~~♪

今日は、なんとなく、それが結論!?

コメント
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