松美の言絵(いえ)

私は誤解されるのが好きだ。言い訳する手間が省けるから。

赤田の大仏

2024-05-03 09:11:48 | 日記・エッセイ・コラム
 由利本荘市の折渡(おりわたり)地蔵尊に石を奉納して里へ降りると、そこは道の駅おおうち。レストランと温泉施設が休業しているのは知っているが、産直に寄ってみる。ままでワラビ祭り状態で、各農家からのワラビが太さ自慢の様相を呈していた。
 ここから赤田の大仏まではすぐで、しかもいつでも公開していることを知った。直線で2kmくらいしかない。そして今来た県道69号を、そのまま行けばいい。ただし県道と言っても林道並みに心細い道路だった。軽く一山越えるかたちだ。

 赤田は、いいところだった。静かで広くて、ゆっくり散策できた。その寺は長谷寺(ちょうこくじ)と言って、石段の上まで車で行けるのを知らず、下から歩いた。息が切れたが、それもまた良し。
 呼吸が整わない状態のまま、重い引き戸を一人で引っ張ってみる。手応えは充分だったが、意外と開くことが出来た。開けた途端、妻の驚く声がした。
 誰でも、見た瞬間はビックリする。事前に大きさの見当が付かないからだ。
 2階建ての屋根の2階部分にお顔が収まっている。金ぴかだが、暗い。人の動きを感知してか、時折ライトアップされる。と言っても、淡い光。

 大仏様の周囲を一周することが出来る。気が付くと周りには古風な扁額や板戸に絵が描かれている。平安時代を思わせる絵だ。

 下の駐車場にも、産直の店があって、やはりワラビだった。湯がいたのを一束買ってきたが、アクが無く、野菜のように食べられた。

 石段を登る前、1台の車が寺から降りて来たが。どちらからともなく、会釈した。あれは住職だったに違いない。挨拶しておいて良かった。

 お賽銭は入れたが、拝観料は無し。駐車場も無料。いいところだ。ここはいい気が流れている。そんな気がした。

 こんなに日常的に大仏様にお会いできるとは思わなんだ。新米の頃、二十代に一度、お目に掛かったことがあったが。庶民的な「日本三大長谷観音」だわ~。

 オレが閉めたあとすぐ、人がやって来て。女性の声がした。「あっ、重いっ」
 そりゃそうでしょ。

 良く見る風景だが。重々しく住職が扉を開ける。あの動作がセルフで出来る。これは意外とレアな体験だ。なぜか充実感が漂うココロ。

 クセになりそう。
コメント
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