異常に蒸し暑い所為か、やたらに空腹感があります。
しかも大好きなウナギが中国の食品衛生上の問題で、高値となっているのも、痛いですねぇ。今まで知らずに食っていたわけですから、知らぬが仏で良かったという気も……。
ということで、本日は――
■Little Bird / Pete Jolly Trio and Friends (ava)
日本は再発盤天国だと、よく言われますが、こんなブツまで出てしまうのは、幸せです♪ しかも紙ジャケット仕様♪
主役のピート・ジョリーは西海岸を中心にジャズばかりでなく、スタジオの仕事でも夥しい名演・名盤・ヒット曲に関与していたわけですが、純ジャズのリーダー盤としては、これが最も人気でしょう。
製作した「ava」というレーベルは、フレッド・アステアが1962年頃に起こしたマイナーカンパニーですが、そのカタログは趣味性豊かな作品ばかりです。しかも活動期間が短かった所為で、完全にコレクター泣かせという……。
このアルバムは、その中でも特に洒落たセンスに彩られた最高のピアノ物で、もちろんジャズ喫茶の人気盤でもありますし、一度入手したら、まず絶対に手放せない魅力がありますから、中古市場でも垂涎の1枚になっています。それがCD化されたんですからねぇ♪
録音は1962年11月&1963年1月、メンバーはピート・ジョリー(p)、チャック・バーグホーファー(b)、ラリー・バンカー(ds) というトリオがメインで、曲によってハワード・ロバーツ(g) とケニー・フューム(per) が加わっています――
A-1 Little Bird
A-2 Three-Four-Five
A-3 Never Never Land
A-4 Alone Together
B-1 To Kill A Mockingbird
B-2 Spring Can Really Hang You Up The Most
B-3 My Favorite Things
B-4 Toot Toot Tootsie (Goodbye)
B-5 Falling In Love With Love
上記の演目は、ほとんど同じ趣向なんですが、特にA面ド頭の「Little Bird」が最高です! ハワード・ロバーツとケニー・フュームを加えてのシャープなリズムに支えられ、ピート・ジョリーが哀愁のテーマが歯切れ良く弾いてくれる、それだけで胸キュン演奏です。もちろん力強さもちゃ~んとありますから、ある意味でジャズの楽しさが集約されたトラックだと思います。流行はじめたボサロック系のビートを使っているのも高得点です。
同系では「Never Never Land」も実に楽しい仕上がりです。
また変拍子の「Three-Four-Five」や「My Favorite Things」「Falling In Love With Love」でもグルーヴィな表現に拘るピート・ジョリーのジャズ魂は流石! それは正統派4ビートでじっくりと聞かせる「Alone Together」や小粋な表現の「Toot Toot Tootsie」でも変わることなく、痛快なノリと豊かな歌心には、ただただ、聴き入るのみです♪
そしてスロー物では、なんと言っても「Spring Can Really Hang You Up The Most」でしょう! 作者のトミー・ウルフが、このアルバムをプロデュースしているあたりも味わい深いところで、全く間然することの無い名演が残されました。あぁ、このピアノの豊かな表現力と洒落たフィーリングは、まさにピート・ジョリーでしかありません! 私は死ぬまで聴き続けるでしょう。
共演者も名手揃いですし、とにかく全9曲が究極の洒落たピアノジャズになっていますから、サイケおやじとしては、ノー文句の推薦盤です。なによりもメロディを大切にしているところが、良いですねぇ~♪
ちなみにオリジナル盤は、既に述べたように、中古盤屋のマストアイテムになっていますから、聴くためならばCDで充分でしょう。現在発売中のブツはリマスターも良好です。