引退の時、どの試合が一番印象に残っているか。尋ねられた真央ちゃんは、ウーンと悩んでから、ソチのフリーと答えた。
その演技は、皇帝プルシェンコも見ていた。「浅田真央は唯一無二の存在さ。」プルシェンコはバンクーバーの時も、真央ちゃんをかばって、非難を浴びた。最も難しいジャンプを飛んだ選手が、最も良い結果を得るべきだ。
今更何を言ってもしょうがないが、これだけは言える。浅田真央を不世出のスケーターと認める選手は多いが、キムヨナを褒めまくる選手は見たことがない。
しかし真央ちゃんは、ジャンプが美しいだけではない。ステップも他の追随を許さない。ロシアの重鎮タラソワコーチは言う。真央のステップは、最低あと2~3年は超える選手が出ないだろう。そういう技術があって、曲の解釈も表現もつまり全体として1個の作品を成している。そのことにソチで金メダルを取ったソトニコワも、あこがれを抱いている。
バンクーバーではショートプログラムの後、中1日空いていた。その1日を真央ちゃんは日本のテレビのためにリンクに出て滑った。あれがフリーの点数に響いたとタラソワコーチは言う。あの日、私の言う通り体を休めていれば、結果は違ったはずだ。
そうなると金メダルを取った真央ちゃんが、こうして伝説を作って、オレを感動させることは無かったはずだ。まあとにかくアナザーストーリーズ 運命の分岐点「浅田真央 伝説のソチ五輪」を見て下さいな。目から水が溢れて止まらなかったら、あなたは本物のスケートファンだ。