松美の言絵(いえ)

私は誤解されるのが好きだ。言い訳する手間が省けるから。

月で宇宙飛行士が出会った神

2024-05-07 13:45:54 | 日記・エッセイ・コラム
 立花隆が書いた「宇宙からの帰還」を読み返している。そうだった。この中に、神と出会ったと証言する宇宙飛行士の話が載っている。
 立花隆は、月へ行った宇宙飛行士24人のほとんどから直接聞き取りしている。誰も皆、こんな面白いインタビューは初めてだ、と身を乗り出す。それも当然なのだ。彼らは月に行った後と前で、内面の変化について聞かれた事が無い。すべて技術的な質問ばかりだったからだ。
 しかも自分の事について、宇宙船を操りながら、そんな感傷に浸る時間など、ほとんど無かったからだ。分単位でやることが決まっていて、振り返る時間は無いに等しい。
 その中でも、ふと手が空いて、窓の外を見る瞬間があった。暗黒の中に奇跡のような、手に乗せたビー玉のように美しい地球を見て。これは偶然では存在するはずがないと感じる。その愛おしいビー玉の中で、国境がどうのと紛争が絶えないことが、何て馬鹿らしいことだと感じるようになる。

 アポロ15号が月軌道に入った時、ジム・アーウィンは夜の側から突然現れた月を見た。それは粘土細工で作ったような鉛色をしていた。生命のかけらも観察出来ず、動く物が一切無い。風すらも無い。全くの無言。完璧な不毛。人を身震いさせるほどの荒涼索漠。
 しかしそれにもかかわらず、人を打ちのめすような荘厳さ、美しさがあった。アーウィンは口もきけずにその光景に見入っていた。そしてここには神がいると感じた。月の上に神がいるというのではない。「ここには」神がいると感じたのだ。自分のすぐそばに、神の存在を感じたのだ。
 正しく手を伸ばせば、神の顔に手を触れることが出来るだろうと思われるくらい近くにそれを感じたのだという。

 彼は熱心な信者というわけではない。アメリカ人は日曜に教会へ行く。しかしそれ以上のことはしない。自分は信仰を必要としない人間だと思っていた。
 「しかし月では違った。祈りに神が直接的に即座に答えてくれるのだ。祈りというより、神に何か問いかける。するとすぐ答えが返ってくる。神の声が声として聞こえてくるというわけではないが、神がいま自分にこう語りかけているというのが分かる。」
 「これはどうしたって、すぐそこに神は実際にいるはずだ。姿が見えなければおかしいと思って、何度も振り返って見たくらいだ。」
 「ヒューストンに問い合わせて、答えを待っていては時間が掛かり過ぎる。そういう時、すぐに答えが返ってくる。全プロセスが一瞬なのだ。」

 「ジェネシス・ロック」は彼が発見した。46億年という、科学者が探し求めていた例のヤツだ。それは台座の上にまるで「私はここにいます」というように鎮座していて、科学者の望んでいる石はこれだとすぐに分かった。

 アーウィンを含む3人は、宇宙に出てから頭の働きがもの凄く良くなったように感じた。明晰そのもの。まるでESP能力が付いたように。
 そう思って、帰ってから研究所を設立した飛行士もいた。アーウィンは酸素100%の空気を吸っているためではないかと考えている。脳細胞が活性化したためではないか。
 そうね。そういうことはあるかも。家に居るより、葉が茂った森にいると、頭がスッキリする。

 彼らが月で出会ったという神は、宗教から言って、「主」か「イエス」だろう。
 それなら日本人が月に行ったら。その神は、誰だろう。

 地上からお月様くらい高いところに行ったら。そこにあるのは「高次の存在」

 ブッダ、じゃ無いだろう。神道から言うと、誰だろう。何しろ800万もいるからなあ。アマテラス? 大国主? むしろ「あの世」に近い?

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