OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

軽さも素敵なリー・モーガン

2007-07-11 17:01:56 | Weblog

物凄い集中豪雨で、洗車の手間が省けましたです、はっはっは……。

と笑っていられたのは、昼過ぎまでで、その後は通行止めの道路が出たりして……。それほどの被害になっていないようですが、やっぱり自然災害は、恐いものがありますね。

ということで、本日は――

Expoobident / Lee Morgan (Vee Jay)

リー・モーガンもカッコ良いジャズメンですねっ!

まあ、その生涯は若くして非業の最期でしたけれど、十代から天才として認められ、歴史に輝く活躍から悪いクスリでのどん底体験という、良くも悪くも凄い生き様でした。

もちろんジャズファンの大多数は吹き込まれた音源で、そのミュージシャンと接するわけですが、次第にその人の個性とか人生が知れてくると、またレコードの聴き方も自ずと違ってくるんじゃないでしょうか。

リー・モーガンの場合はジャケットやステージ写真、あるいはフィルム映像で見るスタイリッシュな雰囲気の良さと自然に滲み出ている不良っぽさが、その音楽性と絶妙な重なりです。

ファンキーなのに泥臭味が無く、むしろ小粋なところも良いですねぇ~♪ ちょうど渡哲也が主演した日活映画「紅の流れ星」みたいな♪

このアルバムはそうしたイメージがスバリと出た傑作盤だと思います。

録音は1960年10月14日、メンバーはリー・モーガン(tp)、クリフ・ジョーダン(ts)、エディ・ヒギンズ(p)、アート・デイビス(b)、アート・ブレイキー(ds) という、味わい深い名手が揃っています――

A-1 Expoobident
 エディ・ヒギンズが書いた軽妙なモダンジャズ曲ですが、アート・ブレイキーの強烈なバックビートゆえに、素晴らしいハードバップに仕上がっています。
 もちろんリー・モーガンは、十八番の飛び跳ねフレーズと自在のノリを駆使して最高に楽しく、続くクリフ・ジョーダンは正統派の面目躍如たる逃げないアドリブで健闘しています。
 そして実は主役のエディ・ヒギンズが薬籠中の名演で、ファンキー節と歌心のバランスが秀逸♪ ちなみにこの人は、近年になって日本製作のアルバムで人気が出ていますが、実はこういう事もやっていたという嬉しさです。
 
A-2 Easy Living
 お馴染みの人気スタンダード曲をリー・モーガンがじっくりと吹奏してくれますが、その前段として短いイントロ部分でのアート・デイビスのアルコ弾きが、印象に残ります。
 で、肝心のリー・モーガンは、ややハスキーな音色も使いながら、真っ向勝負のバラードプレイ! アドリブパートに入ってテンポアップするところでのアート・ブレイキーのキメは、ジャズメッセンジャーズと同じですから、やはり気合が違います。あぁ、この歌心の素晴らしさは驚異的ですねぇ~~~♪
 数ある同曲のジャズバージョンとしても代表的な名演かと思います。エディ・ヒギンズの控えめな伴奏とアドリブも、実にスマートです。

A-3 Triple Track
 リー・モーガンのファンキーなオリジナル曲ですから、アート・ブレイキーを軸としたリズム隊も大ハッスル! テーマからアドリブ全般に、全くスキが無い演奏です。
 リー・モーガンは、少~し危なっかしいところをスリルに変換する得意技を使っていますし、クリフ・ジョーダンは何時も以上に大胆な音選びで、ちょっとウェイン・ショーターっぽい不思議さです。
 そしてエディ・ヒギンズが無機質なファンキー感覚で、意外な好演を聞かせてくれますから、う~ん、絶句です……。

B-1 Fire
 B面ド頭はウェイン・ショーターが書いたブッ飛びハードパップです。テーマ部分で早くも暴れるアート・ブレイキーやアップテンポでグイノリのアート・デイビスが強烈ですから、アドリブ先発のクリフ・ジョーダンも手抜きが出来ません。
 もちろんリー・モーガンは全力疾走! 烈しいツッコミと自然体のモタレが最高のコントラストになっています。
 またエディ・ヒギンズが新しい感覚を披露しています。

B-2 Just In Time
 このアルバムの目玉演奏が、これだと思います。曲は有名スタンダードですから、お馴染みのメロディが、どのように解釈されていくかが聴きところなんですが、リー・モーガンはミュートでキザっぽく、軽妙に吹きまくりです♪ 寄り添うアート・デイビスも素晴らしいフィーリングですねぇ♪
 そしてアドリブパートでは一気にテンポを上げ、クリフ・ジョーダンが白熱の名演を聞かせ、エディ・ヒギンズは一番「らしい」出来になっています。あぁ、楽しい歌心♪
 そしてリー・モーガンは当然、素晴らしいですねぇ~♪ ミュートでのトランペットはマイルス・デイビスが有名ですが、リー・モーガンは全く違う個性を発揮しているのでした。必聴!

B-3 The Hearing
 クリフ・ジョーダンが書いた、ちょっと新しい雰囲気のオリジナル曲です。しかし中身はバリバリのハードバップ魂に溢れていますから、リー・モーガンは待ってましたの大爆発です。とにかくアドリブの初っ端からパワー全開! 十八番のフレーズを出しまくりなんですねぇ~♪
 そしてクリフ・ジョーダンは思索的なフレーズ展開から盛り上げますが、やや尻つぼみ……。しかし続くエディ・ヒギンズが強烈です。アート・ブレイキー&アート・デイビスの強力な支援を受けて、短いながらも好演です。

B-4 Lost And Found
 これもクリフ・ジョーダンのオリジナル曲で、当時のジャズメッセンジャーズも演目にしていましたから、ここでの名演は、当たり前だのクラッカーです。
 アドリブ先発はクリフ・ジョーダンが、作者の面目躍如という豪快でスピード感満点のアドリブを披露! ツナギのリフを挟んで炸裂するリー・モーガンの痛快なフレーズも嵐を呼びます! いゃ~、実に良いですねぇ~♪ アート・ブレイキーも気分良さそうです。
 またエディ・ヒギンズが軽めのタッチで黒~いフレーズを弾きまくるあたりも、たまりません。あぁ、演奏時間が短いのが残念ですぅ~~~。

ということで、リー・モーガンの一連の諸作=ブルーノートでのアルバムに比べると、軽さが目立つ仕上がりなんですが、それだってリー・モーガンの持ち味だと思います。

実際、このアルバムの魅力は、そこにあるわけで、こういう軽妙なファンキー感覚は、同時代の他のトランペッターには聴けない味だと思います。

イケイケのリー・モーガンも良いですが、たまにはこういう味わいも楽しめるのが、天才の証かもしれません。

コメント
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