松美の言絵(いえ)

私は誤解されるのが好きだ。言い訳する手間が省けるから。

象潟で見せた、版画家池田修三の奇跡。

2015-05-09 13:22:18 | 日記・エッセイ・コラム

 池田修三の画集「センチメンタルの青い旗」である。木版画家・池田修三は世界中の作家が誰も出来なかった事を、やって見せた奇跡の人なんです。彼の版画は、小さいのは7,000円ほどで購入することができます。この値段だから象潟町の人たちは、何かの節目に記念として贈り合うことができたのです。その結果、町のあちこちに彼の本物の版画を見ることができるのです。

 残念ながら我が家では、こんなものしか飾れません。今、象潟では商店会が中心となって、店に版画を掛けてお客さんを迎え、その絵を持つきっかけになった、お話を聞かせてくれるイベントを開催中です。作家は誰もが自分の作品を、多くの人に見てもらいたい、と考えています。しかし有名になれば当然値段は上がります。すると一般の人は手に入れることができません。だから池田修三という人は、画商と値段を上げないという約束のもとに製作していたのです。そのために、町には池田修三作品があふれています。

 連休中に妻が里帰りして、同窓会に参加しました。これがその時の名札です。他にも、

 ポストカードを何種類かの中から選んで、もらえる企画だったそうです。すべては、象潟に縁もゆかりもなかった藤本智士さんのおかげです。この人が、象潟の稀有な習慣に注目してくれたおかげで、今があるのです。

最近ようやく、そのスタートとなった「のんびり」という冊子が手に入りました。妹からの贈り物です。

 藤本智士さんの文章は、ウェブ、青い旗、のんびり、と読むのが3度目になりますが、いつもなぜか目から汗が流れるのです。文才も大した人だと思います。文才があって、行動力があって、その情熱が文字から否応なく入ってくるのです。

 池田修三の人柄は、もしかすると象潟という場所が(芭蕉じゃなくて)育んだものかも知れません。私は10年象潟に暮らして感じたのは、関地区の団地から眺めると、鳥海山に登って行く車が見えて、下は海で子供を裸で遊ばせ、海の幸から山の幸まで数キロの範囲で採れる、しかも県内で最も温暖な気候の町だということです。秋田県の人は、恥ずかしげもなく象潟を「秋田の湘南」と呼びます。それは実感として言えることです。

 この冊子ができてから、わずか2年半でここまできたことに、驚きを感じます。

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